江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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柳津(やないづ)の池の魚を毒殺す  新著聞集 第九 祟厲篇

2019-10-07 23:46:21 | 怪談

柳津(やないづ)の池の魚を毒殺す                           

       2019.10

 

出羽の国柳津(でわのくに やないず)の虚空蔵(こくぞう)の池に、魚が多く棲んでいた。

蒲生下野守がそれを見て、なぜか解らないが、毒を流し入れて、魚を殺してみたい、と言った。

それで、この池は、昔から、殺生禁断の地である、と諫めたが、最後まで、意見を聞き入れなかった。

 

そして、魚たちは、悉く殺されてしまった。

 

その日より大地震が起こり、それから十四日の間、大地震は止まらなかった。

山は崩れて洞となり、河は宇埋まって陸地となった。

城中をはじめ、民屋ことごとく崩れおち、人が多く死なだ。

これより程なく、下野家は滅んでしまった。

 

これは、無意味な殺生の罰があたったのであろうか?

 


「新著聞集 第九 祟厲篇」より
 

訳者注:柳津について、ここでは、出羽の国=山形県、とあるが、福島県会津の地名である。 この毒流しの話と似たのが、いくつかある。