河辺華挙の描いた「鳥類写生図」は粉本、すなわち日本画の手本となる参考資料である。この巻物には様々な鳥の詳細なスケッチが収められ、いわば「紙に描いた標本」ともいえる。
そのタッチは極めてリアリスティックなものであり、鳥の羽毛一枚、脚の鱗一つまでが描かれている。各部の色や羽毛の枚数を指定した絵もある。
一方、そのリアルな描画は、我々が普段目にする定型的な日本画とはあまりに隔たっている。これはすなわち、画家たちは精密な描写からステレオタイプな花鳥画まで、非常に大きな幅を持った表現を行なっていたことを意味する。
今回は「鳥類写生図第二巻」を紐解き、リアルなスケッチから図案化された日本画までが一巻に収められた様子をご覧いただきたい。さらに、同巻に収められた山本正幸(暉山)の描いた鳥に至っては全く画風が違い、より漫画的でさえある。
絵とは細密なものだけが優れているのではない。対象のどこをどう省略し、強調し、デフォルメして「絵」として完成させるか、その過程も画家の技量である。そこには時代や地域を超えたデフォルメの共通性といったものも感じられる。また、それは人間が外界をどのように見ているかを、改めて我々に教えてくれるものでもあるだろう。
主催 東京大学総合研究博物館
防衛省が先進技術を防衛力強化に生かすためスタートアップ企業に熱視線を注いでいる。防衛装備庁は、スタートアップとの意見交換会を定期的に開催。防衛ニーズとのマッチングを図り、防衛産業への参入を促す。陸海空に加え、宇宙、サイバー、電磁波など新たな領域での戦いに対応するため、民間の先進技術の活用は不可欠となっている。
「防衛力の向上には民間技術を積極的に取り込むことが死活的に重要だ」。同庁の伊藤和己装備政策課長は31日、東京都内で開いたスタートアップとの意見交換会で、こう強調した。
会合は経済産業省との共催で今年6月に始めた。3回目の今回は衛星や人工知能(AI)などのサービスを展開する4社が参加し、自社の技術・製品の強みなどをアピールした。
産経新聞
東京電力は2日、福島第1原発処理水の3回目の放出を開始した。処理水に含まれる放射性物質トリチウム濃度は1リットル当たり55~77ベクレルで、国が認可した計画の同1500ベクレルを大幅に下回った。過去2回と同じ約7800トンを放出する。20日に完了する見通し。 3回目の放出後も原発周辺の海域で行っているモニタリング(監視)は継続する。東電によると、2日午前10時20分すぎに処理水を送り出すポンプを起動。海底トンネルを通じて約1キロ沖合に流した。 処理水の保管量は10月26日現在、約133万トンでタンク容量の97%に相当。海洋放出は8月に始まり、今年度は4回に分けて計約3万1200トンを放出する計画。これまでに周辺の海水や魚類などからトリチウム濃度の異常値は確認されていない。 一方、先月27日まで同原発に調査団を派遣した国際原子力機関(IAEA)は「技術的な懸念がなく、放出が計画通りに進んでいることを確認した」とする検証結果を発表した。
産経新聞