NHK大河ドラマ『龍馬伝』(鈴木圭チーフプロデューサー)に登場する坂本龍馬は徹底した反戦平和主義者で、もし黒船を造れたら家族を乗せて国外逃亡するのが夢だそうだ。西欧列強の魔手が迫る母国日本を放ったらかしにして。
NHK『龍馬伝』第7回「遥かなるヌーヨーカ」で、龍馬が家族に浦賀で見た黒船の話をし“黒船を造ってみたい”旨を語る場面があった。龍馬の兄が“それでアメリカの黒船をやっつけるのか?”と聞くと、それに対してNHK反戦平和龍馬は“いや、ワシはケンカは好かん”と言う。終盤の、一家で海辺に出かける場面で、龍馬は“黒船に皆を乗せて世界を見て回りたい”という夢を明かす。
「国外逃亡」などという言葉は出てはこないが、武市半平太ら多くの若者達が“アメリカが日本を我が物にしようとしている。絶対に日本を守らねばならない” という危機感と決意で必死になっているのに、NHK反戦平和龍馬クンは家族で海外に物見遊山に出かけたいなどとアホなことを考えている。国外逃亡と言われても仕方あるまい。
西欧列強の文明と軍事力を知らず、剣と旧式の火器で夷敵を打ち払い日本を守れると思っている武市らは、確かに滑稽かもしれない。しかし、彼らの方がずっと人間としてまともだ。当時の武士の若者は皆彼らのように「異人から日本を守らねば」と考えていたはずだ。(開国か鎖国かの違いは、その手段・過程についての違いに過ぎない。)
実在の坂本龍馬も武市半平太らと同じように「異人から日本を守らねば」と思っていたに違いない。有名な“異人の首を取りたい”旨の手紙の文句も、黒船来航半年後に佐久間象山の砲術学校へ入門した事実も、その証拠と言っていいだろう。 この番組では“異人の首を取りたい”はウソということにし、砲術学校入門は無視して無かったことにしてしまったが。
龍馬を絶対的反戦平和主義者として描き、「攘夷」を唱える武市らをバカ扱いするのは、近い将来に予想される中共による日本侵略の手助けをしたいからなのではないか?という邪推をしたくなる。
“命を懸けて国を守るなど馬鹿らしくてカッコ悪いことだ。一切抵抗せず降参するか、龍馬の夢のようにさっさと国外逃亡するのがカッコいいのだ。” そのように日本人を洗脳して、日本がなるべく簡単に中共サマの軍門に下るようにしたいのではないか?
まさかそんなことではないと思うが、私は、ついそういうゲスの勘繰りをしてしまう。