岸田文雄内閣の支持率低下が止まらない。報道各社の世論調査は軒並み、「危険水域」とされる30%以下に落ち込み、10%台突入も視野に入ってきた。LGBT法の拙速な法制化などで、安倍晋三、菅義偉両政権を支えた岩盤保守層は距離を置き、自民党5派閥の政治資金パーティー券疑惑の影響か、政党支持率まで落ちてきた。ジャーナリストの長谷川幸洋氏は「一寸先は闇」といえる岸田政権の現状に迫り、「ポスト岸田」や、警戒される最強官庁・財務省と、東京地検特捜部の動きに迫った。
岸田内閣の支持率が急落している。報道各社の世論調査では、内閣支持率は軒並み、20%台に突入した。では、自民党に「ポスト岸田」にふさわしい候補者はいるのか。私は、高市早苗経済安全保障相を推す。
高市氏は、中国に一貫して厳しい姿勢を示してきた。前回の自民党総裁選(2021年9月)では、金融緩和と戦略的な財政出動、大胆な投資を掲げて、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化目標の凍結を明言した。憲法改正も訴え、全体として、安倍元首相の路線を継承している。それが支持する理由だ。
萩生田光一政調会長や西村康稔経産相など、ほかにも人材はいるが、総裁選に手を挙げた実績を評価したい。
課題は「党内で、どこまで支持が広がるか」だ。とりわけ、かつて所属していた安倍派(清和会)には、「彼女だけはダメだ」という声が少なくない。派閥を飛び出しておきながら、安倍氏に重用され、日の当たるポストを得てきた経歴に対する嫉妬が主な理由だろう。
だが、ここまでくると、「そんなことは言っていられない」という声が強まる可能性がある。自分の選挙を考えて、「自民党の人気が回復できるなら、何でもいい」という話になるかもしれない。
産経新聞
米サンフランシスコで16日(日本時間17日)、岸田文雄首相と中国の習近平国家主席が1年ぶりに会談をした。45分の予定時間を20分超えて議論が交わされた。会談の内容を知る複数の日本政府当局者の話を総合すると、会談は終始、岸田首相の「攻め」が目立ったようだ。
日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃や、中国で拘束されている邦人の早期釈放など、矢継ぎ早に求めたほか、ロシアとの連携を含む中国による日本周辺での軍事活動の活発化についても「深刻な懸念」を表明したという。
中でも筆者が重要だと思っているのが、中国が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に大型のブイを設置した問題だ。ブイは沖縄県・尖閣諸島の魚釣島の北西約80キロ、日中中間線の日本側に設置されている。ブイには気象や波の観測器が備わっているとみられるほか、中国側が中間線の存在を否定し、尖閣の領有権を主張する既成事実化を進める意図が透けて見える。
すべての軍を含めた権限を掌握する習氏に対して直接、岸田首相が「ブイの即時撤去」を要求した意義は小さくないだろう。こうした抗議をしなければ、中国側の既成事実を認めることにつながるからだ。
その最たる例が、昨年8月に中国軍が弾道ミサイル5発を日本のEEZ内に撃ち込んだ後の日本政府の弱腰な対応だった。重大な日本の主権侵害にも関わらず、外務次官が駐日中国大使に電話で抗議しただけだったからだ。
口頭の抗議だけで、中国側がブイの撤去に応じる可能性はゼロに近いと言っていい。そもそも、日本政府の抗議は織り込み済みだ。これまで幾度となく、中国側の主権侵害などに対し、日本政府は「遺憾」を表明してきたが、効力があった例は皆無といっていいだろう。 では、どうすればいいのか。筆者は「目には目を」しか対抗策はないと考える。
中国、特に中国共産党の行動原理を説明するとき、「力の信奉者」と筆者は表現している。つまり、いくら口頭で抗議しても馬耳東風であり、実際の行動を重視する傾向にあるのだ。
今回のブイの対抗策で最も効果があるのが、日本政府も日中中間線の中国側にブイを設置することだ。中国は自己否定につながるので抗議をしづらいうえ、存在を否定している中間線を認めることにもつながるので対抗策がとりづらいからだ。
中国が大国となり対外政策も強硬になっているなか、日本政府は「抗議のお作法」を改め、実行力のある対抗策をとることが今、求められているのだ。(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員 峯村健司) 産経新聞
国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が30日、アラブ首長国連邦(UAE)で始まる。議長国のUAEは、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にする誓約を採択する方向だ。欧米を中心に複数の国が賛同する見通しだが、再エネ導入の上積みが必要となる日本は難しい判断を迫られる。足元では再エネの電力が余るため発電を抑える「出力制御」が増えており、再エネをフル活用するための対策が急がれる。
再エネ3倍が公約に
再エネの設備容量を30年までに現在の3倍の110億キロワットにする目標は、COP28の誓約案の目玉の一つだ。今年9月の国際エネルギー機関(IEA)の提言や、日本も参加した20カ国・地域(G20)首脳会議の首脳宣言にも盛り込まれている。日本も世界全体の再エネ容量拡大には賛同する方向だ。
木原稔防衛相は26日、北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げを巡り、発射技術が向上しているとの認識を示した。視察先の航空自衛隊府中基地(東京都)で記者団に分析状況を問われ「ミサイル技術のさらなる進展に加え、衛星打ち上げに一定の技術的進展を得たものと考えられる」と述べた。 衛星として機能しているかは引き続き分析中とし「仮に偵察衛星を保有、運用するに至った場合、北朝鮮の核・ミサイル運用能力はさらに向上し、わが国や国際社会の平和と安全を一層脅かす恐れがある」と懸念した。 日本政府は24日に「何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と説明した。木原氏は府中基地に拠点を置く「宇宙作戦群」が得た情報も精査したと明らかにし、宇宙領域での作戦能力強化にも意欲を示した。
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