漫画/ハリソンさんはカノ紳士 Mr.Harrison is THE GENTLEMAN ― フランス通過編 ―(前半)

18世紀欧州が舞台の歴史ロマン。アヴィニヨンの薬屋小町クレールとハリソン&マルセル主従との運命の出会い。

標的(9/16) フランダースの画家

2008年05月18日 10時35分20秒 | 第8話/標的

 作者は子供の頃、日曜の夜7時半から放映の「フランダースの犬」という、
世界名作物アニメを見ていました。

 ベルギーのフランダース地方が舞台で、
絵の上手なネロ少年が、保護者である祖父との死別、周囲の無理解、貧窮の中で夢も失い、
雪の日に教会で、憧れのルーベンス(1577-1640)の絵を見る事ができた後、
飼い犬のパトラッシュと凍死してしまうという、
も~涙ナミダの悲劇でした。

 ついでながら作者、

「フランダースの犬」のネロ
「タイタニック」のジャック・ドーソン


それから擬中世詩人のチャタトン少年(1752-70) ← この人は実在の人

― この物語の数年後、ロンドンで貧窮と絶望の中に服毒自殺してしまい、
「何で助けてあげなかったぁああーっ!!!」
― と、ウォルポールさんがその元凶として、世間から吊るし上げを喰らう(全くウォルポールさん踏んだり蹴ったりですわな~。)
事となるのですが、

…この3人は実に身につまされますな~。

 一方、同じフランダースの画家でも、15世紀前半に活躍したファン・アイク兄弟は、
歴史上実在した画家で、特に弟のヤン(1390頃-1441)は絵画史に燦然と輝いています。
ウォルポールさんも、この画家の事を自分の著作の中で書いていて、
油絵はこの画家よりも前にあったのではないか ―?という内容らしいです。
現在の絵画史の本では、「油彩の確立者」と書かれているようです。

 ジョージさんは、奥さんのエリーズ妃とパリに来る前に、ベルギーにも寄っていました。
ファン・アイク兄弟の作品も ― 多分「ヘントの祭壇画」の事なのでしょうが、見学しているようです。

 この祭壇画の中の「神秘の子羊の礼拝」の右上部分に、アヤメ(アイリス)の花を見つけた時には、
作者もびっくりしました。
見たのはヘントの聖バーフ聖堂ではなくて、日本で居住地区にある図書館の美術書で見たのでしたが― 。


「フランダースの犬」 私も若い頃に、年の離れた妹弟と見ていたわ。
今でもアニメの名場面を集めたスペシャル番組で、ネロとパトラッシュの悲しい最期のシーンが見られるわね。

欧米では、主人公のネロは「負け犬」と言われているって、ネットのニュースで書いてあったぜ。
パトラッシュも本当は全然違う犬種で、アニメとは似ても似つかない容姿だってさ。

ひどーい。ネロさんの事をそんな風に言わないでよー!
何かその情報、すごくムカつく~!!

ジョージ殿、自分も芸術好きで、
だからウォルポール殿を「お師匠様よ」「大御所様よ」と崇めているのに、
純粋なだけに、これから後はハリソンとの事で、利用されてしまうんじゃないかという気もするのじゃが ― 。

「トリストラム・シャンディ」のトバイアス・シャンディ大尉は、
「フランダース」といえば、自分が加わっていた戦闘の事を思い出すようですが ― 。
日本人は何てったって「フランダースの犬」ですよね~!?

来週は、「ハリソンさんの好きな絵と嫌いな絵」です。

〈次回の更新は5月24・25日の予定〉




この記事についてブログを書く
« 標的(8/16) 今時セレンデ... | TOP | 標的(10/16) それでも私は... »

Recent Entries | 第8話/標的