翌10日、朝
うんちもおしっこもした様子がない
前日、病院には連れて行ったが、
この日も再度、診てもらうことにした
いつもの病院までだと時間がかかりすぎるので、
朝一番にいざというときの病院に電話して、
緊急に診てもらえるかどうか訊いたら
とにかく、連れてきてとのことだったので
アキルの体をお湯で洗って毛布で包み
朝9時、病院に飛び込んだ
そのころ、アキル、首から上は動くが、すでにほかが動かない
病院でも、緊急! と判断され、即座に診療室へ連れていかれた
すぐに呼ばれたので行ってみたら、
アキルは酸素吸入を受けていた
非常に状態が悪いので、予断は許さない
を繰り返す医師
即、お預かりとなったが、
かあちゃんとしては、
アキルの昨日からの急激な体調の変化に、かなりの不安を覚えていた
はたして、アキルは持ち直してくれるんだろうか?
以前もそんなことがあり、その時は3日目に快復してくれたけど…
何かあったら連絡をくれるとのことで、一旦帰ることにした
今回、たぶん、その連絡というのは……(-_-;)
いつも面倒をみてくれていたSさんにも「アキル重体」と連絡
彼女も、いきなりの話でびっくりしたらしい
12時16分、病院から電話
先ほどから、呼吸をしていないという
わかりました
また電車に飛び乗るが、降りてからも頭が真っ白
わけのわからないマンションの中を通った揚句、道を間違え、
先に病院に着いていたSさんに途中まで迎えに来てもらう始末だった
正式には
12時10分、死亡
アキルの死に顔は穏やかだった
絶対、眠っているようにしか見えなかった
事実、眠るような最期だったという
最期どころか、アキルは全然痛そうじゃなかった
鳴くでもいらいらするでもなく、ずっと穏やかな顔をしていた
だから、全然わからなかった
どうなってるの? 何があったの?
全然理解できないかあちゃん
悲しいより呆然としてしまった
お願いして、解剖検査をしてもらうことにした
ほかの軍団の役に立つ情報が欲しかった
終わるまで、そこから近いSさんのお宅にお邪魔し
夕方、解剖が終わったとの連絡が来て、二人で病院へ
驚いたことに、アキルの直接の死因は、脾臓ではなかった
腸にあいた長さ4センチほどの穴だった
写真を見せてもらったが、
その部分の腸はどす黒く、
お腹の中に、膿が染み出して、腹膜炎をおこしかけていたらしい
開腹した途端、腐臭がしたという
何か、異物を食べたのではないかと訊かれたが、
アキルはそういう子ではなく、
またその異物もお腹の中からは見つからなかった
なぜ、腸に穴があいたのか、いつあいたのかは不明……
しかし、脾臓はやはりガン化していた
肝臓も正常な色ではなく、表面にガンの兆候が見えた…
アキルのお腹の中は、けっこう大変な状態だったのだ
よくもこんな状態で、今まで生きていてくれた…
反対に、こういう状態は、開腹してみないとわからず、
誰にもどうしようもなかったと慰められた
もうちょっと体力があれば、開腹手術もできたろうに
あまりに急激で、それもかなわなかった
開腹しなくても、お腹の中がわかるような器械はないものだろうか?
そういうものがあったら、もしかして、助かったかもしれないのに
と、かあちゃん、人知れず、ひとりいらいらしていた
アキル、夕方7時、最後の帰宅をした
朝は、お風呂に入れた時は、生きて私を見ていたアキルなのに…
お昼には……
11日、荼毘にふすべく、10日の夜が最後の夜…
かあちゃん、アキルと最後の添い寝をする