魚を大事にしない日本人シリーズ R1-15
ROUND1 江戸前から繋がる世界の海 Part3豊洲新市場の危険性(移転すべきではない)
豊洲土壌無害化の約束を破り安全が確保されないまま強引に移転が決まった
新交通ゆりかもめ
■小池都知事の「無害化」撤回は都民への重大・無責任な背信行為
小池都知事就任時の人気に押され(現時点では見るも無残な不人気)、あれだけ懸念され、もめにもめた豊洲新市場は、一方的な知事表明が行なわれ移転が決まってしまいました。あれほどベンゼン・シアンなどの有害物質が叫ばれたにも関わらず、移転をするとは何てことでしょう。知事・都職員、移転を促進した自民党・公明党は安全を疎かにしており、自分勝手な政治のご都合主義です。知事・都は、豊洲新市場の土壌汚染を環境基準以下にする「無害化」が、移転・開設の前提だとしてきました。一転、「無害化は容易に達成できない」とし、未達成でも移転を容認してしまったのです。「無害化」の撤回は、都民への背信行為です。地下水管理システム、地下空間の床面コンクリートの敷設などを行うとしていますが、専門家からは「科学的に裏付けのない対策」と批判されています。無害化できないとするならば、そもそも論としてどうして汚染された豊洲の東京ガス工場跡地を選んだのでしょうか。
その一方で「築地ブランド」を守るとして、豊洲へ移転後5年を目途に築地を再開発し、希望する業者は戻すとしています。知事や都は、全く市場・水産関係者の実態を理解していない無軌道なやり方です。卸売市場というのは、1つにまとまっているからこそ機能するのです。仕入れする飲食店の方は、魚介類によっては築地・豊洲の両方に行かねばならなくなるのです。水産業者は豊洲移転後、再び築地に戻るなど資金的な余力はないはずです。水産業者の豊洲、築地への分断に他ならず、水産業者に重大な負担を掛けるもので衰退に繋がり、結果的に消費者である都民に不利益を生じさせます。築地を守ることと、豊洲移転は根本的に矛盾しています。時間を経ても築地を基本・土台から大改修すれば、本当の意味の「築地を守る」ことができます。豊洲移転を中止することが、現在・将来に渡り、業者・都民・消費者のためになるのです。
■自民党都議会のドン内田幹事長に工作され逆転1票差で豊洲移転が決まる
ここからは重要なことでも、あまりメディアに取り上げられなかった内容を3回に渡りお伝えします。時間経過順ではないものの、①自民党のドンが議会工作を行い豊洲移転への逆転を決めた経緯 ②石原都知事の移転指示とその後の責任放棄 ③市場候補地選定基準に「安全」の項目が入っていない下劣さ ④6,000億円の高騰建設費はゼネンコンのあからさまな談合入札 ⑤当初の水質検査で有害物質が検出されなかったのは、検査会社が受注ゼネコンの子会社だったから ⑥その他、投稿者なりに検証した結果をご報告致します。では下記①議会工作の経緯から~
当時の石原都知事が豊洲移転を指示、事実上の移転を決定する都議会の中央卸売市場会計予算案採決における重要な場面で、都議会議員の裏切り・造反劇があったのです。振り返るなら、今日、移転のドタバタ、水産関係者・都民を無視した騒動の大本になった顛末です。2011年、豊洲移転に関する都議会は、従前、賛成自民党・公明党62人、反対の民主党・共産党など63人によって、1票差で移転が否決される見込みでした。ところが石原知事や都議会自民党のドン・内田茂幹事長の強引な工作によって、民主党議員1人が口説き落とされ、切り崩し・賛成に寝返らせたのです。よりによって造反したのは、築地を守る目的の築地市場再整備特別委員会、委員長の花輪智史(ともふみ)・民主党議員でした。花輪議員は採決の直前に民主党を離れ賛成に回り、その結果、逆転し賛成63票対反対62票で予算案が可決され、豊洲への移転が決定されたのです。裏切り・寝返りがなければ豊洲移転は否決、築地再整備の路線が踏襲され、今日の豊洲移転などの問題は起こらなかったのです。返す返すも、取り返しのつかない事態でした。これが、<築地の不運>1つめです。
<築地の不運>2つめが、こんな大騒動の造反可決された日が、2011年3月11日でした。ご存じのように東日本大震災の日で、メディアがニュースで取り上げずに都民には全く知らされなかったのです。別の日なら大ニュースとなって、その後の注目度も増して成り行きが変わっていたかもしれません。石原知事や自民党幹部がこんな手を使ってまでも強引に豊洲移転をさせたのは、裏に利権や賄賂性があると言わざるを得ません。当然ながら花輪議員は都議会に居られなくなり、同年4月の世田谷区長選に無所属で立候補。自民党の手厚い推薦・支援にも関わらず、見事落選。その後も臆面もなく2012年には日本維新の会から総選挙に立候補も同じく落選、今年2017年の総選挙は希望の党から九州比例・惜敗率28.8%で同党最下位の大惨敗。民主→無所属(事実上・自民党)→維新→希望へと、次々、政治母体を変更するなど、何の信念・政治信条もない人物です。こんな男に豊洲移転が決められ、建設費6,000億円以上が無駄金に、築地関係者や都民の生活が翻弄されたと思うと、悔しさ・やるせなさを感じます。こうしたことを、ほとんど報じないメディアも腐っています。
次号/築地からの市場移転3条件・移転候補地5か所は「豊洲ありき」の下に設定された