Friends of Valves 自作真空管アンプ

自作真空管アンプを中心にいろいろ載せていきたいと思います。

3極管接続でスクリーン許容電圧を超えていいのかどうか

2022-09-17 21:13:49 | 真空管

先週、6CD6Gで水平偏向管の3極管接続を紹介しましたが、その動作点は、スクリーングリッドの許容電圧を超えたものでした。

安い水平偏向管なので、あまり躊躇なくこういう動作をしましたが、果たしてこういうことをしていいのかどうか、少し考えてみたいと思います。

ただし、確か、ナショナルか東芝の真空管ハンドブックには、「3極管接続時はスクリーンの最大定格電圧を超えないこと」、というような記載がどこかにあったのを見た気がしています。そのため、設計上はそういう使い方は本来だめなのでしょう。

因みに、BRIMAR 6CD6Gの規格表には、下記のような記述があり、最大プレート電圧は、4極管接続時の700Vに対し、3極管接続時は最大スクリーングリッド電圧に引きずられ、200Vになっています。

しかし、そんな硬い使い方をしていては、いつまでたっても水平偏向管は、猫マタギになりますし、新境地を目指すのもマニアの務めだと思っていますので、真空管ハンドブックの記載はあくまで参考ということにします。

冒頭のアンプでは、6CD6Gのダブルカソード管をプレート電圧270Vで動作させ、プレート損失は約18Wと少しオーバーしてしまいました。

早速ですが、5極管の3極管接続時のスクリーングリッドにはどんな電流が流れているのか測定した図を載せます。

(注)Isg2と表記していますが、Isgの間違いです。

この球は、かなり前に測定した別の5極管の3極管接続時のプレート電流Ipと、スクリーングリッド電流Isgを計測したものになります。

その結果、この図のようにスクリーングリッドの動作は、プレートの動作に準じた動きをしていることがわかりました。さしずめミニプレートといった感じです。

この動作によって、真空管自体あるいはスクリーングリッドに危険が及ぶとしたら、どういうことがあげられるでしょうか。

1つは、スクリーングリッドの許容損失を超えることがあげられます。同様にプレート許容損失も最大定格値を超えてはいけません。

これについては、図のようにコントロールグリッドのバイアス電圧で制御可能で、VgによるIsg電流の制限により、スクリーングリッドの許容損失内で動作させればよいことになります。つまりスクリーングリッドに大電流が流れてすぐに許容損失を上回るのであれば、Vgを大きくして流れる電流を制限すればいいわけです。

その分バイアスが深くなるで、ドライブ電圧も高くなります。

では、バイアスが深くなることで発生するインゼル効果はどうだ?

インゼル効果により、カソードからの熱電子がグリッドの負の電圧が及ばない一部分からしか出なくなるので、gmも下がり、本来の特性も変わると思われます。発生しない程度のバイアスとすればいいと思います。

その他、何が考えられるでしょうか。コントロールグリッド(g1)あるいは、サプレッサーグリッド(g3)とスクリーングリッド(g2)間の絶縁耐圧?これを考えるなら、サブミニチュア管やミニチュア管(MT管)なんてもっと狭い電極間隔内で動作していますので、よほど高電圧(kV単位で)をかけない限り大丈夫のような気がします。

他あまり思いつきません・・・

今のところの考えでは、3結時はスクリーングリッドとプレート電流はコントロールグリッドのバイアス電圧で制御可能で、スクリーングリッドとプレートそれぞれの許容損失を上回らなければ、プレート電圧を上げても大丈夫、という解釈です。

これに関し、もし何か抜けている点などありましたらご指摘いただければと思います。

ということで、我々マニアはどんどん水平偏向管を使って、いけない遊びをして、安く、良いアンプを作りましょう。

ただし、このような行いで発生した事故・損失に関し、当方はいかなる補償も負いませんので、悪しからず。

 

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TV用水平偏向管6CD6Gの測定

2022-09-11 20:33:35 | 真空管

このところ少しブラウン管テレビの水平偏向管に凝っています。凝っているといっても手持はそれほどないのですが、多くの水平偏向管はあまりオーディオ用としては、日の目を見てきませんでした。

それは、例えばスクリーングリッドの最大定格電圧が低くかったり、プレートキャップがあったりと、オーディオ用には少し使いづらい点があったりしたからです。なので、ほとんどの球はあまり注目されてきませんでした。しかも、マニアウケも悪く、試聴会で鳴らそうものなら鼻でフンとあしらわれる可能性さえあります。

そんな水平偏向管でもオーディオ用に良いものがあるのではないかと思い、以前から良さそうなものはないか物色していたのでありました。

その中で見つけたのが、6CD6という球です。

6CD6のバリエーションは多く、コークボトルといわれるST型の6CD6Gや、ストレートのT型バルブ6CD6GAがあります。またSTタイプの球には、上記写真左側のようにダブルカソードタイプや、真ん中のシングルカソードタイプの2種類があり、他にトランスレスタイプとして、ヒータ電圧が25Vや、35V、50Vというのもあります。テレビ用というだけあって、バリエーションも豊富です。

下記は、Raytheonの50CD6Gです。

6V管の6CD6Gはヒータ電流2.5Vと大飯ぐらいですが、そのぶっといカソードの赤熱ぶりは、トリタンか?と思わせるほど明るく光ります。

さて、そんな6CD6ですが、これをオーディオ用に使用する場合、まず手っ取り早く使用したいなら3極管接続です。ただ、記載したように、スクリーングリッドの最大定格電圧が低いため、多くの方は躊躇してしまうでしょう。

さて、猫マタギ球とも言われる水平偏向管を前にして壁が立ちはだかりました。設計値を超えて電圧をかけていいものか、あるいは安い球なのでここは思い切ってやってみろ、壊れても安い球なのでいいじゃないか、と耐圧を超えた動作をしてみるか・・・。

当方は、後者を採用しました。つまり最大定格を無視した使い方です。水平偏向管で新境地を目指し、新しい球を発掘する方にかけてみます。

早速、6CD6Gの3極管接続特性を測定しましたので、掲載します。

ご覧のように計測時、プレート電圧約500V、プレート電流約180mA程度の電流が流れていますが、案外丈夫でびくともしませんでした。

ただし、注意してください、どの球もこれでいいわけではありません。レア管でこんなことはしないようにしましょう。欧州製の球は大電流を流すとすぐにエミッションが無くなる球もあります。

今回は、新境地を目指すべく、測定結果は広い範囲を見たいので、こんなに最大定格をオーバーしています。

その結果、この球、案外直線性がよく内部抵抗も低くてむしろ、オーディオに良さそうな特性だということがわかりました。

早速解析が必要ですね。v^^

ということで、上図に3定数を記載しましたが、詳しい方はこれを見てお気づきかもしれません、某有名直熱管にそっくりな特性です。内部抵抗が約1000Ω、μが4ほどの球と言えば・・・2A3が近いですね。

なんと、猫マタギの1つ、水平偏向管である6CD6Gの3結特性は2A3に類似した特性ということが判明しました。まさに新境地です。この球さらに好きになりました。

さて、アンプに仕立てた場合、どういう結果になるのでしょうか。

動作点がVp=280V、Ip=68mAのところで、RL=2.5kΩと3.5kΩで見てみました。一応プレートロスは、6CD6Gは15Wですが、本設計では19Wほどになっています。これも少しオーバーですが、気にしない気にしない。なお6CD6GAは、20Wまで可能です。

この場合出力は、5W弱となり2A3より出力は取れそうです。実は、実験用のアンプに装着して音は確認済みです。特性結果の通り、音はよかった印象です。お暇な方、高い球に懲りた方、手軽に良い音を試したい方、ぜひこんな球で新境地を目指してみるのはいかがでしょうか。

 

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マイナポイント第2弾のパソコンでの申請

2022-09-10 21:07:50 | 日記

はずかしながら、マイナンポイント第2弾について最近まで知りませんでした。うちの奥様から聞いたのですが、何やら、マイナンバーカードと保険証の紐づけと、銀行口座の紐づけで、それぞれ7,500pt、計15,000ptももらえるらしいです。

そういえばTVでCMしてたなー、とは思っていたのですが、よく考えておらず、第2弾なんてのをやっているなんて思いもしませんでした。

最近、「マイナンバーカード」普及が伸びないいくつかの理由」てなニュースも出ていましたが、中には私みたいな鈍い人もいるので仕方ないですね(笑)。

ま、とにかくもらえるものはもらおうと。

うちの家族は全員スマホを持っているので、まずは、保険証の紐づけから挑戦。何とか次の日にもらえたのですが、私は少々スマホは苦手で少し疲れました・・・全体的に何が必要でどういう手順でやるのかよくわからず、奥様に聞きつつやったのですが煩わしく感じました。(が、息子たちはそれほど苦もなく出来たようです。)

その後、実家へ行ったときにこの話しすをると、両親の分も当然やってほしいとなりますよね。ですがスマホが煩わしかったので、今度有休休暇の際に市役所に連れて行ってやるよと約束したのでした。

が、つい先日、神戸新聞にこんな記事が・・・

3時間待ち、怒鳴って帰る市民も…マイナポイント申請支援窓口、神戸で大混雑 東灘区などは予約制へ

うちは違う市役所なのですが、恐らくどこも同じようなもんでしょう。年寄にこんな不便な思いをさせても何ですし、待ち時間が長いのももったいない。Time is money!です。

そこで、パソコンで申請をしてみようと、ヤフオクで安い”カードリーダ”がないか物色していたところ、見つけました。なんだか古そうな機種ですが非接触と接触の両方が使える高機能なものです。古いので価格は¥1,000前後で落札できました。

練習がてら、未申請の銀行口座の紐づけに挑戦したのですが、慣れているパソコンでは、若干のアプリのインストールをはじめ、手続きはスイスイと進み、PayPayの紐づけで必要なコードをスマホアプリから見つけるのに苦労しましたが、無事ポイントをゲットできたのでした。

ということで、老いた両親に今日、このシステムを使ってポイント申請のための手続きを行いました。両親はスマホ(PayPay)を持っていないので、近所のスーパーのICカードに紐づけしてポイントを無事ゲット。

¥1,000で市役所に行く手間が省け、ポイントももらえた良い1日となりました。

スマホが苦手もしくは持っていなくて、かつ役所で申請のために並ぶのが嫌な人はこういう申請方法もありますので、良かったらご参考ください。^^;

 

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SANSUI製 正体不明トランスの測定

2022-09-04 16:51:54 | トランス

10年位前でしょうか、ヤフオクでトランスがいくつかまとめて出品されていました。真空管アンプに使えそうな電源トランスやチョーク、小さな出力トランスや何用だかわからないトランスなど数10個をひとまとめにしたものでした。

こういうのを見ると、ついワクワクしてしまいこの価格なら買ってもいいかなと、決めた額を入札しておきました。すると運よく案外安めで落札でき、見事トランス長者になったわけですが、その中に含まれていたなんだかわからないトランスが気になっていたのを思い出しこの機会に測定してみました。

そのトランスは下記のような山水のトランスです。

結構大きなトランスで、コアボリュームも大きくまたコアの組み方が下記写真のように少し変わっています。

リード線は2方向に分かれていて、1次側、2次側とそれぞれ接続できるようになっているようです。恐らく出力トランスではなかろうかとは思っているのですが、どんな巻線なのか、1次、2次インピーダンスはどのくらいなのか、品番はおろか、リード線の接続方法についてもよくわかりません。

そこでまずは、このリード線がどんな接続なのか、トランスの1次、2次のそれぞれの接続状況を確認してみました。

この確認方法については、それほど難しくなく下記写真のようにテスターのDCRの計測で各リード線のつながり方や抵抗値を測定していきます。その結果、各リード線の接続状況やリード線間のDCRの状況から下記の図のような巻線構成になっているものと思われます。

次に、巻線比や巻方向の測定です。これは普通のテスターではできないので、早速購入したばかりのファンクションジェネレータとオシロを使用して確認してみます。

取りあえず、黄色と橙色のリード線を結んで、緑ー赤色間に信号を入れて、黒ー紫色間の信号電圧を確認し、巻線比を確認してみます。

緑色ー赤色間には、瞬時値2Vの1kHzの交流電圧を加えています。

そうすると、出力は下記のようにほとんど出ず。

どうも信号が打ち消しあっているように思えます。打ち消す要素としては、緑-黄色間と橙-赤色間の巻線が逆の可能性ありです。そこで、接続を変更してみました。緑色と橙色を結びます。そうすると下記のように出力が出ました。

2Vの入力に対して、0.34Vの出力となりました。合わせて、1次-2次間の位相の確認ですが、現在の接続で下記のように同相であることがわかりました。

ということは、巻線の巻き方(位相)と巻線比は次のようになります。

巻線比は、6:1で、巻き方向は図の黒丸の通りのようです。

仮に黒-紫間を2次側、黄-赤間を1次側とし、黒-紫間のインピーダンスを16Ωとすると、黄-赤間のインピーダンスは、巻線の2乗に比例するので

Zp=6×6×16≒600Ω

となります。

何だかトランジスタ用の出力トランスのように思えてきましたが、実際のところどうなのでしょうか。最後に出力トランスとして使用できるのか、周波数特性を確認してみたいと思います。測定回路は、下記のようになります。1次インピーダンスを600Ωとして測定します。その場合、発振器の出力インピーダンスは50Ωなので、トランスの1次インピーダンスに合わせるため、550Ωを追加します。

測定結果は、ざっとですが、10Hz~150kHz位まであり、出力トランスとして申し分ない特性です。これが電源トランスだったら、恐らく数kHz程度しか高域は伸びないと思われます。よって、電源トランスというよりは、出力トランスとして使用すべきトランスで、1次側:600Ω(150Ω+150Ω)、2次側:MAX16Ωのプッシュプル用出力トランスということが判明しました。

思わぬ低インピーダンスの出力トランスでした。このトランスで何のアンプを作ろうか。楽しみがまた増えそうです。

 

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TOKIN SIT 2SK182ESの特性測定

2022-09-03 20:04:14 | 真空管

以前、TOKINの縦型FET 2SK182ESを入手しましたので、特性を測ってみました。今回はいつもの真空管と異なり、驚きの特性だったので、掲載してみたいと思います。

縦型FET(以下、SIT)は、3極管特性を持つFETで一時期V-FETとして2SK60/2SJ18など流行った時期がありました。私もいくつか購入して持っていますが、持つだけでうれしくなり、実はまだ一度も使用していません。そうこうしているうちに世の中はパワー半導体の世界になり、大電力が扱えるV-FETが登場してきました。それがTOKINのSITで、カタログには、「高耐圧、高周波大電力、21世紀のトランジスタ」と記載されています。

TOKIN SITの主なラインナップの特性とそのアプリケーションをカタログから拾いました。

驚くことに、2SK182EでPt=500Wと単純計算で211の5本分はある特性であることがわかります。

さて、その測定結果ですが、下記のようになりました。普段、真空管ばかり相手しているので、測定環境は、アンペアレベルで測定できず、最大電流は300mAとなります。また、壊れると悲しいのでVdは250Vまでとました。

ご覧のようにVg=0Vでは、Vdがわずかな電圧で大電流が流れるという、ほとんど銅線に近い特性です。Vgにわずかに負電圧を加えるとようやく傾きが出てきますが、特性曲線がVgの変化に比例した間隔ではなく、なんだか直線性の良くない結果となりました。

下記にカタログにある2SK182の特性を掲載します。

こちらの特性もVsg=0Vでは、ほとんど銅線に近い特性ですし、Vds<300Vでは、Vsgが5V間隔にもかかわらず、特性曲線の間隔が均一ではないので、測定結果とほぼ似ているのかなと思います。

と、言うことで測定結果を掲載しましたが、ご参考になるかどうか。Vdを500Vぐらいまでかけた方がよかったかもわかりません。また機会があれば再計測してみたいと思います。

 

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