
パソコンの半導体のDRAM生産世界3位のエルピ-ダメモリは、27日、会社更生法の適用を東京地裁に申請して受理されました。負債総額は4480億円。製造業では過去最大。09年に公的資金300億円も回収困難になり、国民負担は最大で280億円になるもようです。「日の丸メモリ-を守るための国策会社」と言われる上場会社の経営破綻の責任は誰にあるのでしょうか?
社名はギリシャ語で「希望」を意味するようですが、エルピ-ダを所管する経済産業省エネルギー庁前次長の木村雅昭被告がインサイダ-取引で一番甘い汁を吸った「希望」の会社だったとは皮肉です。恫喝までして金融機関から巨額融資させた経産省の責任が問われます。枝野幸男経済産業相は、東京電力福島第1原発事故がまだまだ収束に時間がかかる中、経産省も想定外のことばかり発生して気の毒ですが、ここは大岡裁きを期待します。官僚体質にメスを入れてください。
したがって、28日午前の東京株式市場で、前日に会社更生法の適用を申請した半導体大手エルピーダメモリの株式に売り注文が殺到しました。買い注文不足で売買が成立せず、値幅制限の下限となるストップ安水準(254円)の売り気配のままで午前の取引を終えました。前日の終値は334円になりました。エルピーダ破綻で業績悪化の連想から半導体関連銘柄が軒並み下落しました。
エルピ-ダメモリは1999年にNECと日立製作所が事業統合して誕生しました。2002年に就任した坂本幸雄社長は、赤字200億円の会社を1年で黒字化させた「体育大学卒」「倉庫係出身」の社長として、当時は異色ともとれるこの経歴の持ち主とチヤホヤされて、『プロフェッショナル 仕事の流儀』のゲストにもなりました(2007年5月8日放映)。半導体メーカー「エルピーダメモリ」社長、坂本幸雄。3年連続200億円を超える赤字を出し、どん底に立たされていた会社を1年で立ち直らせて、2008年にはリ-マンショックで1788億円の赤字を出した彼は、一体何者なのか…救世主なのか、はたまた疫病神なのか…。プロフェッショナルとしてもてはやされたことは、むなしい限りです。話題にしたマスコミにも不信感が募ります。
従業員6000人と家族のために、そして国民のために、坂本幸雄社長は体育会系らしく頭を丸めて再建に取り組んでもらいたいです。小生も株券が紙切れになった日本航空のように厳しい経営再建策を求められるでしょう。またグローバル企業も常に厳しいコスト競争にさらされていることをあらためて認識しました。中小零細企業も明日は我が身として「他山の石」とすべきです。