御存知ガルパンコミックの「フェイズエリカ」です。同じコミックの「リボンの武者」とともに、多数多種の戦車および車輌が登場することで知られます。アニメシリーズには出てこない車輌が多いので、再現製作も様々に楽しめます。
これらの作中車のうち、私の製作においては、既に継続高校チームの戦車を5輌作り、あと2輌を予定し、並行して黒森峰女学園チームの車輌を4輌取り上げて、前回はその1輌目を仕上げました。両チームの車輌を交互に製作していますので、今回は継続高校の車輌を作ります。
今回の製作対象は、上図のGAZ-AAトラックです。史実の継続戦争にてフィンランド軍が多数のソ連軍のGAZ-AAトラックを鹵獲し、自軍にて運用していた経緯に因み、ガルパンの継続高校チームもソ連製のこの軍用トラックを移動用などに使用しているようです。コミック第2巻59ページ1コマ目が初登場シーンで、上図のように実車とほぼ同じ姿に描写されていることが分かります。
適応キットはズベズダ、ホビーボス、ミニアート等から出ていますが、今回は上図のミニアートの製品を利用しました。三年ほど前に中古ショップでたまたま見かけて安価で購入しておいた品ですが、細密にして精巧なミニアートのキットですから、ズベズダやホビーボスの品に比べると、製作にはかなり手間がかかるだろうと予想されました。
中身です。相変わらず細かくパーツ割りされ、ランナー数も多くてボリューム充分です。驚いたのは車輪のタイヤゴム部分が独特のパーツ割りになっていて、組み立て方も初めてみる方式であったことです。
説明書および組み立てガイドです。
組み立てガイドは御覧の通り、作業工程が細かく図示されていますが、適度なレイアウトで拡大図も添えられて見やすくなっています。ドラゴンのギッシリ詰め込んだ見づらいガイド図とは全く違います。これがウクライナの模型メーカーの平均的な作りであるようです。
ステップ1からステップ3まではエンジンを作ります。トラックのキットはエンジンもパーツ化されて精密に再現されているのが普通ですが、ミニアートもその例にもれません。インテリアを綺麗に仕上げて見せるという楽しみ方も可能ですが、今回は外見のみを普通に仕上げるという普通の製作で取り組みました。
ステップ4からステップ6まではシャーシーを組み立てます。トラックのキットにおいては、このシャーシー部分の組み立てが肝要であり、ここを丁寧にきちんと作るかで、その後の作業の在り方が左右されます。
ステップ1の工程を始めました。エンジン本体の組み立てです。
組み上がりました。
ステップ2に進みました。エンジンの組み立てを続けました。
組み上がりました。トラック自体の大きさに対して小柄なエンジンです。
ステップ3にて細かいパーツを色々組み付けて、エンジンがほぼ仕上がります。
組み上がりました。小さいけれど、細部まで精密に再現されています。流石はミニアートだな、と改めて感心しました。実物さながらのディティールにとことんこだわっている、というスタンスが濃厚に感じられます。こういった緻密なメカへの視点に裏付けられた精密志向というものが、タミヤやファインモールドなどの日本製のキットにはなぜか余り感じられない気がします。タミヤやファインモールドなどが戦車の精密なフルインテリアキットを全く出さないのは、そのためでしょうか。
なので、サークル交流仲間のモケジョさん達が、タコムやライフィールド等の戦車の精密なフルインテリアキットを見て「日本のメーカーにはこういうの多分無理だよねー、日本軍戦車のエンジンすらプラモで出さないからねー」と突き放したような諦めの口調で話していたのも、なんとなく分かる気がします。
ステップ4からのシャーシー組み立てにとりかかりました。メーカーを問わず、トラックのキットは大体組み立て手順が同じですが、最も難しいのがシャーシー部分の組み立てとされています。実車の組み立て同様にパーツを組み合わせて作るので、ズレや歪みが僅かでも生じると、後のステップでの組み立てにてパーツがはまらないケースが多発します。
シャーシー全部が一体成型ならば良いのですが、そんなケースはまず見た事がありません。細かく分割されたパーツを左右から組み合わせ、全てのパーツを丁寧に繋いでゆく作業が要求されるので、とにかく慎重に、根気よく取り組むことになります。大事な作業ステップですので、何度やっても緊張してまいります。ミニアートの製品はそのあたりも実車準拠で上級者向けの内容であるため、気合を入れて取り組みました。
組み上がりました。この段階で既に実車の組み立てと大して変わりません。
ステップ5で同じ作業を繰り返します。
組み上がりました。
ステップ6でシャーシー全体を一気に組み上げます。ここからが地味に難しいのです。
左右の構造材に挟まれる複数のパーツを、全て同時に正しい位置にピッタリ付けるのは、慣れないとなかなかうまく出来ません。たいていは二ヶ所ぐらいをピタリとはめこむのがやっとで、あとはズレたり外れたりしてしまいます。千手観音のように複数の手が欲しいぐらいです。
10分ほど格闘して、なんとか組み上げました。直後に定規をあててズレや歪みが無いか調べました。トラックの骨格にあたるシャーシーですから、変にズレたりすると、人間の背骨と同じで色々と不具合が生じたりします。 (続く)