(1日、御所実19―14慶応 高校ラグビー

 後半30分、慶応に逆転を許し、御所実は追い込まれた。それでもグラウンド上の15人は全員が冷静だった。主将のSH吉川が振り返る。「時間はまだあることを確認したので、諦める気持ちはなかったです」

 最後の攻撃に出る。何度も攻撃の形を作って襲いかかった。敵陣左深くにモールで押し込むと、慶応が人数をかけて防ぎにきた。右が空く。ここで吉川からボールを託されたのは、2大会前の準優勝を知るメンバーの1人、WTBの竹山暉。相手インゴールに走り込むと、腕を上げて喜びを爆発させた。ノーホイッスルトライ。ロスタイムは、5分を過ぎていた。

 「うれしくて……。色々苦しかったことを思い出しました」と竹山暉。全員が抱いていた再逆転への思いを見事に結実させた。

■慶応、悪夢のノーサイド

 終了間際、慶応は天から地に突き落とされた。後半30分で逆転。ノーサイドは目前だったが、再開後、自陣深くでの密集でボールを奪われ、手薄になったサイドを突かれて逆転トライを奪われた。稲葉監督は「勝ちきることができないところが力不足」。ロックの辻は「最後まで集中しきれなかったのが自分たちの甘さです」と泣きじゃくった。