大津市で市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、いじめの実態などを調べる市の第三者調査委員会は26日も、市役所で会合を開いた。委員長の横山巌弁護士らによると、第3回会合の9月17日までに、いじめの事実関係について整理することを決めた。また、資料の精査や生徒の聞き取りを補佐するため、弁護士や臨床心理士ら調査員5、6人を選ぶ。
この日は委員5人のうち、教育評論家の尾木直樹・法政大教授が欠席した。今後、横山氏ら弁護士チームと尾木氏らのチームに分かれ、弁護士チームがいじめの事実関係などを精査し、尾木氏らは教師や学校との関係などを調べる。別の専門家の公聴会も検討する。
男子生徒の遺族の代理人弁護士によると、調査委から、男子生徒の写真や成績表の提供のほか、証言できる友人の紹介の依頼があった。
男子生徒の自殺から10カ月半。全国的な注目を集める大津市の第三者調査委が25日、委員5人で始動した。限られた調査時間。膨大な資料の読み込み。受験を控える生徒からの聞き取り−−。課題山積だが、各委員は「亡くなった生徒の思いに応えたい」と強調。初会合後、過去に何度も繰り返されてきたいじめ問題の再発防止策提示への決意を示した。
午後1時半、100人を超す報道陣で騒然とする中始まった初会合。「なぜいじめを発生させてしまったのか、なぜ早期に発見・対応できなかったのか、徹底的に解明することなくして、いじめ根絶のための指導方法や対策は示せない」。冒頭、越直美市長が読み上げた遺族からの手紙に、委員たちは真剣な表情で耳を傾けた。
会合後、委員らは口々に調査への決意を表明。副委員長の渡部吉泰弁護士は「調査委の今後の一つのモデルにしたい」、京都教育大の桶谷守教授は「一人の亡くなった命がどれほど大事なのか十分考え、出来る限り踏み込みたい」と述べ、26日も引き続き会合を開き、大量の資料の精査を急ぐ姿勢を示した。
大津市で昨年10月、いじめを受けていた市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、滋賀県警が学校への捜索容疑となった体育祭での男子生徒への暴力行為に加えて、校舎内での暴行容疑での立件も検討していることが、捜査関係者への取材で分かった。県警は夏休みを通じて、当時の同級生ら約300人からの聞き取りを行っており、いじめ行為を加えたとされる同級生3人から週内にも任意で事情聴取を始め、慎重に裏付けを進める方針だ。
県警は先月11日、男子生徒に対する同級生3人の暴行容疑で、関連先として学校と市教委を捜索。3人は昨年9月29日の体育祭で、男子生徒の口に粘着テープをはり、手足を鉢巻きで縛ったり、殴ったりした疑いがあるとされる。先月18日には、遺族から暴行や恐喝など6容疑での告訴を受理し、全校アンケートに記名した当時の在校生らを中心に約300人から聞き取りを行ってきた。
捜査関係者によると、複数の生徒が体育祭での暴力行為を見たと証言。目撃した生徒を体育祭のあった同市内の陸上競技場に立ち会わせ、実況見分も行ってきた。さらに、「校舎内でも男子生徒が殴られていた」と、複数の生徒が目撃を証言したという。ただ、暴行容疑については、「遊びだった」と証言する生徒もおり、県警は今秋にも、立件可能性について慎重に見極める方針だ。
また、県警は同級生3人のうち1人について、今年6月、担任の女性教諭に重傷を負わせたとされる傷害容疑でも調べを進めている。
3人は男子生徒の遺族が起こした損害賠償請求訴訟で、体育祭で鉢巻きで縛ったり、ハチを食べさせようとしたりしたことは認めているが、「遊びだった」といじめを否定している