魚を大事にしない日本人シリーズ R5-3
ROUND5 魚を食べる時に思った疑問
なぜ白身魚は煮くずれしやすいのでしょうか?
筋繊維が太くコラーゲンが多いことが総合的に働くため
鰈(かれい)の煮魚、鱈(たら)などの白身魚を鍋物にすると、身が解(ほぐ)れやすくなり“煮くずれ”します。その解れ具合によっては、食感がよくなりおいしさも増します。しかし鮪(まぐろ)や鰹(かつお)などの赤身魚を加熱すると、身に締まりが出てしまいます。この違いは、何でしょうか?
理由は、白身魚には筋形質たんぱく質に固まらない成分があり、また筋肉を構成する筋肉繊維が太くコラーゲン含量が多いことです。それらが総合的に働いて、“煮くずれ”をおこします。白身魚の筋形質たんぱく質には、加熱しても固まらない成分が20~30%入っています。赤身魚は、加熱するとほとんど固まってしまいます。白身魚の“そぼろ”(でんぶ)は、“煮くずれ”を利用したものです。
また筋肉を構成する筋繊維の太さも、身が解れやすさにあらわれます。魚の筋肉は、一般的に赤黒い色調の血合肉(赤色筋繊維)と普通肉(白色筋繊維)で構成されています。血合肉は筋繊維が細く、普通肉の筋繊維は太い特徴があります。鮪・鰹の血合肉の割合は20%以上に対し、白身魚は数%です。筋繊維が細いほうが、加熱するとギュッと固まりやすいのです。白身魚にはコラーゲンも多く煮くずれしやすく、赤身魚は身が締まるのです。