児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

パパ々パーティー

2025-01-27 | 物語 (電車で読める程度)
父親だらけの会場で「父とは如何」と誰かを問いただしたかった。出来れば自分と似たような考えの相手と話がしたかった。自分とはまったく相容れない価値観とぶつかり合うほど体力は残っていない。似たような色同士でより濃く深い沼に沈みたかった。
私は妻を大切にしたい。息子たちを幸せにしたい。というよりも、妻と息子たちにとって私が父でよかったと思ってほしかった。こんな凡夫な私でもいてくれて幸せだったといってほしい。だから今も爪先立ちなのだ。

幸せになってな。ただ幸せになってな。

そんなメロディが聞こえてきた。
その通りだと思った。だからこそめちゃくちゃにもなるのだろう。なにもかも台無しにしてしまうかもしれない。
これは片手間で出来ることじゃない。そもそも私はそんなに器用じゃない。

なら、父とはなんだとあらためて詰め寄ってやろう。お前は、世間様は、そんな父で良しとするのかと一喝してやろう。
そこで初めて彼も語り出すだろう。
父としての己を


【おわり】


祝福を

2025-01-14 | 物語 (電車で読める程度)
いじめられっ子たちの同窓会
もちろん自分もその一人
引きこもっていたアイツも
キモいと笑われていたアイツも
殴られていたアイツも
ハゲかけていたアイツも

立派に働いて、
結婚もして、
初恋リベンジして
ようやくここまできた

酒のないグラス。温かいだけの水道水がやけに泣けた。

愛されることを知っていたら
きっとこんな夜のために
あの日はあったんだろうな

繰り返し唱えた呪詛は
ただのひとつも知らないフランス映画だ。

よかった。
ありのままの我々。祝福を。

【おわり】