滋賀県大津市の沢村憲次教育長が男子大学生にハンマーで頭を殴られけがを負った事件について、インターネット上では「よくやった」など大学生を支持する意見が多く見られる。
さらに教育委員会にも、「教育長は殴られて当然だ」という電話やメールが多数寄せられているという。
■「大学生やるじゃん」「教育長の身から出た錆」
2012年8月15日朝、大津市役所の教育長室で沢村教育長が男にハンマーで頭を殴られ、重傷を負った。男はその場で市教委職員に取り押さえられ、警察が殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。
男は埼玉県に住む19歳の大学生で、調べに対し「いじめについて教育長が真実を隠していると思い、許せなかった。殺してやろうと思った」と供述している。男子大学生はハンマーの他に針金も持っていて、首を絞めようとしていた可能性があるという報道もある。
この事件についてインターネット上では、「大学生やるじゃん。学生運動を誇りにしているおじさん達は全力で擁護してほしい」「いじめられる気持ちがわかってむしろよかっただろ。身から出た錆だよ」「ただのじゃれあいでしょ!担任の『やり過ぎんなよ』の一言で済ませばいいんじゃなかったっけ?」など、大学生の犯行を支持する意見が多く書き込まれている。
■事件から2日で電話が301件、メールが126件
大学生を支持する意見は市教委にも寄せられている。教育総務課に問い合わせたところ、事件の起こった15日と16日の2日間で電話が301件、メールが126件寄せられた。けがの状況を尋ねる人もいるが、多くは「大学生が教育長を殴ったのは当然だ」という意見とのことだ。
これらの意見について市教委は、
「今回のいじめ問題に対する批判は根強く、真摯に受け止めている。しかしインターネットで流されている誤情報を信じた人の電話やメールも多く、そういった批判には応えるのが難しい」と困惑している様子だった。
滋賀県大津市で中2男子生徒が自殺したいじめ問題に絡み、同市教育委員会の沢村憲次教育長(65)がハンマーで殴られ重傷を負った事件から一夜明けた16日にも、複数の関係者殺害を予告する電話があった。大津署は脅迫事件として捜査している。事件当日に同市教委に届いた電話やメールのほぼすべてが、殺人未遂容疑で逮捕されたさいたま市の男子学生(19)の犯行を称賛する内容だったことも判明。危機感を募らせた同市は教育長室付近にガードマンを緊急配備するなど、市役所は厳戒ムードに包まれた。
さいたま市在住の男子学生に襲撃され、大津市内の病院に入院している沢村教育長が、頭蓋底骨折などで全治2~3週間と診断されたことが16日、分かった。
教育長は15日、教育長室で男子学生にハンマーで殴られて右目上部を切り、血まみれになった。その際、衝撃の大きさからか、裂傷だけにとどまらず、頭部骨折までに及んだものとみられる。
同市広報室によると、顔面打撲、眼瞼(がんけん)裂創、眼球打撲も負った教育長の右目は大きく腫れ上がり、視界がさえぎられて物を見ることができない状態。市教委によると、職員が「大丈夫ですか」と声を掛けると教育長はうなずく様子を見せた。市教委は「復帰時期は未定で、来週以降の公務は調整する必要がある」と説明。教育長は、中2男子生徒の自殺問題の責任者として対応にあたっており、これから本格化するとみられる大津自殺いじめ問題の真相究明などへの取り組みに影響する可能性がある。
また、この日午後、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された男子学生が大津地検に送検された。男子学生は教育長室に侵入して教育長と組み合った際、両端に木片を付けて握りやすく加工した針金を持っていたことにも県警は注目。男子学生が針金で教育長の首を絞めて殺害しようとした可能性があるとみている。
取り調べ応じ強い殺意供述 捜査関係者によると、男子大学生は「教育長が真実を隠していると思い許せなかった。殺してやろうと思った」などと強い殺意を感じさせる供述をしているものの、取り調べには素直に応じていたという。また、大津いじめ自殺問題について「テレビやインターネットで報道を見た」と供述していることもこの日、県警への取材で分かった。