偽装魚の実態シリーズ ヒカリ物の偽装 小鰭(こはだ)
偽装魚名 鮗(このしろ)・シンコ
回転寿司の小鰭は大振りな先輩の鮗を中国で添加物処理
酢と塩だけで〆た江戸前ネタの小鰭はもう食べられない
■小鰭の締め具合で板前の技量が分かるとも言われていたが
ご存じのように本物の小鰭は出世魚で、関東では新子(しんこ)→こはだ→鮗(このしろ)と呼び名が変わります。そのうち10cm前後が小鰭と呼ばれ、江戸前寿司には欠かせないネタです。小鰭の〆具合を見ただけで、その寿司屋や板前の技量が分かるとも言われます。残念ながら、もう東京湾や本来の羽田沖では、ほとんど獲れないのです。
だいぶ以前から日本近海でもあまり獲れないことから、一般の寿司屋でも東シナ海の小鰭を使わざるを得ないようです。最早、日本近海の小鰭は貴重品と言えるでしょう。このような状態から回転寿司では、小鰭のお品書きがあっても本物が使える訳がありません。案の定、中国・台湾・ベトナム産のかなり大振り(体長15cm)な鮗が使われます。
出世魚なので厳密に言えば「偽装魚」ではないのでしょうが、食感や見た目が違います。大振りのため半分に切ったり、刺身のように切り分けたものもあり、好きな人にとっては小鰭独特の風情がありません。まあ回転寿司店で、小鰭に期待すること自体が間違いですが…。
■中国の加工と現地の食品添加物成分の不安が心配
本物か否かを問うより遥かに問題なのは、中国で加工されることにあります。小鰭は酢・塩だけの微妙なバランス具合が腕なのですが、現地では飲料・菓子で使われる甘味料(ステビア)や調味料~味の素(グルタミン酸ナトリウム)、酸化防止剤の他に、成分が分からない現地の食品添加物を使用するだけに不安を感じます。
回転寿司や持ち帰り寿司の小鰭(実際は鮗)は、全般的に甘く食品添加物独特のベットリ感がします。腕の効く板前が握る本物の小鰭のさっぱりとしたネタは、もうなかなか味わえないでしょう。
■本物・小鰭のミニ情報/小鰭の裏づけを頼む客はツー?
本物の小鰭は、日本各地からフィリピンの沿岸中層や内湾に生息します。10cm前後を小鰭と呼びます。また数cmぐらいを新子と言い、江戸前寿司の中でも特に夏の新子は「香りもの」と呼ばれ、一般の寿司店でも貴重です。
ヒカリ物が苦手な人は、「裏づけ」と言って、ひっくり返して白い身肉を表面に出す方法があります。ただこうすると板前の包丁使いがよく分かるので、嫌味な客(通)は「裏づけ」を頼むほどです。なお岡山では、鮗の近縁のサッパを「ママカリ」と呼び、隣近所から飯を借りてくるほどおいしいという謂れがあります。
回転寿司店を始め激安居酒屋・弁当チェーン・ファストフード店・惣菜店など
の安さの秘密は、こういう魚やネタを使っているからです。
偽装魚とは、本物魚の味や食感に似た外国の別種魚や深海魚のことです。