産業遺産情報センター
入館無料
要事前予約
開館時間:10:00-17:00(最終入館時間:16:30)
休館日:原則として土曜日、日曜日、国民の祝日・休日および12/29-1/3
〒162-0056
東京都新宿区若松町19-1 総務省第二庁舎別館 電話: 0120-973-310
朝鮮半島出身者の給料袋が展示された産業遺産情報センター(東京都新宿区)
長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」をめぐり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会が14日の決議で評価した政府の産業遺産情報センター(東京都新宿区)の展示内容が16日、判明した。朝鮮半島出身者を含む炭鉱労働者が犠牲になった落盤事故が記録された資料に加え、徴用工の給料袋など待遇を説明する資料も新たに追加した。 世界遺産委は2021年、徴用された朝鮮半島出身者に関する表示が不十分として「強い遺憾」を表明する決議を採択した。決議の根拠となったユネスコの専門家報告書は「犠牲者の記憶をとどめる目的に適切に対応した展示が皆無」としていた。 このため、センターは端島炭坑で1941年9月~45年8月に落盤事故などで44人が死亡したことを示す展示を追加した。15人が朝鮮半島出身者とみられるという。 また、戦時中の炭坑での日々の作業内容や人数、衛生状態、落盤の有無などを記録した「保安月報」や「保安日誌」を動画で紹介した。ある落盤事故では朝鮮半島出身の労働者が行方不明になり、5日間にわたる捜索が行われていた。事故を伝える当時の新聞記事なども展示した。 世界遺産委は徴用労働者の待遇に関する資料も求めていたため、兵庫県内の造船所で働いた朝鮮半島出身者の給料袋約40点を入手し、レプリカを展示した。賃金は月によって44円から286円まで幅があったが、当時の同県の男性工場労働者の平均月給(約150円)や、若手官僚の本給(75~100円程度)と遜色ない水準だった。 こうした追加展示などを踏まえ、世界遺産委は14日に日本側の取り組みを評価する決議を採択した。 明治日本の産業革命遺産をめぐっては、2015年に世界文化遺産に登録される過程で、韓国側が軍艦島などで朝鮮半島出身者が労働を強いられたと反発。日本政府は出身地にかかわらず、炭鉱事故などで亡くなった犠牲者を記憶にとどめる措置をとると表明し、20年にセンターを開設した。 軍艦島については、一部の海外メディアが1千人以上の中国と韓国の労働者が死亡したなどと報じている。センターは追加展示でも出典が明らかな一次資料を集め、当時の労働実態について客観的に考察できる環境整備に努めた形だ。
産経新聞
中国が東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて日本産海産物の輸入を全面停止したことを巡り、在日米国大使館が日本の漁業者の独自支援に乗り出したことが分かった。輸出額が多い日本産ホタテの大半が中国で加工処理後に米国へ再輸出されることを踏まえ、米食品医薬品局(FDA)の登録を受けた台湾、タイ、ベトナムの加工施設への輸出を仲介し、ここから米に再輸出するルートを構築する。 もともと、日本産のホタテは中国の施設で殻むきなどの加工をした後、米に再び輸出されるケースが多かった。米国が昨年1年間で、中国経由で輸入した日本産ホタテは1億ドル(約147億円)超にのぼる。今回、中国の全面禁輸措置に伴ってこのルートが使えなくなり、日本の漁業者の収入減が懸念されていた。 今回、米が斡旋する施設では、中国と同様にホタテの加工ができるという。さらに、対米輸出向けの食品加工を行う際に必要となるFDAの登録を受けていることから、一連の輸出手続きもスムーズとなる。 米大使館では、担当者が東北や北海道などを訪れ、漁協関係者らに3カ国・地域の施設を紹介している。米側には、不当な禁輸措置に対抗する日米の結束を示すとともに、中国経由で輸入する日本産海産物への影響を最小限に抑える狙いがある。 「日本産海産物の全面禁輸という中国の行き過ぎた政治決断とは対照的に、米国は日本とともに立ち向かう」。エマニュエル駐日米大使は8月末に福島県相馬市を訪れ、日本を支持する声明も発表した。 日米で重要物資のサプライチェーン(供給網)の強靱化を含む経済安全保障への対策が進む中、今回の禁輸措置は、供給網の脆弱性をあぶり出す機会となった。米政府はホタテを含む日本産海産物の大部分に関税をかけておらず、今後も日米間で海産物の流通の安定化を図りたい考えだ。
(岡田美月) 産経新聞
クルド人らによる騒ぎがあった現場=7月4日夜、埼玉県川口市の市立医療センター前(読者提供)
埼玉県川口市で一部のクルド人と住民のトラブルが相次いでいる問題をめぐり、衆院外務委員会の黄川田仁志委員長(自民党)がギュンゲン駐日トルコ大使と面会し、懸念を伝えたことが16日、分かった。産経新聞の取材に黄川田氏が明かした。状況が深刻化すればトルコに対する査証(ビザ)免除措置の見直しを求める国内世論が高まりかねないと説明した。 黄川田氏は14日にギュンゲン氏と面会。観光目的で入国した一部のクルド人が難民申請をして滞在し続ける事例が発生していると指摘した。不法就労を斡旋するトルコ国内のブローカーの取り締まりや、トルコ国籍の日本滞在者に対する法令順守呼びかけなどを求めた。 黄川田氏はイラン国籍の不法滞在者増加などを理由に、政府が平成4年にイランへのビザ免除措置を停止した過去に触れ、「そのような事態は日トルコ関係にとって好ましくない」と訴えた。ギュンゲン氏は「重く受け止め、本国に報告する」と答えたという。不法滞在者の早期送還に協力するとも述べた。 川口市ではクルド人と地域住民との軋轢が表面化し、同市議会は6月、国や県に「一部外国人」の犯罪取り締まり強化を求める意見書を可決した。しかし、その後の7月初めには、殺人未遂事件をめぐるクルド人グループ同士の争いで約100人が市立病院周辺に殺到し、救急の受け入れがストップした。 一方、トルコ政府はクルド人国家の独立を求める非合法武装組織「クルド労働者党」(PKK)の掃討作戦を続けており、一般のクルド系住民の権利が損なわれているとの指摘もある。
産経新聞