ホームセンターから買ってきた我が家のミカンの木は私の
小指程の細い苗木だったが狭いマンションの庭でも一生懸命
実を結ぼうと何年も頑張ってきて昨年、ようやく小さい実を
5個つけただけだったが、それでも私たちは嬉しく、暑さにも
寒さにも強風にも耐え抜いてきたミカンの木に敬意(?)を表し、
特に甘いとも言えないミカンを大切に味わって食べた。
今年は木も一段と大きくなったような気がしたが、蝶たちの
活躍もあったのか、たくさんの実が生り、葉っぱの影のものも
一様に大きく育っているようだった。


やがて、実の色にも少しずつ変化が現れ、秋を感じるように
なった頃から太陽がよく当たる部分はその黄色が実の全体に
広がっていき、花たちがそれぞれの役目を終えて、来年まで・・と
別れを告げ始めた庭に一つ二つ・・と日々、彩を添えてきた。
去年に比べ、今年は本当にたくさん実が付いた・・・と
思っていたが黄色が目立つようになると葉っぱの奥の方に
なっているものにも気づき、ついつい数え始めていた。
『あっ、これは数えたかな・・と思い、また数えなおすのも
何となく嬉しい』
・・・と言っても所詮狭い庭の隅の小さな木なのでせいぜい
50~60数個程度なのだが去年の10倍以上もの数・・・
その数よりもその大きさに圧倒される・・・
これがミカンなのかと目を疑うほど大きいものが全体の50%
位を占め、傍によって測ってみるとその中でも特に大きいものは
直径11㎝~12㎝以上のものも10個ぐらいあり、大部分が
直径8㎝以上・・・
大収穫に思わず頬が緩む。

ビールのアルミ缶の直径が7㎝位‥それと比較すると・・・
大きいミカンに驚くとともに千恵子選手はまだ緑の部分が
残るうちからどんな味なのか試したくなったようで
今月の初旬頃だっただろうか、まだ緑色が三分の一ほど
残っている完熟にはほど遠い大きいミカンを嬉しそうに
葉っぱを付けたままパチンッと切り取り
『お父さん、食べてみましょ・・・・』の声に私は驚いたが・・・
柑橘類は何でも好きだし、多くの人たちが酸っぱいというものでも
私は気にならず、むしろ酸味があった方が好きなくらいなので
大変甘く感じた。
酸っぱさに弱い千恵子選手も思ったよりも甘く美味しいと
言っていたので完熟の頃はきっと甘い甘いミカンになるだろうと
期待してから2週間、・・確かに甘くなった。
2日前、近くに住む息子夫婦、娘夫婦にもちょっとした自慢(?)を
兼ねて分配すると・・・彼らも食べる前からその大きさとマンションの
庭で採れたことに驚いていたがその顔は『本当にあまいのかな?・・』
という表情だったが昨日娘から「追加注文?」あり・・・。
普段は何も欲しがらない娘が言うのだからと私たちも嬉しかった。
少し大袈裟だが玄関や食卓の上に飾ったり、絵をかいても
いいのではないかと思い、気を利かせたつもりで葉をつけた状態で
渡すと『葉っぱは要らない・・』とあっさり断られ、やむなく玄関で
葉っぱを落とすのも私の役目だった。
何はともあれ、私たちを喜ばせ、楽しませてくれた大豊作
(我が家にしては)のミカンが今年のMVPとなったことは間違いない。
そして『艱難汝を玉にす』の言葉を身をもって知ったこのミカンの木は
今年の実績を自信として来年も連続受賞を目指してほしいものだと思い、
それとなく、そんなことを話すと、千恵子選手は何の感情もない表情で
『お父さん、今年はこの辺りはどこのミカンも鈴なりですよ・・
今年は「なり年」なのでしょう』と来年は不なり年になるのではないかと
いう現実的な話・・・・
さて、私の期待とミカンの木の頑張りは如何に?・・・
我が家のダイダイも表彰せねば~✋
40年くらい頑張っているので…