模型サークルの12月の定期会合にて、久しぶりに先輩のN氏に会いました。AFV部会のミリタリートラックマニアで、ガルパンのトラック系車輌についても色々とアドバイスを下さっている方です。開口一番、「最近はトラックとか作ってるの?」と訊いてきました。
「最近はミニアートのキットでGAZ-AAというのを作りました」
「ああ、あの細かくて精巧なキットやね。組み立ては手間取ったんかね」
「いや、それほどは・・・。ミニアートも幾つか作りまして、少し前にはT-60のフルインテリアキットも作りましたんで・・・」
「慣れてきたってわけやね。プラモは作って作れば学びも多いからね」
「あと、ハーフトラックでドイツのシュッツェンパンツァーも作りました」
「ああ、ハノマークやね、それはガルパンのドイツ軍やな、ええと、黒森峰って言ったか。何型?」
「D型ですけど」
「なら後期の簡易型やね・・・、他にもあるん?」
「あとはキットが無くて作れない車輌なんで・・。フランスのラフリーS45とか」
「ああ、ラフリーもあったんやな、ガルパンのフランス軍が使っとるんか」
「ええ」
言いながらタブレットに上図のキャプチャー画を出して見せました。N氏は「うん、ラフリーS45やね。このプラモデルは確かに無いねえ・・・。ガレージキットは昔にどこかで見かけた気がするけどなあ・・・。フランスのメーカー辺りからのやつがずっと昔に販売しとったような気がするけどな・・・・、まあでも今はもう買えんやろうな」と言いました。
「・・・でもさ、これの原型にあたるV15ってのが、最近ICMから出たばかりなんやで。知ってる?」
「ええ、知ってます。四輪のほうですよね。これのバリエーションキットも2つか3つ出てますね」
「うん、出てるな。これでいくと今後は六輪のS15も出してくるかもしれんな」
「そのS15のバリエーションがS45ということなんでしょうか?」
「うん?・・いや、バリエーションというよりはエンジンのグレードアップやね。エンジンとトランスミッションを交換してより重量化、牽引力をアップしていったわけや。S15からS20、S35、S45というようにグレードアップしとるんよ。そもそもラフリーのシリーズは牽引用として開発されたトラクターなんで、引っ張る野砲や戦車が大型化してくるのに合わせてパワーを上げてグレードアップしていったわけ」
「なるほど、戦車も引っ張るんですか・・・。ガルパンでも戦車引っ張ってますね」
「うん、このガルパンのS45というのは、確か、重戦車のルノーB1bisってのが、それまでのS35じゃパワー不足で引っ張れないんで、さらに大馬力のエンジンに換えて足回りも強化して車体も大型化したやつなんやな。せやから、ラフリーの牽引トラクターの中では最大最強力の型になるね」
「だからガルパンではARL44も引っ張ってるわけですね」
「いや、それは無理やったんと違うかな。ルノーB1bisは32トンあって、これをギリギリ引っ張れた程度やからな・・・、ARL44は50トンぐらいじゃなかったかな、そんな重かったらS45もお手上げになるよ・・・。ガルパンはアニメやからね、史実に合わない無茶も平気でやらせとるわけやん・・・」
「でもガルパンに出たことで、S45もICMがキット化するかもしれませんよね」
「どうやろうねえ、ラフリーの同じ6輪やったら、まず基本形のS15から出す可能性が高いかな。グレードアップする度に車体のサイズとかも変えてるからな、バリエーションキットで色々出すのはたぶん不可能や。S20もS35も車体寸法が違うんで、それぞれ金型を起こして作らんとあかんのと違うかな・・・」
「そうなんですか・・・」
するとBC自由学園チームのラフリーS45のプラモデルは、今後出てくる可能性は少ないのか、と思いました。
N氏は、続いて私がタブレットに出した上図のもう一種のトラックにも目を輝かせました。見た途端に「ケグレスやな。ケグレス式ハーフトラックや」と言いました。
「すぐに分かるんですねえ」
「まあな、こいつはソミュア社のハーフトラックのMCGシリーズの一つで正式にはMCG4かな、いや違った、ガルパンのこいつはクレーン付きの牽引型やな、するとMCG5やな。たぶん」
「さっきケグレスとか言ってましたが・・・」
「ああ、それはケグレス方式のハーフトラックの一種やからね。ケグレスってのはフランス人の技術者の名前でね、確かアドルフ・ケグレスって言うの。ハーフトラックの発明者というか、この方式の車輌を初めて設計して特許を取ったの。この人は最初はロシアで独自の半装軌システムを開発しててね、それを付けたトラックをロシアでケグレストラックと呼んだわけ。で、ケグレスさんはそれから母国フランスに戻って、シトロエン社の技師になってね、そこでフランス陸軍向けのハーフトラックを設計したの。それをソミュア社が招聘して、ケグレスさんの特許技術を使用してMCGシリーズを開発してもらったわけやな・・・。ガルパンのこいつ、MCG5はそのシリーズの最終型にあたるんで、フランス軍の他にドイツ軍も使ってたはず。第二次大戦中に運用されとったからね・・・」
「・・・流石に詳しいですねえ・・・」
「まあね、これ、このMCG5はね、ずいぶん昔にキット作ったことあるんでな・・・」
「えっ、プラモデルがあるんですか!」
「いや、ガレージキットや。確かフランスのメーカーの品や。ええとな、デスキットやったかな」
「それ、今でも買えるんですか?」
「どうやろうねえ、昔はバウマンが扱ってて俺は梅田のレオで取り寄せて買ったもんやけどねえ、もう20年ぐらい前のことやでな・・・。今はどこにも無いのと違うかね・・・」
「ああ、入手困難、入手不可の品になってしまったんですか・・・」
その時はガッカリしましたが、後で調べてみて、N氏が話した通りのデスキットというフランスのガレージキットメーカーにて販売されていることを知りました。その公式サイトでは通販も扱っているようなので、試しに問い合せメールも英文で送ってみましたが、三週間が経過しても返事を頂けていません。フランスのメーカーですから、英語で問い合わせたのがまずかったかな、フランス語で送るべきだったかな、と後悔しましたが、後の祭りです・・・。
デスキットの公式サイトはこちら。ガルパンの劇中車にあたるMCG5は、フランス軍アイテムの項の品番35025に該当するようです。在庫の有無、購入の可否は現時点では分かりません。
いずれにせよ、BC自由学園チームのトラック2種に関してはプラモデルでの再現は現時点では殆ど不可能であるという事が分かりました。ただ、N氏の詳しい説明をいただけたことにより、それぞれの概要が分かったのが救いと言えば救いです。
キットを2つ買って6輪にすればできますね(笑)
>デスキット
DETHかと(笑)
>MCG5
MS Modelに問い合わせては?
(すでにやっているかもしれませんが)
DETEの発音、フランス語はディステらしいですが、最後のテは舌跳ねで音があまり出ないそうで、日本人の耳にはディスと聞こえるらしいです。
もちろん、Ms.Modelさんに問い合わせましたが、未だに返事が無いそうです。ブリッツもそうですが、フランスのガレージキットメーカーはなかなか連絡がとれない、との事です。
なんかそのものずばりなやつが.....
まだ販売してませんけど
ブリッツの過去の商品にはガルパンに出ているAMR35やACG1もあったので、販売終了となっていようなのが残念です。