国際標準規格。これへの統一は容易ではないというより、事実上不可能か。
パソコンはIBM互換機、記憶媒体はblu-rayないしSDカード。かつてはVHSという規格が席巻していたのも忘れてはなりませんね。今のスマホはLTE規格もそうだが、これは日本生まれとか。
さて、鉄軌道の部門だけに絞れば、まずは軌間。次には建築限界寸法、そして通電する標準電圧のことを思い浮かびます。
画像のような国際標準軌間は、かつての蒸気機関車発明家、英国人のスティーブンソン氏が試作した機関車の車輪のフランジ内寸がたまたま4フィート8 1/2インチだったから、この1435ミリメートルが採用され、後のベルリンで開催された国際鉄軌道専門会議にて正式に承認かつ指定されたものと聞きます。世界の線路総延長のうち約71%がそうです。
ちなみに、4フィート6インチは1372ミリメートル、3フィート6インチが1067ミリメートル。2フィート6インチは762ミリメートルか。
かつてのナチスドイツは軌間2000ミリの可否を模索。もし戦争に負けていなければ、総二階建て列車も実現させる野望さえありました。 しかしながら敗れてしまい、架線電圧は単相交流11000ボルト、周波数も25ヘルツと変なものに。
今の世界最大の広軌は1676ミリメートル。インド、ブラジル、スペインなどが挙げられ、サンフランシスコ湾岸鉄道(BART)もその一つ。逆に最小のものは恐らくスイスのごく一部の路線で610ミリメートル。1676ミリ軌間は日本国内では存在したことが一度もありませんが、610ミリ軌間ならば確か新潟県内のとある工場専用貨物鉄道で過去には事例も。ロコちゃんとか呼ばれた可愛い蒸気機関車が活躍していましたね。仮に脱線しても、丸太一本で簡単に復旧できたほどです。
762ミリ軌間ならば、三岐鉄道北勢線、四日市あすなろう鉄道にて今なお健在。ほかには黒部峡谷鉄道もそうです。また過去には王滝森林鉄道や花巻電鉄鉛線、三重交通湯の山線なども。海外では台湾の阿里山鉄道とか、昔の台東線も。韓国にも標準軌に交じり、762ミリ軌間があったような。
………さて、建築限界寸法と聞くと、大陸諸国は日本で言えば、フル規格新幹線車両並みの車長25メートル、車幅3300ミリだろう。確か、満鉄のパシナ型蒸気機関車とか“魔法瓶空調客車あじあ号”、シベリア鉄道なども然り。あじあ号の最高運転時速は130キロでしたね。今は長春鉄路を標榜して健在。ほぼ並行して高速電鉄(新幹線)も走っているようだ。
しかし英国やドイツなどはJRの在来線の規格と殆ど変わらず、これは土地の広さとか、それぞれのお国柄や人口から統一の仕様がありません。
使用電圧は総延長だけ見れば、交流は単相25キロボルト(50ヘルツ)、直流では3000ボルトがポピュラー。
直流3000ボルトはオランダやイタリア、ブラジル、北朝鮮、モロッコなどが有名ですね。但し絶縁上、日本のような高温多湿な国々ではあまり向かないとか。
日本でも戦前は新幹線の前身、東京〜下関間の弾丸列車計画では、標準軌で満鉄並みサイズの大陸風の客車列車とするが、電化は国防上の見地からか、トンネルが多い小田原〜静岡と名古屋〜姫路の区間だけにし、架線電圧は直流3000ボルトを予定していました。今の東海道新幹線の新丹那トンネルは、その時に途中まで建設されたものですね。残りは僅か4年間で完成しています。
今後の新北陸トンネルは竣工まで、そうも工期が掛からなかったらしいが。
ただ、日本や韓国、インドネシアなどは1500ボルト。やはり踏切が多くて、感電死事故抑制の意味合いも??
この直流1500ボルト電化は標準軌のフランス国鉄が発端らしいが、その発祥由来はなぜか不明です。
路面電車も香港の元朗のような750ボルトよりは、今までの600ボルトの方がやはり無難か。あの宇都宮ライトレールは大丈夫かな?
第三軌条式の地下鉄線は直流750ボルトが大半。やがて、600ボルトは東山線や名城・名港線だけになろうとしています。
但し、中国では1500ボルト、北朝鮮とかウクライナ、ロシアなどは825ボルト。地下鉄以外ではBARTで1000ボルト、英国鉄道南部路線では625ボルトの例も。
横浜市営地下鉄ブルーラインの電車は前頭部が扁平気味。BARTにどことなく似ています。快速列車もあり、もっと地上区間が増えればクロスシートも悪くはないとも思いますが、あの大阪メトロ400系的な車両だけは、やめて欲しいね。
英国南部路線では踏切も結構、多いそうだが、感電死事故が心配だ。勿論、踏切上には第三軌条は敷かれておらず、パンタなしの電車は何とか惰力で渡り切るしかない。
また、いちいち進入防止柵なんか設けてもおらず、余りにも事故が多かった路線の中には後に架線式化されて、交流25キロボルト(50ヘルツ)に変えたところさえもあるとか。
なお、欧州やトルコ、イランのサードレール(第三軌条の正式名称)は総じて下面接触式。日本でも旧国鉄信越本線の横軽区間がもともとそうでしたね。私自身は結局、一度も見ずじまいでした。これは、あの煉瓦造りのトンネル自体が単線非電化路線向けの設計で、また積雪対策のためでした。しかしながら、感電死事故はホンマに全くなかったのかしら?
米国や日本、中国、台湾、フィリピンなどは上面接触式であり、木やFRPで丁重に覆われていますね。
東京都内でも、あの地下鉄銀座線には上野地上検査場近くに踏切も。
古くからあったらしいが、あの柵が無かった時代、誤って進入して亡くなったり、大けがされた方々もおられたのだろうね。きっと。まさか、開設最初からあんな手の込んだようなシステムがあったなんて到底に思えないが。うん。
サードレールは今は日本の場合、必ず標準軌の横に敷設。また、駅ホームでは、その反対側に敷かなければなりません。北京の地下鉄1、2号線のような敷き方は厳禁です。
名鉄では地下鉄東山線への直通乗り入れの夢をなかなか捨て切れず、当時の新名古屋駅から、これを一般狭軌の横に敷いて伏見町や亀島方面に延ばしても良いと名古屋市交通局側に伝えましたが、これからは標準軌の時代だ!!と一蹴されたか。折しも近鉄名古屋線の改軌計画具体化も災いしてか、名鉄側は泣く泣く断念しました。
また、狭軌の台車では揺れが多くなり、コレクターシューの破損多発も名古屋市交通局側は恐れたとか。
さて交流の場合、日本では架線ならば25キロボルトまで。第三軌条は660ボルトまでと決められているとか。ただ、在来線の場合は安全性の確保のためか20キロボルト。踏切上で25キロボルト通電では、やはり怖いね。
ロシアでは50キロボルトの実例もあるらしいが。うん。
………今回は視点を普段とは変えて、とうとうと考えてみた次第です。
………実は九州新幹線でも、JR総研はサードレール方式の採用を模索していたようです。ただ、騒音や速度・電圧制限などの問題からか断念。特に脱線時には、いちいちサードレールや碍子等の敷き直しも必要で、採用は困難という結論に至りましたね。
………名鉄瀬戸線は栄町乗り入れに当たり、瀬戸線を標準軌化して地下鉄名城線に乗り入れようとしていました。名古屋市交通局側は将来の環状運転の支障を理由に猛反対。ご破算は当然。瀬戸線のサードレール敷設は考えてもいなかったらしい。
私自身は名鉄本線系への直通不可はやや残念には思いますが、今の4000系が走る姿になって良かったと。さて、あの3306Fが本線系に亘るのは、いつになるのやら? 昨今は6500系や6800系まで、あっけなく廃車になるほどだけに、気掛かりですね。