大津市でいじめを受けていた中学2年の生徒が自殺した一件は、ワイドショーでも嵐のように報じられたが、このごろは引き潮のように去りつつある。そんななか、真相解明のための第三者調査委員会の初会合がおととい25日(2012年8月)から2日間にわたって開かれた。市教育委員会からの資料提供、経緯説明などがあったという。
調査すべきことをしていないし、生徒アンケートも把握不十分
けさ27日の「朝ズバッ!」に遺族側の推薦で委員に選ばれた教育評論家の尾木直樹氏が出演した。尾木は調査委といっても便宜的なものになりがちだが、今回は「越市長が思っていた以上に本気で、誠実に取り組もうとしていると感じた」「真実解明に向かって5人の委員が結束している」などと話し、真相解明への期待をいだかせた。
調査委は今後、月1、2回のペースで会合を開き、年内に報告書をまとめる予定だそうだ。
大津市で市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、滋賀県警による関係者への事情聴取が難航し、いじめをしたとする同級生3人に対する暴行容疑などでの立件判断は年内を視野に秋以降にずれ込む可能性が高いことが27日、捜査関係者への取材で分かった。先に聴取した教諭らと生徒らの証言が食い違いを見せているためで、県警は確認のため教諭らへの再聴取を行う方針を決めた。
県警は27日までに、夏休み期間中に行ってきた、中学校が実施したアンケートでいじめを目撃したと回答した生徒約100人への聴取をほぼ終了。体育大会が行われた大津市内の競技場を利用して、大会の際に行われた疑いのある暴行などについての実況見分も行った。
県警は生徒らへの聴取前に教諭らへの聴取を実施していたが、生徒の聴取の中で、「先生も見ていた」などという、教諭らの証言にはなかった内容が出てきており、再度、確認作業のため教諭らへも聴取する必要が出てきた。
また、アンケートで自殺の練習をさせられていたとするいじめをめぐっては、男子生徒が、窓から身を乗り出して練習させられていたとの見方もあった。
しかし、生徒への聴取の結果、同級生らが窓から身を乗り出すようなしぐさをし、男子生徒に「お前もやってみろ」と要求したが、男子生徒は拒否し、実際にはやっていなかったことなど、詳細も判明してきた。
県警は暴行容疑を軸に恐喝、強要など6つの容疑で慎重に捜査を進めているが、膨大な証言の精査に予想以上の時間を必要としており、立件の可否判断は大幅に遅れている。