児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

あなたのことば

2024-01-11 | 物語 (電車で読める程度)
よいしょ は えいぢょ えいぢ 

だっこ は あっこ

ぱん! ばあな!

どっちもだいすきだよね。

みぢぁん げんぢぁん

会いたいね

ぼてとー!と指差したフライドポテト。

よくみえてたね

焼き海苔は ビリ

ぞうちゃ は 見つける度に嬉しそうに教えてくれたね。

あきゃ!あきゃ!と元気なあなたがだいすきです。



あなただけにもっともっとしてあげれたんじゃないかって、情けないけれどいまもおもってる。
だから、せめて膝で温まる猫のような時間は大切にしたいな。

あなたがある日立ち止まったとき、これまでの一切合切は決してわるいことばかりではなかったと、おもえますように。そしてあなたの願いが届きますように。


【おわり】

羨望

2024-01-09 | 物語 (電車で読める程度)
表現者になりたいという青年。

感謝を伝えたいのだという秀才。


どれもなんだかなぁと思った。


見知った人が周りの期待に応えて昇格したことが素直に嬉しかった。

そりゃそうだ、と思った。


思った。思った。思った通りだ。


ギターの練習や小説を書くことの方が、あなた自身のことについて考えるより大切なのかい?


馬鹿でもわかる大学を目指すことが、あなたにとっての免罪符となるのかい?


そこまでして我にかえった。

あぁこの鳩尾辺りがふわふわする感覚の正体はきっと醜い嫉妬だ。


将来に期待することは若者の特権なら、

私にとっての理想の中にいるあなたも、あなたも、あなたも。みんなみんな羨ましくて仕方ないんだ。

私には眩しすぎたんた。

【おわり】



クリスマスの種明かし

2023-12-12 | 物語 (電車で読める程度)
「ねぇ、せんせ。」

冬期講習には少し早い時期にも関わらず、
こんなところで椅子に座らされている小学生を不憫におもった。

「アタシ、クリスマスプレゼントがなにかもう知ってるんだぁ。」

そして、こちらが応える間もなく話し続けた。

「100ピースのパズル。昔、あなたが好きでやってたでしょってお母さんがいうの。」

肩を落として言うこの子になんて言葉が丁度いいんだろうか。

いい大人のふりをして母親の気持ちを酌むように諭すべきなんだろうか。

結局、「それはやだね」と言ってしまった。


こんな家庭教師に払うくらいならさってね。

【おわり】

通過

2023-12-12 | 物語 (電車で読める程度)
まじで、ありがとうございました。

彼のことはなにも知らなかった。

この光景は二度目らしいのだが、

さっぱり身に覚えがなかった。

高い身長を少し屈めて、

歩く彼のことなんて

知り合いから楽器を貰ったことと

名前が変わったことくらいだろうか。

通りすがりの私なんかがおこがましいが

彼の時間のうちなにか役に立てばいいとおもった。

たとえば

風邪かと訊ねて返ってきた答えが

いやこれ、せいしんの薬っす。なら

その時どうしてもっと気の利いたことが言えなかったんだろうか。

それからわざわざ手紙を寄越してくれた彼はそれとは別に私達ではない人へ宛てた手紙があった。

彼にとって、その出会いはとてもとても大きなものだったんだろう。

よかった。

そんな日々だ。



【おわり】




挫折と諸話

2023-10-08 | 物語 (電車で読める程度)

また書ききれなかった。
読んだこともない若い才能を恨んだ。
自分のことは棚に仕舞い込んで、
放火魔の逆恨みが反射した。

友人の晴れの日に期限切れだった。
兄弟よ、どうか落胆しないでくれ。
どうかまだ私と肩を並べておくれ。

妻の誕生日さえも忘れそうなほど日々はあっという間で、手紙のひとつも儘ならなかった。

所詮言い訳探しと秋の匂いがなじった。