海賊対処法案 国会承認はいらないのか
2009年4月24日 11:30 > 西日本新聞社説
ソマリア沖の海賊対策などに、自衛隊を随時派遣できるようにする海賊対処法案が衆院を通過し、今国会中に成立する見通しとなった。
いま、ソマリア沖で民間船舶を警護している海上自衛隊の活動は、自衛隊法に基づく海上警備行動だ。
これは、多発する海賊行為に早急に対応するための応急措置である。海賊対処法が成立すれば、新法が自衛隊を派遣する根拠となる。
日本の船や積み荷を、武装した海賊から守らなければならないのは、言うまでもない。しかし、海賊対処法案には、危惧(きぐ)すべき点がある。それは、これまでの政府説明や国会での論議でもぬぐうことはできなかった。
政府は、海賊対策は基本的に警察活動だと位置付けた。だから、法案でも、原則として海上保安庁の任務だと定められた。ただし、相手が重武装の海賊などの場合、自衛隊が対応するとしている。
だが、遠洋でも活動できる大型巡視船を配備するなど、海保の体制を整えればよさそうなものだ。なぜ海保ではだめなのか、という疑問は残る。
そもそも、海保ではお手上げと判断する基準が明確ではない。はっきりしているのは、防衛相が首相の承認を得て派遣を命じ、首相は承認と行動終了後に国会に報告するという手続きだけだ。
海外での武力行使を憲法で禁じているわが国は、自衛隊の海外派遣には当然、慎重であらねばならない。
これまでも、国連平和維持軍(PKF)の本体業務やイラク人道復興支援など、武器を使用するケースも想定される海外活動は、国会の承認を義務付けた。
法案は、護衛対象を外国船にも拡大するとともに、警告を無視して接近する海賊船への射撃も容認した。
海上警備行動よりも制約が緩むことで、武器使用の可能性は高まるだろう。
一方、どのような時に射撃してよいのか、厳密に規定されているわけではなく、事実上、現場の判断に委ねられる。
実際、現地では人質を救出しようとした米軍と海賊が銃撃戦となり、死傷者が出た。ひょっとすると、自衛隊が海外で初めて武器を使用し、人を殺傷する事態が起きるかもしれない。
それにもかかわらず、国会へは報告だけで済ませていいものだろうか。文民統制の面からも、問題があると指摘しておきたい。
参院は野党が多数を占めている。国会承認が必要となれば、自衛隊を容易に派遣できなくなるので、国会報告にとどめておこう。まずは自衛隊の海外派遣拡大に道を開くことが重要だ-。
政府与党にそんな思惑があるのだとすれば、平和国家が目指す理想に逆行するものだと言わざるを得ない。
参院の審議では、こうした国民の懸念や疑問にきちんと答えてもらいたい。
このような憲法を無視した法案を、小泉政権で獲得した衆議院議席数を笠に着て、強引に推し進める麻生内閣には、怒りを禁じえないが、
この法案に、民主党が本気で立ち向かう意思がないという噂を耳にした。
今朝のサンデーモーニングでも言っていたし、あちこちのブログでも、民主党の対応に疑問を呈しておられるものが目に付く。
それで先日小沢応援団に入っていたのを思い出して、
今日小沢応援団宛に下記の文章をメール送信した。
西松事件ではご心労の事とお見舞い申し上げます。
この度麻生政権は、海賊対処法なるものを出し、国会審議なしで自衛隊を海外派遣できる事と決め、衆議院を通過させたそうですが、参議院で民主党はこの法案に審議引き延ばしなどの抵抗はせず、すんなりと通過させ成立させる手助けとも取れる道を選ばれる事になっていると聞きます。
これでは私たちは何の為に政権交代を求めているのか意味が分からなくなってしまいます。