少数派シリーズ/社会問題
セルフレジ③むしろ多めの店員を配置し不安を拭いお客に慣れさせることが早道・得策
■セルフに置き換えても操作がわからない客のために結局、店員を配置せざるを得ない
集英社オンラインを活用しました/セルフレジの問題・万引きの件の3回目です。今回も流通小売・サービス業界の経営コンサルタントを長年おこない、セルフレジ事情にも詳しいムガマエ株式会社代表取締役社長の岩崎剛幸氏に聞いた。「たとえば、ホームセンターやスーパーマーケットなどで、買い物カゴを上下に載せることができるカートを使用する際に、上のカゴの商品だけスキャンして、下のカゴの商品をスキャンし忘れてしまうパターンはありがちです。セルフレジ導入には万引き以外にも問題があるという。高齢者など機械操作に不慣れな方はセルフレジの画面操作方法がわからず、そういった顧客に操作方法を教えるための店員がセルフレジ近くに配置されることも珍しくありません。これは店舗や企業によって取り扱っているセルフレジのメーカーが異なり、操作方法が統一されていないことも、操作を覚えられない要因になっています。いずれにしても人手不足を解消するためにセルフレジを導入したのに、けっきょく人員が必要になっているという本末転倒な状態になっている店舗も多くあります。かといって、セルフレジの操作方法をフォローする担当の店員を配置しておかないと、操作に手間取っている人の後ろに並んでいる人がイライラして、客同士の喧嘩に発展してしまうケースもあり、ジレンマが出てきているのです」。
「すっかり便利になるかと思いきや、セルフレジによって新たな手間やトラブルが発生することもある模様だ。ただ岩崎氏は、日本ではそれでもセルフレジの導入がさらに進んでいくと予想しているという。「やはり購入者の心理の根底には、時間を節約したいというタイムパフォーマンスの意識があるからです。レジにかかる時間をいかに短くできるかが重要なので、そういった大半の消費者の心理を実現できるのは、やはりセルフレジの利点といえます。またメリットは消費者側だけでなく企業側にもあります。先ほど操作方法をレクチャーする店員をわざわざ配置しているという話をしましたが、数台のセルフレジを1人の店員が受け持つことができるので、やはり人手不足問題の解決にはその導入で自動化を進めていきたいという意向があるのです。このようにセルフレジの課題はいくつか残されていますが、今後はセルフレジ数台に対して店員を1人配置するというスタイルで広まっていくのではないかと予想しています。操作方法がわからない人へのフォローができるのはもちろんですが、完全に無人にしてしまうと万引きが増えてしまいますので、万引きの抑止力の意味でもセルフレジ近くに店員が必要でしょう」。欧米では“社会的失敗”と見る向きもあるセルフレジだが、日本では今後も普及していくのか、今後の動向を見守っていきたい。」
■投稿者の文章|セルフレジは長い期間を掛けて切り替えていくことが求められる
日本人・日本の国や企業は何事も導入までは遅いが、いざ設置となると有無を言わせぬほど性急に行うのが悪い癖だ。典型的なのが、マイナンバーカード。あれほど急速に行う必要はなく、急ぐから様々なトラブルが発生する。既号で申し上げたように若い方からお年寄りまでいるのだから、当然ながらメカに疎い方もおられる。米国の州には高齢者・障害者のために、完全機械化が許されず店員や係員の配備を義務付けていると言う。セルフレジの件も本文の岩崎剛幸氏のように、高齢者の苦痛や否定に繋がらないように係員の配置や、長い期間を掛けて切り替えていくのが早道・得策だと思う。企業の効率化優先を一定規制して、高齢者・障害者の”置いてけ堀”(切り捨て・排除)を社会として許してはいけない。もう一方「万引き」は大きな犯罪であるから、万引きを許さない監視や”うっかり万引き”が起こらない仕組みの構築が必要だ。そうした社会的背景とシステムができれば、セルフレジの良さが生きてくるだろう。馴染みの店員さんとの会話を楽しみにしている方には、世知辛くなるが。
前号/セルフレジ②「うっかり万引き」が多発、欧米では社会的失敗とセルフレジが減少傾向
セルフレジ③むしろ多めの店員を配置し不安を拭いお客に慣れさせることが早道・得策
■セルフに置き換えても操作がわからない客のために結局、店員を配置せざるを得ない
集英社オンラインを活用しました/セルフレジの問題・万引きの件の3回目です。今回も流通小売・サービス業界の経営コンサルタントを長年おこない、セルフレジ事情にも詳しいムガマエ株式会社代表取締役社長の岩崎剛幸氏に聞いた。「たとえば、ホームセンターやスーパーマーケットなどで、買い物カゴを上下に載せることができるカートを使用する際に、上のカゴの商品だけスキャンして、下のカゴの商品をスキャンし忘れてしまうパターンはありがちです。セルフレジ導入には万引き以外にも問題があるという。高齢者など機械操作に不慣れな方はセルフレジの画面操作方法がわからず、そういった顧客に操作方法を教えるための店員がセルフレジ近くに配置されることも珍しくありません。これは店舗や企業によって取り扱っているセルフレジのメーカーが異なり、操作方法が統一されていないことも、操作を覚えられない要因になっています。いずれにしても人手不足を解消するためにセルフレジを導入したのに、けっきょく人員が必要になっているという本末転倒な状態になっている店舗も多くあります。かといって、セルフレジの操作方法をフォローする担当の店員を配置しておかないと、操作に手間取っている人の後ろに並んでいる人がイライラして、客同士の喧嘩に発展してしまうケースもあり、ジレンマが出てきているのです」。
「すっかり便利になるかと思いきや、セルフレジによって新たな手間やトラブルが発生することもある模様だ。ただ岩崎氏は、日本ではそれでもセルフレジの導入がさらに進んでいくと予想しているという。「やはり購入者の心理の根底には、時間を節約したいというタイムパフォーマンスの意識があるからです。レジにかかる時間をいかに短くできるかが重要なので、そういった大半の消費者の心理を実現できるのは、やはりセルフレジの利点といえます。またメリットは消費者側だけでなく企業側にもあります。先ほど操作方法をレクチャーする店員をわざわざ配置しているという話をしましたが、数台のセルフレジを1人の店員が受け持つことができるので、やはり人手不足問題の解決にはその導入で自動化を進めていきたいという意向があるのです。このようにセルフレジの課題はいくつか残されていますが、今後はセルフレジ数台に対して店員を1人配置するというスタイルで広まっていくのではないかと予想しています。操作方法がわからない人へのフォローができるのはもちろんですが、完全に無人にしてしまうと万引きが増えてしまいますので、万引きの抑止力の意味でもセルフレジ近くに店員が必要でしょう」。欧米では“社会的失敗”と見る向きもあるセルフレジだが、日本では今後も普及していくのか、今後の動向を見守っていきたい。」
■投稿者の文章|セルフレジは長い期間を掛けて切り替えていくことが求められる
日本人・日本の国や企業は何事も導入までは遅いが、いざ設置となると有無を言わせぬほど性急に行うのが悪い癖だ。典型的なのが、マイナンバーカード。あれほど急速に行う必要はなく、急ぐから様々なトラブルが発生する。既号で申し上げたように若い方からお年寄りまでいるのだから、当然ながらメカに疎い方もおられる。米国の州には高齢者・障害者のために、完全機械化が許されず店員や係員の配備を義務付けていると言う。セルフレジの件も本文の岩崎剛幸氏のように、高齢者の苦痛や否定に繋がらないように係員の配置や、長い期間を掛けて切り替えていくのが早道・得策だと思う。企業の効率化優先を一定規制して、高齢者・障害者の”置いてけ堀”(切り捨て・排除)を社会として許してはいけない。もう一方「万引き」は大きな犯罪であるから、万引きを許さない監視や”うっかり万引き”が起こらない仕組みの構築が必要だ。そうした社会的背景とシステムができれば、セルフレジの良さが生きてくるだろう。馴染みの店員さんとの会話を楽しみにしている方には、世知辛くなるが。
前号/セルフレジ②「うっかり万引き」が多発、欧米では社会的失敗とセルフレジが減少傾向