メガリス

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「私なら往復ビンタです!」 映画『チェスト!』実に爽快だ。

2008年03月17日 23時23分00秒 | 鹿児島

 「私なら往復ビンタです!」
 映画『チェスト!』で松下奈緒がこう啖呵をきる。実に爽快だ。

 水泳の授業中に悪戯で同級生を溺れさせた子供を、教師高坂が平手打ちする。そのことに苦情を言いに来た母親に対して、松下奈緒さん演じる教師がこう言い 放つのだ。「高坂先生がビンタしなかったら、私がビンタしていました!いえ、ビンタじゃありません。私なら往復ビンタです!」
 
 鹿児島市の清水小学校と松原小学校には、”錦江湾(きんこうわん)遠泳”という伝統行事がある。4・5・6年生の希望者が参加し、桜島と薩摩半島に挟ま れた約4.2キロを泳いで渡るのだ。 『チェスト!』は、この錦江湾遠泳大会に題材を得た、鹿児島を舞台とする映画だ。鹿児島の多くの自治体・企業・団体そ して個人から支援を受けて完成された映画だが、地元の人間だけが興味を持ち面白がる自己満足的な”ご当地映画”では無い。
 正直であること、助け合うこと、弱いものを労わること、感謝すること、そして、自分の弱さや境遇に負けず頑張ること。子供達にとって、というより、人間 にとって大事な徳目を真正面から訴えて、しかし説教くささの無い、誰もが楽しめる立派な娯楽作品になっている。             
 冒頭に紹介した場面には製作者の体罰に対する考えが顕れてはいるが、映画全体として特に体罰肯定を主張しているわけではないので、主要な部分とは言えな い。しかし、私にとっては、まるで主人公の少年が学ぶ野太刀自顕流の豪快な一太刀のように、正しいことを正しいと素直に明快に言い切るこの映画の爽快さ・ 痛快さ・清清しさを象徴する場面と映る。

 4月19日(土)から全国公開予定である。(九州では既に先行公開されている。)
 問題のドキュメンタリー(?)映画『靖国』なんかを観るような金と暇があるなら、絶対『チェスト!』の方をお勧めする。

↓映画『チェスト!』公式サイト
http://chesuto.com/

 主人公の父を演じる高島政宏氏の熱演というか怪演もなかなか見ものだ。
 
  

 


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