面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「チェ 28歳の革命」

2009年02月11日 | 映画
1955年、貧困にあえぎ、搾取される人々を救いたいという思いを抱くエルネスト(チェ)・ゲバラ(ベニチオ・デル・トロ)は、放浪中のメキシコでフィデル・カストロ(デミアン・ビチル)と運命的な出会いを果たす。
キューバの革命を画策するカストロ共感を覚えたゲバラは、わずか82人で海を渡り、キューバ政府軍と戦うというカストロの作戦に同意し、ゲリラ戦の指揮を執った…

「チェ」という愛称で呼ばれ、軍医としてもゲリラに参加するゲバラ。
純粋に虐げられる民を救い、本気で世界を変えようとした彼の行動を追体験できる、ドキュメンタリータッチの作品。
戦士としての猛々しさだけでなく、常に仲間達への気配りと愛情を絶やさず、女性や子供には特に優しさをみせる彼に、惹かれない者はいなかっただろうことがみてとれる。

最近、ゲバラの顔がデザインされたTシャツやグッズを目にする機会が増えているが、それが誰なのか、またどのような人物なのか知ることなく、ただなんとなくカッコいいからということだけで接してきた人々には、是非観てもらいたい作品。
「20世紀最大のカリスマ」と言われるキューバ革命の英雄チェ・ゲバラって誰?というくらいは知ってもらえる。

ただし、この作品を鑑賞する際には、自分もゲバラ率いるゲリラの一員となることをお勧めする。
ヘンに客観視してしまうと、よほどのゲバラ・ファンでない限り、どこかの時点で“置いてきぼり”をくらってしまう可能性が高く、そうなるとあとは睡魔との戦いを余儀なくされかねない。
映画「クローバー・フィールド」を楽しむときと同様、スクリーンの中に自分を置き、ゲバラと一緒になって戦えば、ゲバラに触れることができる。

キューバ革命を達成した後、国連総会に出席し、歴史的な演説を行ったクライマックスまでを描いた本作は、ゲバラに対するソダーバーグ監督の思いと、全身全霊を傾けてゲバラを演じたゲニチオ・デル・トロの熱演が見事に融合した佳作。


チェ 28歳の革命
2008年/アメリカ  監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、エルビラ・ミンゲス