一龍齊貞鏡…『山崎の合戦(抜き読み)』
一龍齊貞弥…『三方ヶ原軍記 内藤隊(抜き読み)』
一龍齊貞寿…『村越茂助 左七文字』
一龍齊貞秀…『牛若丸と弁慶』
一龍齊貞橘…『笹野名槍伝 笹野権三郎 御前試合』
一龍齊貞友…『真柄のお秀』
一龍齊貞山…『腹切り平左衛門』
一龍齊貞花…『白子屋騒動 黄八丈引廻し』
《お仲入り》
一龍齊貞心…『荒大名茶の湯』
一龍齊春水…『杉山和一』
一龍齊貞水…『国定忠治 入札』
普段は“神田”の講釈を聴く機会が多い当方にとって、“一龍齊”はあまり馴染みがなく、「講談武者修行」で貞橘さんを聴くくらいです。
そんな中、“一龍齊勢揃い”と銘打った会が開かれると知り、胸躍らせながら広小路亭へと向かいました。
入口では貞橘さんが木戸、貞鏡さんがモギリのお手伝い、貞寿さんが表で呼び込み、貞秀さんが下足と、まさに一門総出の様相を呈していました。
開演25分前に幕が開き、まずは貞山門下の貞鏡(ていきょう)さんと、貞花門下の貞弥(ていや)さんが、昔で言う“空板”の役割でそれぞれ「修羅場読み」の稽古です。
お2人とも女流ですが、声の大きさ、張り、伸びが良く、今後どのように伸びて行くかが楽しみです。
ちなみに貞弥さんは3月から前座となっており、貞鏡さんは4月から前座となる予定だそうです。
めくりが出て、前座の貞寿さんは、おなじみ村越茂助の「左七文字」でした。ここからは笑いの要素も入り、客席もほぐれてきた雰囲気となりました。
貞秀さんを拝見するのは2度目ですが、やっぱり“くいだおれ人形”に似ているなぁという・・・失礼
「牛若丸と弁慶」の出会いの場面を力強く読み上げました。
貞橘さんは、笹野権三郎が小倉に赴き、師・高田又兵衛を訪ねると、そこにいたのは師の碁友である宮本武蔵!
又兵衛が小倉藩主・小笠原忠真に権三郎のことを報告すると、宮本武蔵と権三郎の御前試合を申し渡される。
年老いたとは言え宮本武蔵との戦いに腕撫す権三郎に対し、老齢の武蔵の決断は・・・???
それにしても貞橘さんの読み口はいつ聴いても爽やかですねぇ・・・
貞友先生は落語「浮世床」の本読み(姉川の合戦)場面でおなじみの“真柄十郎左衛門直隆”の母である大女『お秀』の物語。
とにかく大女の描写が貞友先生にかかると爆笑の連続!
“肥柄杓の折れたのと、お秀には手を出すな”と言われるような女性ですが、心根の優しさから嫁に行き、直隆を出生。
豪傑の母もまた豪傑だったという楽しい読み物でした。
貞山先生は「真野平左衛門長親」(文字は不確実です)が武士道を貫いて切腹をするという、“もののふの気質”を読んだ一席。
話術にのめり込み過ぎて、あらすじをあまり覚えていないのですが、貞山先生による珍しい内容を堪能しました!
貞花先生も「大岡裁き」「白子屋政談」の中では珍しい内容だそうで、お常が娘のお熊の養子・又四郎を髪結新三らに殺させ、持参金を奪い取ろうとする読み物。
弥太五郎源七親分なども登場して、ハラハラドキドキ、手に汗握る展開でした。
お仲入りの後は貞心先生。
「講談の中には、“くっだらねぇなぁ”というものもあるんですが、今日は私がそれをやります」と、こちらもおなじみの『荒茶』でした。
貞心先生には、このようなくだけた読み物をかけるイメージがなかっただけに、満員の場内から大きな笑い声が起こっていました
今夜の出演者の中で唯一『貞』が付かない春水先生は、自分だけ仲間外れのような気持ちだったそうですが、杉山流管鍼(かんしん)法を開いた『杉山和一』の生涯をしんみりと聴かせて下さいました。
それにしてもここまでの流れは、まず“空板”2名に“前座”1名、“二ツ目”2名がそれぞれキッチリと役割を果たし、明るい貞友先生の後に貞山・貞花というベテランの先生が珍しい読み物2本。
お仲入りを挟んで貞心先生が軽く一席読んで、春水先生が人物伝を熱演と、飽きることのない編成になっているのには感服しました
一門会を締めくくるのはもちろん貞水先生です。
「このように“一龍齊”全11人が揃うのは非常に珍しい。普通は『忙しいから…』と2~3人は欠けるものですが・・・。いかにみんな暇なのかが良くわかる」
と言って笑わせます。
“任侠物”というとまず思い浮かぶのは「清水次郎長」ですが、関東にも「国定忠治」という上州が生んだ生粋の大親分がいます。
また「清水次郎長」には大政・小政・石松といった名立たる子分が有名ですが、では「国定忠治」の子分は?
この『入札』(菊池寛・作)という読み物は「いれふだ」と読みますが、大戸の関所を越えた忠治一家が信州を目指す際、11人の子分は多すぎるため3人を選ぶと言うもの。
可愛い子分を名指しできず、結局は11人による投票で3人を決めます。
「板割の浅太郎」と「松井田の喜蔵」は4枚ずつでまず確定、残り1枚の段で「島村の嘉助」と「稲荷の九郎助」がそれぞれ1枚ずつ入っており、この1枚が忠治や子分たちの運命を決するのですが・・・。
場内は貞水先生の一言一句を聞き漏らすまいと、水を打ったような静けさでした。
終演後は毎度書きますが、大学の大先輩である貞山先生にご挨拶。
まさしく講談をたっぷり堪能した夜となりました!
一龍齊貞弥…『三方ヶ原軍記 内藤隊(抜き読み)』
一龍齊貞寿…『村越茂助 左七文字』
一龍齊貞秀…『牛若丸と弁慶』
一龍齊貞橘…『笹野名槍伝 笹野権三郎 御前試合』
一龍齊貞友…『真柄のお秀』
一龍齊貞山…『腹切り平左衛門』
一龍齊貞花…『白子屋騒動 黄八丈引廻し』
《お仲入り》
一龍齊貞心…『荒大名茶の湯』
一龍齊春水…『杉山和一』
一龍齊貞水…『国定忠治 入札』
普段は“神田”の講釈を聴く機会が多い当方にとって、“一龍齊”はあまり馴染みがなく、「講談武者修行」で貞橘さんを聴くくらいです。
そんな中、“一龍齊勢揃い”と銘打った会が開かれると知り、胸躍らせながら広小路亭へと向かいました。
入口では貞橘さんが木戸、貞鏡さんがモギリのお手伝い、貞寿さんが表で呼び込み、貞秀さんが下足と、まさに一門総出の様相を呈していました。
開演25分前に幕が開き、まずは貞山門下の貞鏡(ていきょう)さんと、貞花門下の貞弥(ていや)さんが、昔で言う“空板”の役割でそれぞれ「修羅場読み」の稽古です。
お2人とも女流ですが、声の大きさ、張り、伸びが良く、今後どのように伸びて行くかが楽しみです。
ちなみに貞弥さんは3月から前座となっており、貞鏡さんは4月から前座となる予定だそうです。
めくりが出て、前座の貞寿さんは、おなじみ村越茂助の「左七文字」でした。ここからは笑いの要素も入り、客席もほぐれてきた雰囲気となりました。
貞秀さんを拝見するのは2度目ですが、やっぱり“くいだおれ人形”に似ているなぁという・・・失礼
「牛若丸と弁慶」の出会いの場面を力強く読み上げました。
貞橘さんは、笹野権三郎が小倉に赴き、師・高田又兵衛を訪ねると、そこにいたのは師の碁友である宮本武蔵!
又兵衛が小倉藩主・小笠原忠真に権三郎のことを報告すると、宮本武蔵と権三郎の御前試合を申し渡される。
年老いたとは言え宮本武蔵との戦いに腕撫す権三郎に対し、老齢の武蔵の決断は・・・???
それにしても貞橘さんの読み口はいつ聴いても爽やかですねぇ・・・
貞友先生は落語「浮世床」の本読み(姉川の合戦)場面でおなじみの“真柄十郎左衛門直隆”の母である大女『お秀』の物語。
とにかく大女の描写が貞友先生にかかると爆笑の連続!
“肥柄杓の折れたのと、お秀には手を出すな”と言われるような女性ですが、心根の優しさから嫁に行き、直隆を出生。
豪傑の母もまた豪傑だったという楽しい読み物でした。
貞山先生は「真野平左衛門長親」(文字は不確実です)が武士道を貫いて切腹をするという、“もののふの気質”を読んだ一席。
話術にのめり込み過ぎて、あらすじをあまり覚えていないのですが、貞山先生による珍しい内容を堪能しました!
貞花先生も「大岡裁き」「白子屋政談」の中では珍しい内容だそうで、お常が娘のお熊の養子・又四郎を髪結新三らに殺させ、持参金を奪い取ろうとする読み物。
弥太五郎源七親分なども登場して、ハラハラドキドキ、手に汗握る展開でした。
お仲入りの後は貞心先生。
「講談の中には、“くっだらねぇなぁ”というものもあるんですが、今日は私がそれをやります」と、こちらもおなじみの『荒茶』でした。
貞心先生には、このようなくだけた読み物をかけるイメージがなかっただけに、満員の場内から大きな笑い声が起こっていました
今夜の出演者の中で唯一『貞』が付かない春水先生は、自分だけ仲間外れのような気持ちだったそうですが、杉山流管鍼(かんしん)法を開いた『杉山和一』の生涯をしんみりと聴かせて下さいました。
それにしてもここまでの流れは、まず“空板”2名に“前座”1名、“二ツ目”2名がそれぞれキッチリと役割を果たし、明るい貞友先生の後に貞山・貞花というベテランの先生が珍しい読み物2本。
お仲入りを挟んで貞心先生が軽く一席読んで、春水先生が人物伝を熱演と、飽きることのない編成になっているのには感服しました
一門会を締めくくるのはもちろん貞水先生です。
「このように“一龍齊”全11人が揃うのは非常に珍しい。普通は『忙しいから…』と2~3人は欠けるものですが・・・。いかにみんな暇なのかが良くわかる」
と言って笑わせます。
“任侠物”というとまず思い浮かぶのは「清水次郎長」ですが、関東にも「国定忠治」という上州が生んだ生粋の大親分がいます。
また「清水次郎長」には大政・小政・石松といった名立たる子分が有名ですが、では「国定忠治」の子分は?
この『入札』(菊池寛・作)という読み物は「いれふだ」と読みますが、大戸の関所を越えた忠治一家が信州を目指す際、11人の子分は多すぎるため3人を選ぶと言うもの。
可愛い子分を名指しできず、結局は11人による投票で3人を決めます。
「板割の浅太郎」と「松井田の喜蔵」は4枚ずつでまず確定、残り1枚の段で「島村の嘉助」と「稲荷の九郎助」がそれぞれ1枚ずつ入っており、この1枚が忠治や子分たちの運命を決するのですが・・・。
場内は貞水先生の一言一句を聞き漏らすまいと、水を打ったような静けさでした。
終演後は毎度書きますが、大学の大先輩である貞山先生にご挨拶。
まさしく講談をたっぷり堪能した夜となりました!