以前紹介したぜにさわコーヒー店は、実は紅茶もめっぽう旨い。どうも、こうやって書いていると、通ぶっているようで、気恥ずかしいのだが。でも、旨いものは旨い。
去年は紅茶の当たり年で、素晴らしいものが入った。連続当たり年ということはまぁ考えられないから、今年は期待しないで、と言われていたのだが。それが、今年も素晴らしいのだという。去年びっくりしたクラスのものも入るが、業者が、今まで経験したことがない、と感嘆するものも入るという。
此を書いているのは、実は、4月22日だが、この時点ではブログでも発表するのはちょっとまずいのである。
この紅茶は、ヒマラヤ中腹から来るそうだが、業者はインド人から、危険だから行くなと止められているのを強行するらしい。そこまでしても、何しろたいへんなクオリティーなので、法外な値段をふっかけてくるかもしれず、その場合は断念するのだそうだ。
つまり、手にはいるかどうか分からず、手荷物ぎりぎりの10キロだけしか入らず(輸送にかかる日数をできる限り短くしようと思えば、自分の手で運ぶ以外無い)そのうち500グラムだけがぜにさわに入るのだという。何人かの常連に分けるにしても、ひとり10グラム~20グラムがせいぜいだ。売り出す前に僕がブログ上で書いてしまったらたいへんだ。
この文章が公開されているときは、もう僕は手に入れているわけだ。そうか、感想を挿入すればいいのだな。
本当に良い紅茶は、淡い色だったりする。日本では、紅茶の色をしていない、と拒否されることが多いそうだ。色が付かないじゃないか、ということらしい。
去年、飲んだ口当たりが、まったりしたものがあった。どうしてあんな口当たりになるんだろうと訊ねたが、よく分からない。でも、新鮮な野菜でも、一種の粘っこさがある、そんなことと似ているのではないか、というのがぜにさわさんの意見であった。そんな気もする。
ここから先がリアルタイムだ。
美味かった。びっくりした。ほんのり甘い。紅茶の香りの中に甘みが溶けている感じだ。まったり感はなく、すっきりしている。とはいえ、どこかにとろみを感じる。香りにも薄い甘みがある。
以前、渋味なんていうものは、酸化している、つまり腐っているということです、と聞いてなるほどそうだよなぁと感心した。ここで扱っている紅茶は、手広くできないから、とほんの3,4種類で、ふだん置いてあるのはありふれたものといいながら、渋味のあるものなぞない。
それでも、こんなに違うと、もう唸る以外にない。何というかな、ヒマラヤのどこかに、桃源郷というものは実際に存在するのではなかろうか、と思うほど、現実感がないのにしっかりとしたものがある。
一煎目は香りが一瞬のように鼻孔をかすめ、二煎目は香りは弱まるが味はしっかりある。その点は日本茶で言われることとまったく同じだ。
味覚も音楽同様説明はしきれないので、むしろ自慢話のようになる。どうだ、いいだろう。