天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

5.18衆院文科委、参考人質疑より

2011年05月18日 | まつりごと
武田参考人 生体材料の劣化ということからいいますと、赤道地方の人たちがなぜ色が黒いかといいますと、紫外線が強いので、それに対する皮膚がんの防御のために色が黒いわけであります。その土地、その土地でその環境に合わせて最も長寿なように生体は防御いたしますので、世界のどこが放射線が高いから日本人もそれと同じであるというようなことは、科学的には少なくとも論理的ではないと思います。生体の防御というのを科学的に見れば、例えば日本ですと、現状においての、年間1ミリシーベルトにおいての防御系を形成しているわけでありまして、それにプラスされる部分については、原則としては、個人は自分の力では防御できないというのが通常であります、それの程度がどのくらいかという問題がありますから。
 それから、一年1ミリシーベルトという国際的な基準は、非常に長い間の医学的もしくは総合的な検討の結果、国際勧告になっていて、さらに、日本の文部省、厚生労働省などの主要な法律は、すべて一年1ミリシーベルトで健康というものを管理するということでやってまいりました。それを、この緊急時に別の議論をするというのは、相当難しいというふうに思っています。

 初動の態勢で政府と経済産業省あるいは東電の対応が、的確に、法令どおりにされていなかったのではないかという疑いが明らかになってまいりました。時系列を含めてだれがどのように対応したか、その根拠は、法律は何なのか、ここをやはり調査をしていかなければいけないなと思っているんです。この点についての見解をお伺いしたいと思います。

武田参考人 日本の原子力発電所は、ほぼ震度6以上ぐらいの地震で原子炉がいろいろな形で壊れるということを前提につくられているわけですから、その意味では、技術の問題よりか、そういう設計基準をもって原子炉をつくった、原発をつくったということがまず第一であろうと思います。
 電源が切れて循環水が通らないということになりますと、循環水が切れたという状態から熱の量は計算できます、それに従って水の蒸発量も計算できます、それから、腐食によって水素が発生する量も直ちに計算できます。したがって、循環水が切れた時点で、一日後とか半日後に水素爆発するとか燃料が溶融するということは予想できるわけであります。これは、装置が大きいことによってできることですね。
 それから、もしもそこの時点での風向きというのがわかっていれば、一日ぐらいの余裕がありますから、何号炉はいつ爆発する、それによって放出する量は何ベクレルである、これも計算の方法がもう確立しておりまして、予算を使ってそういう計算のソフトも完成しております。それに気象庁がもし力を尽くして風向きを推定したら、確実にどこの地点がどのくらいの汚染を受けるということがわかります。そこからもしも計画的にバスとかそういう手段で避難させるとすると、変な話ですけれども、原発自身は、原発という機械は壊れますが、住民は被曝することなく退避をすることができる。
 そういうことができたという点では、初動における情報の公開、特に技術的な情報の公開が著しくおくれたというふうに思います。3月末には燃料が破壊されているということはおおよそ検討がついておりました。それが二カ月後に発表されるということがあって、いろいろな対応がおくれた。例えば、東電の最初に発表した、4月中旬に発表した工程表というのは、既に東電が炉内での燃料の破壊がわかっていながら違う工程表を発表する、そういうことになりましたので、全体的な技術の初動態勢というのは、大変に人間的な要素が多かったというふうに思っています。

 最も重要なことは、風向きを伝えるということであります。それにSPEEDIが役立つわけでありまして、SPEEDIは、もちろん即刻、迷うことなく公表すべきであり、それはやはり、原子力発電所という、非常に危険だけれども国益に即しているという技術を開発する上の一番下の要件といいますか、そういうものであるということか思います。これをもしも手続上何かのかげんで隠したとすると、それは被曝した人の病気に直接かかわることですから、私のような科学をやっている人間にはとても考えられないような措置であったというふうに思います。

 日本は、工業力もあるし科学的な力もあるし、もしも日本国挙げて、要するに、現在福島県が汚れているというのは、あれは十年、二十年全然使えない汚れじゃなくて、単に放射線を出す粉が表面にあるだけですから、その粉を取れば、福島というのは一年ぐらいで住めるようになると僕は思うんです。今、汚れているところをそのままにして野菜をつくったり、汚れているところをそのままにして20ミリシーベルトで頑張れというのは、いかにも方策がなさ過ぎると思うんです。取れるものなんですから、土の上にただぱらぱらと乗っているものです。
 チェルノブイリでは、大体、放射性物質というのは20年間で20センチしか沈んでいないわけですよ、余り雨が降るといけないんですが。現在のところ、例えば梅雨の前であれば、放射性物質というものは表面にしかないんですよ。それをローラーのように取ってしまえば、言ってみれば掃除機でいいわけです。事実、郡山の小学校で土が3.3マイクロシーベルトからぐっと五分の一ぐらいに下がったわけですから。それは何をやったかといったら、ブラシでわあっとかきまぜて、その表土をさっと取っただけなんですね。
 したがって、日本の国土は非常に重要だし、技術的には取り得るので、放射性物質で汚れたから十年、二十年は郷土に帰れないとか、20ミリで我慢しなさいというのは一切やめて、できるだけ早い機会に放射性物質そのものを取ってしまう。
 要するに、事態としては、福島原発にあった放射性物質、これは物質ですから、粉ですから、粉が散ったんですから、その散った粉は三十年間放射線を出し続けるわけですから、これはもう技術的に単に集めればいいだけのことで、これは、日本の国土が非常に重要だということもあって、できるだけ早くやるべきだ。
 梅雨が来まして雨が降りますと、下の方にしみていきます。そうすると、5センチ、10センチ取らなきゃいけないということになって、これは不可能であるということになりますが、現在では全く不可能じゃないわけです。残念ながら、その放射線を出す粉が自分の目に見えないのでふこうという気が起こらないというだけですので、ぜひ早目に取って、福島がきれいになることを非常に期待しているんです。

武田参考人 一年1ミリシーベルトというのは国際勧告でもありますし、国内の法律でもすべて1ミリシーベルトであると。これは最近、いろいろな自治体がホームページに、一年100ミリシーベルトまで大丈夫である、こう書いてあるので、私が個別にその自治体の人に聞きますと、いや、政府が一年1ミリシーベルト、法律はどこにあるんですかというような答えが返ってまいりますが、やはり私は、これは四十年来のいろいろな先生方の検討で一年1ミリシーベルトが、線量限度と言っていますが、この限度という考え方は、まあ少しがんになるんだけれども、いろいろな社会的なことを考えればこのくらいは我慢するということで、我慢の限度ということで一年1ミリシーベルトを決めております。
 ヨーロッパは0.1ミリシーベルトを主張しておりますし、日本の法律からいえば、原子力施設のような放射線を出すところは50マイクロシーベルト、つまり0.05ミリ、それから、これは放射線がないからこのままでいいよというレベルは、クリアランスレベルといいますが、0.01ミリシーベルトという全体的な法体系で進んでおります。
 例えば、校庭の上の土と下の土をまぜるということをしますと、これはもう完全に低レベル廃棄物の違反の行為ということになりまして、どういうことが起こるかといいますと、雨が降ると、下に入った土から地下水が汚れる、すべてそういうことを勘案して現在の日本の放射線防護の法体系ができております。これは、今先生が言われたように、事故になったから急に人間が放射線に強くなるわけではない。
 もう一つは、多くの方々の不安は、今まで放射線が危ないと言ってきたのに、事故が起こったら、突然放射線は危なくないと言われますと、それの方の心理的ストレスは極めて高いというふうに考えますので、やはり一年1ミリに早く到達するように、付近の放射性物質を除くとか住民を避難させるとか、適切な処置を私はするべきだと思っています。

 私も原子力をずっとやっておりまして、フランスに随分長く行ったことがあるんですけれども、原子力発電所を技術的に安全にするということは可能なんですね。これは例えば、特に周辺装置の耐震性とか耐災害性が弱いものですから、これを非常に上げても、もともと電源系だとか熱交換器系とか計測系というのは建設費が安いものですから、それにある程度お金をかけても、原子力発電所の資源性だとかコスト性には影響がない。したがって、そこに日本の技術が本当に投入されれば私は大丈夫だと思います。
 しかし、私が、もう全部の原発をとめた方がいいんじゃないかと言っていますのは、原子力発電所を安全に動かすためには技術があってもだめだということを、今さらながら今度の事故で痛感いたしました。日本には原子力発電所が必要だから原子力発電所は安全であるという、技術的には破綻した論理が通っていたというところに問題がある。原子力発電所の安全性と原子力発電の必要性というのは別個のものでありますし、また、逆に言えば、安全性を保たなければ原子力発電所を利用することはできないわけでありますので、その点では、私は、原子力発電所の今度の事故は人災だ。
 それは、原子力発電が故障したときには、人が亡くなることも非常に重いんですけれども、郷土を長い間失ってしまうという非常に大きな影響を与えるということ、そういう事実を真正面から見て、それでそれに対する対策をとっていくという点では、残念ながら、私も、フランス人の胆力よりか少し弱いなと。そうすると、そういった社会の中で、原子力発電所を安全にやるということは現実的に無理ではないかというふうに、非常に今では、少し後退的に考えておりますが、本当に日本が原子力発電所という巨大なものを正面から見詰めて、事故が起こったら何が起こるのかということもはっきりと見詰められるようになったら、私は大丈夫だと思います。しかし、現在でも、20ミリを我慢しろというような基本的な姿勢にとどまるならば、やはり私は今でも難しいというふうに思っています。

 自治体の中には、地上から高さ15メートルとか、四階のところではかっている。これを住民が、我々は生活するところではかりたいんだ、もしくは、お子さんがおられるわけですから0センチのところの値を欲しいんだと言いますと、自治体ではこういう答えが返ってくることがあります。測定器は高いから、壊されるといけないので高いところをはかっているんだと。15メートルのところと0.5では全然違うわけですね。そういうデータを幾ら示されても、これは、お母さん方がそれで満足するはずは絶対ないですね。
 今はマンションの四階以上ですとほとんど被曝は、随分少ないんですよ。一階で多いわけですね。僕は、15メートルのとき、器械が高いんですというのを聞いたとき、いや、この人たちは国民が被曝することを考えているのか、ただ、はかればいいと思っているのかというふうに非常に疑問に思いました。やはり心配されているお母さんの立場に立って、しかも、お子さんは非常に低いところで生活されています。それを考えて、もうあしたからでも本当は各自治体が、文部省を含めて、子供が生活するところをはかってもらいたい。子供が守れれば、大人は自動的に守れます。したがって、焦点を子供に合わせて、やはりデータの公表、それから説明、全部やっていただきたいというふうに思っております。

 今福島を汚しているのは放射性を持った粒でありますから、この粒を、小学校の校庭ばかりでなく、すべての道路、壁、それから、最後には木とか草が残りますから、それを切って、木を全部切る必要はありませんが、葉っぱを切って焼却する、放射性物質回収つきので焼く。これを、できれば可能な限り梅雨の前にやって、土壌の汚染を防ぎ、さらに全体的に洗浄することによって、私は、日本が不幸にして原子力発電所の事故を起こしたけれども、それからは土地の回復は一番早かったという例をぜひつくっていただいて、世界に示したいというふうに思っています。

 一年に20ミリシーベルトでも大丈夫だと言う方は、どういう根拠を持って言われているのか全くわからない。それも、人の健康にかかわることでわからないことを言うわけですね。1ミリシーベルトと20ミリシーベルトの健康がどうなるかということはだれも言えないんですね。だれも言えないのに、20ミリシーベルトで大丈夫だと言っている人がいるんですね。その大丈夫だなんというのはどこから出てきたんだと。もしも今までのICRPの考え方に沿えば、それが唯一我々の指針ですけれども、学術問題以外では指針ですが、1ミリシーベルトに比べて20ミリシーベルトは20倍のがんの過剰発生があるということしか我々は言えないわけです。
 それからもう一つつけ加えるならば、文部省の3.8マイクロシーベルトを私が計算しますと、子供は年間に約60ミリシーベルト浴びます。それはどうしてかといいますと、お子さんは、そこの3.8マイクロシーベルトをはかっている場所によるんですけれども、土の上ではかっているのならいいんですけれども、あらかたは0.5とか1メートルのところではかります。ところが、お子さんは運動場で腕立て伏せをしたりほこりにまみれたりします。それを計算に入れていないということですね。なぜこれを文部省が計算されなかったのか。学校における児童とか生徒の行動がわかっておられないのではないかと思います。
 それからもう一つは、実は地産地消なんといって、福島のお子さんたちは本当にかわいそうなんですが、校庭で被曝し、砂ぼこりで被曝し、さらに地産地消で被曝し、地産地消のものというのは、規制値以下でも足し算になりますから、空間だけでいっぱいいっぱいの被曝を受けているお子さんがさらに足されるわけですから。コウナゴのときに、汚染されたときに、これを一年じゅう食べても規制値の0.8倍になる、それはほかで被曝していないときに言えることでありますので、そういった専門家とかお国がそういうようなことをなさらない方がいいんじゃないかというふうに思います。

 通常の原子力以外のものですと、すべての責任はプライベートカンパニー、私企業にかかってきますので、今度のような場合は、もちろん東電は福島県の土地を全部掃除しなきゃいけませんし、被害者に補償しなきゃいけませんから、たちまちつぶれますね。ですから、もしかすると、電力会社は原子力発電を選ばなかったのではないかとも思われます。しかし、実は国策として原子力発電をやってきた。したがって、国が開発の面倒も見る、再処理の面倒も見る、それから、事故が起こったときは、面倒を見ていないんですけれども、見るという建前になっているということのもたれ合いが、原子力をやるときに、別に、電力会社が地元に安全だと言うのは当然だと僕はこの前言ったんですよ。だって、自分たちがやっているんですから、不安全だと思ってやるはずないわけですね。ですけれども、そのかわりに国がチェックしますよといったところが全部抜けている。
 それから、事故が起こったら、実は国が何もやらない。国側は、結局、国策としてやった原子力が、もともと危険な設計であり、事故が起こったときの、国民を救うという点で何のポリシーとか具体策を持っていなかったということは事実なので、できるだけ早く国が、今福島の方は、私も行きましたけれども、国の影がないですよ。例えば、国が行って除染しているとか、系統的に市町村と協力して片っ端から片づけているとか、全くないですね。もう二カ月たつわけですから。
 ですから、電力会社の問題というよりかは、国が今まで進めてきたところに大きな基本的な欠陥があった。それが我々原子力をやっている人間に心のすきを与えて、そして徐々に危険な方向に行った。その一つの証拠が今度の福島原発の事故だというふうに思っております。

 四月の中旬に東京電力が工程表を発表したときは、もちろん、その中にわかっていることを書かないという問題がありましたけれども、それ以上に、あの日に政府側も今後の方針を発表しましたが、何ら工程表のようなものは出てこなかった。つまり、少なくとも、東京電力という会社はよきにつけても悪きにつけても存在するけれども、日本国というのはないんだなと思いました。というのは、もう現実に被曝している人が一カ月苦しんでいるにもかかわらず、いつから片づけるのかということすらプランを示せないということは非常に大きな問題だったんじゃないかと思います。それは、今度政府が発表されましたけれども、やはり非常に抽象的であるということで、これは責任上もう一歩踏み込まなきゃいけないというふうに思っています。  

ネットワークでつくる放射能汚染地図 ~福島原発事故から2か月~

2011年05月15日 | まつりごと
 2011年5月15日(日)放送、NHK ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図~福島原発事故から2か月~」番組で使用された福島県、福島市、いわき市の放射能汚染地図を見ることができます。以下、番組から抜粋。

 木村真三さん(43歳)。放射線衛生学を研究する科学者です。福島原発で事故が発生してから、自宅のベランダでフィルターに大気中の放射性物質を吸い取ってきました。3月15日の朝、東京に初めて放射能が到達した日のフィルターを、京都大学原子炉実験所に送り分析してもらったところ、大量のヨウ素131が検出され話題になりました。「ところどころ針のようなものが立っていると。この1本1本が実は放射線核種からのγ線を示しています」木村さんはなぜ放射能の動きを調査しているのでしょうか。「自分は被曝をしているっていうことも当然すごく嫌な気持ちはしましたが、ただそれよりも放射性、生物学的に弱者である子どもたちっていうものに対しての危機感ていうのがものすごく大きかったですね。」福島原発で事故が発生してから木村さんは被災地に入り放射能の調査を続けてきました。住民が避難して誰もいなくなった町で、放射能が降り注いだ山間部で、土壌や植物水や雪など、サンプルとして採取しました。

 木村さんはかつて放射線医学総合研究所に務め、東海村臨界事故の調査を手がけました。その後厚生労働相の研究所に移り、自主的にチェルノブイリの調査にでかけました。今度の事故が起こると職場の幹部は自発的な調査をしないよう指示。木村さんは辞表を出しました。「今までチェルノブイリ、東海村臨界事故、うん、そういうものにずーっとかかわってきた」「その事故というものが起きるであろうという想定のもとにやってきた研究が、一切そのフィードバックできない。指示がでないと動けないという窮屈感というものが、ものすごく大きくありました」

 木村さんの調査活動は友人の科学者たちに支えられています。福島で採ったサンプルの測定は、京都大学原子炉実験所の今中哲二さんに依頼しました。同じサンプルは、広島大学の遠藤暁さんと静間清さんにも送りました。長崎大学では、高辻俊弘さんが最新の測定値を使って協力します。そして、放射線測定の草分け、岡野雅治さんが自ら開発した最新の測定機を使って放射能汚染地図の策定に乗り出しました。

 福島原発事故で放出された放射能はどのような汚染をもたらしたのか。そして、汚染地帯で何が起こっているのか。これは科学者たちが連携しながら、実態調査を行った2ヶ月間の記録です。

憲法記念日

2011年05月03日 | Weblog
 自衛隊は3日、福島第1原発から半径10キロ圏内の行方不明者の捜索を約560人態勢で始めた。10キロ圏の捜索は自衛隊としては初めて。先月14日から始めた福島県警と合同で行い、当面継続する。
 自衛隊によると、3日午前9時半から浪江、富岡両町で捜索を開始した。がれき除去のため重機も投入し、放射線量を計測しながら捜索した。
 10~20キロ圏では1日から捜索を実施しており、沿岸部も含め計2000人以上を投入している。

 東日本大震災の復旧対策費を盛り込んだ総額4兆153億円の平成23年度第1次補正予算は2日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 1次補正は復旧対策費として仮設住宅整備に3626億円、がれき処理に3519億円を計上し、道路、港湾、農地の修復などの公共事業費に1兆2019億円を盛り込んだ。「埋蔵金」や予備費、子ども手当減額などで財源を捻出し、新規国債の発行は見送った。
 一方、基礎年金の国庫負担2分の1を維持するための「埋蔵金」2兆4897億円を1次補正の財源に転用するための財源確保法や、東日本大震災の被災者や自治体を支援する特別財政援助法、地方交付税特例法など関連5法も2日の参院本会議で成立した。

 3月11日発災した東日本大震災による5月2日現在の行方不明者は、1万808人。災害時の対応に一義的責任を負う自治体の多くが被災して機能しなくなり、緊急事態に対処しうるのが中央政府しかないことは明白でした。にもかかわらず菅首相は、災害緊急事態を発せず、安全保障会議も開きませんでした。そして何より原発周辺では被災者救助をしなかったのです。
 内閣府は災害緊急事態を布告しない理由について、国民の私権の制限を避けた旨を国会で答弁しています。人命救助をしなかった理由については、それを問う声さえ聞こえてきません。今の中央政府は、命の危機に法律を読む政府なのです。
 昨夏にも、100歳以上の所在不明者が問題となりました。一族の長老の死に臨む象は、一頭々々が長い鼻で死骸に触れて別れを告げるといいます。畜生ですら行う命の弔いもしようとせず、命を思えない者たちに人間としてのいかなる資格があるのでしょうか。
 昨夏も縁だ絆だと言われました。千年に一度といわれる烈震と街ごと一瞬のうちにのみ込んでしまった巨大津波の中でも、やはり私たちにとって最も大切なのは「個人」よりも「家族の絆」であり、最後の拠り所は「国家」でした。個人がいかに頼りないものであり、国家なくして個人も人権も存在し得ないことを、今また実感しました。
 危機においてこそ物事の本質が現れると言います。命あってのものだね。人権とは人命の尊重です。今すぐするべきことは法律を読むことではなく、法律の理念を考えることです。日本の復興と新生のため、今こそ法の理念、愛を学ぼう。

 菅首相、憲法に三権分立の言葉はありませんが、三権分立のことを書いています。国民の命を救いなさいとの言葉はありませんが、国民の命を救いなさいと書いています。