1957年、アメリカ・ネバダ州。
軽快なロックンロールを響かせながら、4人の若者が1932年型フォード・ロードスターをとばしている。
軍用車の隊列を見つけた4人はレースを挑むが、先頭車両が一瞬アクセルを踏んで対抗した以外、軍人達は全く相手にせず、喚声をあげて走り去っていく若者達を見送りながら空軍基地へと向かっていった。
「軍関係者も含めて立ち入り禁止になっている」とゲートの警備兵が入場を拒否すると、車両から上官が降りてきて、警備兵達は最敬礼する。
その上官がふと靴紐を結びなおした瞬間、他の兵士達が軍用トラックから降り立ち、警備兵を射殺してしまう。
そのまま何事もなかったかのように奥へと進む隊列。
彼らは、アメリカ軍を装ったソ連兵の一団だったのだ。
巨大な格納庫の前で停止すると、先頭車のトランクから二人の男が引き摺り下ろされる。
一人の男が車のトランクから引きずり出されたとき、地面に転がる帽子。
男は立ち上がると帽子を拾い上げ、いつもの仕草で頭にかぶる。
待ちに待ったインディ・ジョーンズ登場の瞬間である!
「51」と扉に書かれた巨大な格納庫。
そこに収められている“米軍のトップシークレット”を奪うべく、米軍を装ってやってきたソ連兵。
そのモノを倉庫の中から見つけ出させるために、インディは友人のマックとともに、メキシコの遺跡発掘現場から連行されて来たのである。
「Xファイル」好きならピンと来る、ネバダの砂漠にある「エリア51」とそこに格納されている“米軍のトップシークレット”。
「インディ・ジョーンズ」といえば、考古学の学者じゃないのか?
いきなりUFO話から始まるのかよ!?
えらく雰囲気変わってきたんじゃないか???
作品タイトルにあるクリスタル・スカル(=水晶の骸骨)を見たとき、凡その予測はついていたとはいえ、のっけから「ロズウェル事件」からスタートするとは意表を突かれた。
しかし、「オーパーツ」としてあまりにも有名な水晶の骸骨は、確かに考古学の範疇のものであり、なおかつUFO(=異星人)にも関連付けられて語られるものである。
今回は「未知との遭遇」テイストなのか???
いきなり“敵”につかまっている導入部分に続いて矢継ぎ早に展開される謎解き、脱出、宝捜し。
とても還暦を超えているとは思えない元気なハリソンによる相変わらずのアクション、カーチェイス、そして奪い奪われる宝物。
わらわらと画面に湧いて出てくる虫や原住民。
(原住民を「湧いてくる」というのも失礼な話だが、観てもらえば感じがわかるはず)
これでもかとばかりに彼らをピンチに陥れる遺跡の大仕掛け。
「インディ・ジョーンズ」シリーズの基本をしっかり踏襲し、しかも前三作が関係するシーンが散りばめられ、シリーズのファンはある種の“同窓会的ノスタルジー”に浸りつつ、言わば「吉本新喜劇」的な良きマンネリズムを堪能できる安心感。
しかも今回は、自分のような「X-ファイル」系の話が大好きな人間の好奇心を刺激するモチーフの数々が登場し、その切り口もgood♪
シリーズを知らない世代にも十分に楽しめるだけでなく、シリーズの登場人物達の人間関係もしっかり押さえることができるストーリー展開。
随所に“小ネタ”の笑いも盛り込まれ、極上のエンターテインメント作品に仕上がっている。
これぞまさしく痛快娯楽活劇!
ハリウッドの王道・覇道を行く作品作りはさすが。
ルーカス、スピルバーグの黄金コンビの健在ぶりをまざまざと見せつけてくれる。
つまらないアラ探しなどせず、しょうむない突っ込みは横へ置いておき、何も考えずにスクリーンに没頭してもらいたい。
「インディ・ジョーンズの世界」に浸りきり、全身で“感じる”ることが、この作品の正しい鑑賞方法である。
映画の醍醐味、ここにあり!インディの復活に乾杯!
「
インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」
2008年/アメリカ 監督:スティーブン・スピルバーグ
原案・製作総指揮:ジョージ・ルーカス
出演:ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、ケイト・ブランシェット、カレン・アレン、ジョン・ハート、レイ・ウィンストン