処理水で“汚染”していても中国船が獲ったらOKという日本産水産物禁輸のお粗末
9月25日から29日まで、オーストリアのウィーンでIAEA(国際原子力機関)の年次総会が行われ、福島第一原発処理水を中国が「核汚染水」だと非難したのに対し、日本から出席した高市早苗科学技術担当大臣は安全性を強調して反論してみせた。 ただし、中国がいかに二枚舌を使っているかについて、25日付の朝日新聞があからさまにしている。それによれば、日本の東方沖合の北大西洋で日本と中国の漁船がサンマ漁などを行っており、同じ海域でも日本の漁船が日本の港で水揚げすれば「日本産」となり中国の禁輸の対象になるのだが、中国漁船が持ち帰ったものは「中国製」になって国内に流通しているという。同じ海域で獲ったにもかかわらずだ。 「米国のエマニュエル駐日大使は、度々X(旧Twitter)で中国を挑発していますが、9月3日の投稿では、中国が日本の水産物を輸入禁止にしても中国漁船が日本漁船と同じ海域で漁を行っていることを暴いていました。中国が禁輸を発表しても大方そんなものだろうとは予想していましたが、思った通りの事態が白日の下に晒されました」(外信部記者) だが、いくら矛盾があっても禁輸は実際に行われているので、中国の税関の発表によれば、8月の日本からの水産物輸入額は、前年同月比で67.6%減の約30億円に落ち込んでいる。9月以降はさらに、ほぼゼロに近づく。北海道ではホタテが行き場を失って、保管場所が満杯に近づいているという。ただし中国側も禁輸のダメージは大きく、海産物自体のイメージがダウンして国内消費が減少、ブーメランとなって返ってきている。 中国のダブルスタンダードはそれだけではない。香港では福島、東京、千葉、栃木、茨城、群馬、宮城、新潟、長野、埼玉の10都県からの海産物の輸入をストップしているのだが、他地域からは検査を強化したものの基本OK。この香港が実質的な抜け穴になっているのだ。 「そんな現実もあり、BBCなどの海外メディアや地元メディアが日本食レストランの人気ぶりをこぞって報じています。彼らは実際食べてみて、美味しくて安心だということを分かっていますからね。さらに24日には、香港から中国本土に日本産水産物を密輸しようとした漁船船長ら6人が逮捕されるという事件も起きています」(同) いずれにせよダブスタの禁輸だけに、これを破ろうという動きは今後も出てくるだろう。
アサ芸biz