児童文学作家を目指す日々 ver2

もう子供じゃない20代が作家を目指します。ちょっとしたお話しと日記をマイペースに更新する予定です。

木曜日、雨の日

2020-10-08 | 物語 (電車で読める程度)
雨の日

場違いじゃないかってきょろきょろした百貨店の、本屋さんだけは僕がいてもいい場所

高いスーツもブランド品も、
僕には不釣り合いだけど、

君になにかとっておきのものをわたしたいから、ここまでやってきたのだ。

僕の生活圏の中のいっばんおおきな本屋さん

そこで探すのはかわいい便箋

君の顔がほころぶ便箋だ


そこに僕のたどたどしい字で、
君の26回目のお誕生日をお祝いしたい。


きらびやかな店内の
すみっこにあったくまの便箋。


ひょっこりでてきたくまさんに
君が喜ぶ姿が見えて

うれしくって握りしめた



なのに、

お会計をするとき

店員さんはすごくしゃんとした人で

いろいろポイントとかきかれて


あわてて買ってつかんだはずなのに

帰り道でなくしたことに気がついた



君に渡したとき


これ、かわいいね
ありがとうっていってほしかったのに


なんでなくしちゃったんだろう




よれた革靴に雨がしみこんだ




【おわり】