東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に抗議してデモを行う人たち=8月24日、香港(共同
ここまで露骨な悪意を臆面もなくみせられると、怒りを通り越して妙な感心すら覚える。東京電力福島第1原発の処理水放出を巡る中国政府の愚挙である。科学が裏付ける処理水の安全性には一切目もくれず、日本産水産物の輸入を全面的に禁じた。中国人の反日行動が暴走しても事実上の黙認である。
経済低迷への国民の不満をそらす思惑など、背景はいろいろあろう。だが、それ以前に中国の対応には道理が全く通じぬ異常さがある。これでは中国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟したいといっても、質(たち)の悪い冗談にしか聞こえない。
昨年1月に発効した「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に中国が入ったことについて、日本政府内では「中国を引き込むことでルールの徹底を強く働きかけられる」との声があった。こうした期待がいかに的外れかが今回、さらにはっきりしたのではないか。
産経新聞
13人のデモ