病院のホームページには、私の『手術に対するモットー』として「丁寧な手術をすること」と記載されています。これは、腹腔鏡下手術において、時にラフな手術操作が見受けられる現状を踏まえたものです。もちろん、丁寧な手術を心がけることは重要です。しかし、いくら丁寧に手術を行っても、技術が伴わなければ、結果としてラフな手術になってしまう可能性があります。
そこで私は、「丁寧な手術」をさらに進化させた「正確で精細な手術」をモットーに掲げようと思います。それは、単に丁寧なだけでなく、解剖学的構造を正確に把握し、緻密な操作によって、出血や組織損傷を最小限に抑える手術のことです。
下記の画像は、腹腔鏡下子宮全摘術において、右の尿管と子宮動脈を同定しているところです。尿管の走行が明らかになっており、尿管を包む外膜がはっきりと同定できるのがわかると思います。これが出来るのは自分がイメージしている層を正確に剥離しているからであって、いくら丁寧に手術をしても正確で精細な操作ができなければ、剥離層は虎刈りのようになり、しばしば尿管は一部でしか同定できず、まったく意味のない手術操作になることは珍しくありません。
このように、精細な手術を行うことで、
- 術後の合併症リスクを低減
- 患者の回復を促進
- より安全で確実な手術の実現
などが期待できるのです。 私たちは、常に「正確で精細な手術」を心がけ、患者さんにとって最善の医療を提供できるよう、努力を続けていきます。