永福から高速にのり、約2時間で松本着。行きつけのそば屋「浅田」に直行したが、残念ながらお休み。名店「翁」で修業された「浅田」の主人が提供する蕎麦は洗練された、すっきりとした印象がある(と言っても最後に食べたのは3年前)。満たされない食欲を物欲で満たすべく、中町商店街(http://www.mcci.or.jp/www/nakamati/)へ。蔵を利用した民芸品や郷土特産品のお店が並ぶ雰囲気のある商店街。日常使いのこだわり雑貨や陶器を扱う「工芸マエストロ」と「陶変木」で散財。
<第8回あるぷす寄席@まつもと市民芸術館小ホール>
13:30開演。開口一番は、こはるで「道具屋」。次々に新ネタを習得し、成長著しい。変に上手ぶることなく、高座姿に勢いがあって、終始テンポよく進行。高感度ますますアップ。
二つ目昇進披露ということで、今日の主役である吉幸は「しりもち」。発声のインパクトが特徴的で、独特のビートを刻んでいる。人情噺をやるときにこのビートがどういうふうに変化するのか、少し興味が湧く。
そして柳家一琴で「初天神」。一琴の強面な外見とかけ離れた、こ憎たらしさと愛嬌溢れる金坊の演出、デフォルメが芝居臭さに陥るギリギリで踏みとどまり、見事!前半を大幅カットしていきなり境内のシーンからスタートすることで、金坊と父親の関係をフューチャー。過去に聞いた「初天神」の中で、小三治、喬太郎に並びトップ3に入る。時間調整で隠し芸(?)の紙切りを披露。大きな体を前後にゆさぶりながら、なぜか無言。妙な間合いでオフビートな笑いが会場に広がる。強面なのに和み芸。
そして仲入り後、吉幸2つ目昇進披露口上。一琴、談春に挟まれて、深々と頭を垂れる吉幸。脇の二人だけ見ているとヤクザのお披露目にしか見えない。進行役の一琴から、「ふつう昇進披露というものは真打ちになってからするものなのだけれど・・・」と二つ目で昇進披露に至った経緯を説明。そして談春にバトンタッチ。快楽亭ブラックの弟子として入門したにもかかわらず、落語の世界そのものに生きる師匠が借金諸々で除名になり、その後新師匠談幸に弟子入りしなければならなかったことで二つ目になるまで10年という歳月がかかってしまった吉幸のこれまでを淡々と語る。言葉の端々に兄貴分らしい優しさが滲む素晴らしい口上だった。
そしてトリに談春で「妾馬」。ややハイスピードに進行。そのテンポが新鮮で、噺に引き込まれてしまった。また、松本という土地のせいか会場の雰囲気が東京よりあたたかい。高座と観客の心的距離が(一方的かもしれないけれど)近く、まるでお茶の間で落語を聞いているかのようだ。その観客が、八五郎がお鶴に語りかける場面、殿様に母親のお目通りを懇願する場面で、水を打ったようにシ~ンと静まりかえり、あちこちでハンカチで目を拭う姿を見ると、ついつられて落涙。
総合的に、噺家それぞれのハイレベルな個性が楽しめるとても魅力的な落語会だった。
高速を飛ばし帰京。安くておいしいB級グルメのトップランナー、西荻窪の「ムーハン」で夕食。海南チキンライス目玉焼きのせ、アボガドサラダ、ラクサ、大根もちの玉子とじを食べる。
<第8回あるぷす寄席@まつもと市民芸術館小ホール>
13:30開演。開口一番は、こはるで「道具屋」。次々に新ネタを習得し、成長著しい。変に上手ぶることなく、高座姿に勢いがあって、終始テンポよく進行。高感度ますますアップ。
二つ目昇進披露ということで、今日の主役である吉幸は「しりもち」。発声のインパクトが特徴的で、独特のビートを刻んでいる。人情噺をやるときにこのビートがどういうふうに変化するのか、少し興味が湧く。
そして柳家一琴で「初天神」。一琴の強面な外見とかけ離れた、こ憎たらしさと愛嬌溢れる金坊の演出、デフォルメが芝居臭さに陥るギリギリで踏みとどまり、見事!前半を大幅カットしていきなり境内のシーンからスタートすることで、金坊と父親の関係をフューチャー。過去に聞いた「初天神」の中で、小三治、喬太郎に並びトップ3に入る。時間調整で隠し芸(?)の紙切りを披露。大きな体を前後にゆさぶりながら、なぜか無言。妙な間合いでオフビートな笑いが会場に広がる。強面なのに和み芸。
そして仲入り後、吉幸2つ目昇進披露口上。一琴、談春に挟まれて、深々と頭を垂れる吉幸。脇の二人だけ見ているとヤクザのお披露目にしか見えない。進行役の一琴から、「ふつう昇進披露というものは真打ちになってからするものなのだけれど・・・」と二つ目で昇進披露に至った経緯を説明。そして談春にバトンタッチ。快楽亭ブラックの弟子として入門したにもかかわらず、落語の世界そのものに生きる師匠が借金諸々で除名になり、その後新師匠談幸に弟子入りしなければならなかったことで二つ目になるまで10年という歳月がかかってしまった吉幸のこれまでを淡々と語る。言葉の端々に兄貴分らしい優しさが滲む素晴らしい口上だった。
そしてトリに談春で「妾馬」。ややハイスピードに進行。そのテンポが新鮮で、噺に引き込まれてしまった。また、松本という土地のせいか会場の雰囲気が東京よりあたたかい。高座と観客の心的距離が(一方的かもしれないけれど)近く、まるでお茶の間で落語を聞いているかのようだ。その観客が、八五郎がお鶴に語りかける場面、殿様に母親のお目通りを懇願する場面で、水を打ったようにシ~ンと静まりかえり、あちこちでハンカチで目を拭う姿を見ると、ついつられて落涙。
総合的に、噺家それぞれのハイレベルな個性が楽しめるとても魅力的な落語会だった。
高速を飛ばし帰京。安くておいしいB級グルメのトップランナー、西荻窪の「ムーハン」で夕食。海南チキンライス目玉焼きのせ、アボガドサラダ、ラクサ、大根もちの玉子とじを食べる。