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団地の植物ばあさんから菊をいただいた。
菊は独特の匂いがする。
日本の秋の匂いだ。
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クリーニングを出しに外へ出たら、植物ばあさんはいつも通りに歩道沿いの草花の手入れに余念がない。
一群の菊に見とれていると「お好きならどうぞ」と素っ気なく言う。
見抜かれている。
お礼を言って少しだけいただいてきた。
ばあさんはこの25メートルくらいもある土手の植物たちをお世話する達人だ。
季節ごとにいろんな花を咲かせている。
それを知っているのでうかつに摘むわけにはいかないのだ。
愛想のないばあさんだが植物が大好きなのだ。
そういえば晩ご飯に肉豆腐を食べた。
春菊をたっぷりいれて。
菊が知らぬ間に食欲を刺激していたことに今気がついた。
菊の苦みもまた秋の味である。
嗚呼、ボタニカル!