ホビーランドぽち京都店で買ってきた、鉄道コレクション第3弾の南海電鉄21000系の2輌は、大井川鐡道に譲渡されて現在も運行している車輌であることが車番から知られる。そのままであれば、展示用の模型であるので飾るだけになるが、川本氏によれば、動力ユニットや走行用パーツを組み込むことによってNゲージの車輌にして、走らせる事も出来るとの事であった。
それで、Nゲージの車輌にするべく、初めての「改修」にチャレンジしてみた。
鉄道コレクションの車輌をNゲージの車輌にする場合、どんなユニットやパーツが必要になるのかは、鉄道コレクションのパッケージの横や裏などに上図のように示されている。21000系の場合は動力ユニットとしてTM-05が必要である、と分かる。
私が購入した21000系は2輌で1編成となるが、動力ユニットを組み込むのは片方のみで、もう片方は「トレーラー車」つまり牽引される車輌となる。そのNゲージ化にあたっては、走行用パーツTT-04が必要である旨を、鉄道コレクションの旧サイトに付いているオプションパーツ対応リストにて調べて知った。
翌日の退勤後に京都駅前ヨドバシへ立ち寄って、上図の動力ユニットTM-05Rと走行用パーツTT-04R、を買ってきた。いずれもリニューアル品であるそうで、品番の最後にRが付く。なお上図には写っていないが、パンタグラフ交換用のパーツPG16も買っておいた。
これらの3点をヨドバシで買ったのは、定価の二割引きで買えるのと、ポイント付与もあわせれば実質的に価格の三割ぐらいは安くなって得する、と川本氏に教えられたからであった。
その日の夕食後に、Nゲージ車輌への初めての「改修」にとりかかった。嫁さんも興味津々で作業を見守り、スマホで撮影してくれたので、以下の掲載画像の殆どは嫁さんのスマホ画像を使用している。
手始めに、2輌のうちの1輌、モハ21004を「トレーラー車」つまり牽引される車輌に「改修」した。上図の走行用パーツTT-04Rを使用した。
走行用パーツTT-04Rの中身は、上図のように車輪とウエイト(重り)が2輌ぶん含まれるが、ここでは1輌だけに使うので、車輪は4個、ウエイトは1枚を取り出して準備した。他にカプラーユニットやカプラースペーサーが付くが、ここでは使わないので不要となった。
まず、モハ21004を上図のように解体した。鉄道コレクションの車輌はだいたいこのような構成になっていて、上からボデイ、座席、車台、台車の4つに分かれる。
このうち、台車の車輪を交換した。御覧のように車輪はオリジナルではプラ製だが、そのままだとNゲージのレール上を安定して走れないので、上図右側のように車輪を走行用パーツTT-04Rの金属製のものに交換した。作業そのものは至って簡単で、台車のフレームを少し押し拡げてプラ製車輪を外し、金属製車輪を同位置にはめこむだけであった。
車輪を4個とも交換したのち、上図のように台車のダボにウェイトをはめこんだ。鉄道コレクションの車輌は軽いので、そのままだとNゲージのレール上を安定して走れず、走行中に浮き上がって脱線する場合が多いそうである。それをおさえるために車体重量を増やすべくウェイトを入れたわけである。
あとは、元通りに組み立てて完了となった。嫁さんが「意外に簡単ですねー」と感心していたが、私も同感であった。もっと難しいのかと思っていたから、あっさりと楽に終わったのにはちょっと拍子抜けした。
次は、モハ21003を「動力車」つまり牽引する車輌に「改修」した。上図の動力ユニットTM-05Rを使用した。モハ21003にはパンタグラフが2つ付くが、これらもNゲージ標準の折り畳み可能な金属製パーツPG16に交換した。
TM-05RおよびPG16の中身である。動力ユニットは車台とモーターと台車がセットになっていて、これを鉄道コレクション車輌の車台および台車とそっくり交換するわけである。
モハ21003を上図のように解体した。パンタグラフ、床下機器パーツも取り外した。そのうち車台と台車は交換となる。
動力ユニットのほうに床下機器パーツを移してはめ込んだ。同じ位置に穴があるので、取り付けも容易であった。
TM-05Rには、台車のパーツが3種類付いている。モハ21003の台車は、元キットのそれと同じ、左側のパーツを選んで使った。
パーツを切り離して、上図のように動力ユニットの台車に取り付けた。ダボ穴が3つあるので、それにパーツのダボを合わせてはめこむだけであった。接着剤は基本的に不要であるので、嫁さんが「ガンプラみたい」と言った。
動力ユニットの車台は、そのままだとモハ21003の元の車台より短いので、長さを調節出来るスペーサーという黒いパーツを前後に取り付けて調節し、車長を合わせた。
カプラーユニットやカプラースペーサーも付くが、元の台車に同じものが付いていたので、それを外してこちらに移植するだけで事足りた。しかし、再チェックした際に、長さがちょっと足りないことに気付いて、カプラーのみをTM-05Rの長いパーツに換装した。
最後に、パンタグラフを2個ともPG16の金属製精密パーツに交換した。元パーツはプラ製で折り畳めないが、PG16のパーツは御覧のように折り畳めるので、Nゲージ車輌用の収納ケース類に難なく収めることも可能となる。
Nゲージ車輌用の収納ケース類は、トミックスやカトーやグリーンマックス、マイクロエースなどからそれぞれの仕様で販売されているが、価格が一様に安くないので、個人的には100円均一のケースやクッション材、スポンジなどで試作してみる予定である。
今後、車輌を色々と中古品で買うことになるが、大体はケースも無いバラ売りやジャンク品が殆どであるそうなので、これらを収納するケースはいずれ必要となる。そのときになったらまた具体的に考えることにした。
2輌のNゲージ化への作業が終わったので、レールの上に載せて試運転にのぞんた。なんの支障もなくスムーズに走ってくれたので安堵した。鉄道コレクションシリーズの車輌のNゲージ化への手順が、これでだいたい理解出来た気がした。素直な感想を言えば、面白い、の一言に尽きた。
かくして、現在は大井川鐡道にて営業運転しているこの2輌が、私のNゲージにて同じように走ったので、嬉しくなり、楽しくなって、手元にある近鉄16000系と並べてみたくなった。
なぜならば、ゆるキャン聖地巡礼にて二度ほど、上図のような南海21000系と近鉄16000系の並びを見かけたことがあるからだ。片方それぞれだけだと、南海、近鉄のそれぞれの雰囲気しか感じられないが、両方が同じ駅に入っていたりすると、完全に大井川鐡道の雰囲気になってくるのであった。
で、レールをそれらしくつないで、上図のように21000系と16000系とを並べてみた。思わず「オオ・・・」と声が出てしまった。Nゲージサイズの小さい模型ながらも、大井川鐡道の確かな「景色」が再現されていたのであった。
嫁さんが、「私も近鉄や南海に乗ったことありますけど、でもこの二つの電車が一緒に居るのって基本的に有り得ないですよね・・・。実際の近鉄と南海電鉄は走ってる所が違うし・・・」と言った。確かにその通りで、異なる鉄道事業者の電車同士が同じ線路にて走るというのは、現役営業運転路線においては基本的に有り得ない。
しかし、大井川鐡道においては、旧南海と旧近鉄の車輌が実際に同じ線路を走っている。全国でも珍しい、大井川鐡道だけの運行形態である。その珍しさが全国の鉄道ファンに注目され、鉄道ファンの聖地と親しまれている所以であろう。
そして私の場合、大井川鐡道は数度のゆるキャン聖地巡礼で利用したので、この2種類の電車の運行姿も、ゆるキャン聖地巡礼の「景色」の一つとして鮮やかに思い出せる。とくに近鉄の16000系は間違いなく2024年予定のアニメ3期に登場するから、ゆるキャンの重要な要素になる筈である。各務原なでしこが嬉々として16000系に乗って千頭駅へ向かう姿を見るのがとても楽しみになってきている。
そして同時に、この21000系と16000系を並べてみて楽しくてしょうがなかったので、今後はゆるキャン聖地巡礼で見かけた大井川鐡道の色々な車輌を出来るだけ集めてみようか、と思いついた。 (続く)