ふんばろう宮城プロジェクト

東日本大震災から発足した「ふんばろう東日本支援プロジェクト」公認団体として2013年4月から活動する復興支援プロジェクト

現場力が大切—双方向性ない一方通行の情報発信とマッチングを求める声

2012-05-22 07:47:02 | 活動報告
 東日本大震災から1年2カ月が経過し、「被災地支援のボランティアも減少する」と言われていますが、「何かをしたいのだけれど、自分のできることが探せない」という方も少なくありません。いわゆる支援者もしくはボランティアをしたいという方と現場(被災地および被災者のニーズ)をつなぐマッチングが、実はあまり機能していないと感じています。

 ふんばろう宮城支部でもたいしたことをやれてはいないのですが、先週は2つのケースでマッチングをすることができました

▽冷凍ストッカー支援をツイッターで呼びかけたケース
 石巻市新山浜(牡鹿半島の端に位置しています)の阿部さんは、銀鮭の養殖業と小さな民宿を営んでいる根っからの漁師さん。ふんばろうメンバーがリサーチし、業務用の冷凍ストッカーの支援要請を受けました。
 何度かヒアリングをして、船は残ったものの車3台、漁具などがすべて流されてしまったことや昨年9月に起きた台風15号で山間からの鉄砲水で高台にある家(民宿)も大きな被害に遭い冷凍ストッカーもその際に破損してしまったことなどを把握しました。さっそく冷凍ストッカーの支援を決めましたが、400Lクラスの冷凍ストッカーは安いものではありません。「支援してくれる方がいるかな…」と内心で思いながらツイッターなどのソーシャルメディアで募ったところ、2人の方から支援のお申し出がありました。
 神奈川在住の音楽家の方は、自ら開いたチャリティーコンサートで集めた義援金を送ってくれました。「どこか被災された方へ支援を考えていたところ、西條剛央さんのツイートを見て支援したいと思います」と。山口県の綾城美佳さんは「私も同じ商売人、困ったときはお互いさま」と大口の支援金を振り込んでいただきました。

 地元経済の復興も必要と、地元の業務用家電店から冷凍ストッカーを購入し、ふんばろうのボランティアスタッフが直接、阿部さんのお宅まで届けました。なんと片道2時間30分…。配送に使ったトラックも共生地域創造財団さまから無償で貸していただきました。

 このケースでは被災された方の要望を、メディアを使って発信(プッシュ)し、個々人をつなぐことができたケースです。新山浜の漁業復興のスピードを少しでもあげることができたと思います。

▽リンパマッサージのボランティアをしたいが…支援先を紹介
 「20日に南三陸町へ行くのだが、どこかの仮設住宅でリンパマッサージのボランティアをしたい」とふんばろう宮城支部へ問い合わせをいただいたのがその1週間前の13日。仙台国際ハーフマラソンの手旗配りをしていた時でした。
 話をうかがうと、所属している(マッサージ系の)協会の活動ということではなく、有志3人が南三陸町で仮設受託などを訪問することを企画したものの、受け入れ先を紹介してくれるところが見つからない…。ということで、ふんばろう宮城支部へ問い合わせをされたとのこと。連絡をくれた星野友子さんは「どこに連絡したらいいのかを探し、さらに連絡した数カ所からはご返答がなく、結果、直前にふんばろう宮城支部へお手数をかけることになりました。現地の状況、皆様のご多忙を考えますと、ご返答がないのも当然と思うのですが全国で『現地で活動したいのだが、どこに連絡するのが適当なのか分からない又は断られる』ため、東北のことがずっと気になっているが、何もできないというジレンマを感じている人も多いのでは、と感じます」というメッセージをくれました。
 結果的に南三陸町の鈴木豊和さん(志津川中仮設)にご尽力をいただき、仮設団地集会所でのマッサージボランティアが実現しました。

 今回のボランティアに参加された方からは、「マッサージを受けてくださった方が、他の皆さまに声をかけて宣伝してくださったり、『暖かかった』『スッキリした』『また来てね』などの暖かいお言葉や差し入れまで頂戴して、私どもの方がたくさんの物をいただきました」との連絡を受けました。

 このケースは「支援したい」と思っているボランティアの目的とやれることを受信(プルダウン)、整理して、受け入れ先をリサーチして段取り(現地の方の理解と協力が必須)まで対応したものです。よく、「ボランティアの押しつけ」が話題になりますが、それはマッチングが上手に機能していないからだと思います。

 「被災地には行けないけれど何かできることがあれば」、「現地で何かしたい」という方をいま以上にマッチングさせることができれば、復興、自立、心のケアなどの支援につながります。ネット上では「情報ボランティア」なるものが多数発信されていますが、ネットの強みである双方向性がなく、一方通行の情報発信がほとんどのように感じます。
 といって、ふんばろう東日本支援プロジェクトもボランティアメンバーのネットワークをつなぎながらでも、人や団体、支援物資を被災者とつなぐのもそう簡単なことではありません。すべての問い合わせに対応できないこともご理解ください。
 今回のような2つのケースに代表される「プッシュ型」と「プルダウン型」を地道にそして丁寧に対応していくことを心掛けていきたいと思います。(こせきかつや)