ここ数年「想定外の津波」「想定外の集中豪雨」「想定外の規模の竜巻」といった過去にない規模の災害が発生し、各地に甚大な被害をもたらしています。
そうした中、新しい年を迎えた今こそ、家族はもちろん恋人・友人と「防災会議」を開き、緊急時に連絡を取り合う方法、集合場所、避難経路を決めておきたいもの。
災害は、いつなんどき私たちに襲いかかるかもしれません。
いざというときに慌てず、不安な状態を少しでも軽減できるようしっかり対策を講じておきましょう。
家族、恋人、友人と「防災会議」を開こう!
ナチュラル・ハザード発生時に起きうる3つの状況
とはいえ、過去に起きたナチュラル・ハザード(地震、津波、洪水、豪雨、土砂災害、竜巻、火山噴火など)をもとに、「どんなことに気をつけ、どのような対策を立てればよいか」を事前に準備することは可能です。
ここでは実際に起きた3つの状況から、大切な人と共有しておきたいルールについて考えます。
● 想定01● 災害発生時は携帯・スマホがつながらない
通話、メールができず、停電のため充電もできない。
バッテリーがなくなったことで、かけたい相手の番号もわからなくなる
● 想定02● 家族がバラバラの状態が何日も続く
父は車中、母は公民館、長男は病院、長女は学校とバラバラに避難。
安否がわからない不安な状態が何日も続く
● 想定03● 危険性の高い避難経路で、二次被害に巻き込まれる
レンガ壁、石壁、窓ガラスの破片、看板、電柱が道路に散乱。
危険性の高い避難経路を選び、大ケガを負ってしまった
● 想定01 災害発生時は携帯・スマホがつながらない
阪神・淡路大震災、東日本大震災発生時もそうでしたが、不測の事態下では通話が被災地周辺に集中するため、電話やメールがつながらない「輻輳状態(ネットワーク設備の処理能力オーバー )」に陥ります。
しかし、携帯やスマホと比較して固定電話は被災地と離れた場所に比較的つながりやすいため、いざというときは遠方に住む祖父母、親戚、親しい友人宅などを連絡先に決めておくことも有効な方法です。
一例として、「緊急時に家族が離ればなれになってしまったら、お互いを捜しあう前に、まずおじいちゃんに無事であることを連絡する」とあらかじめ家族で約束しておく。
こうしたルールによって、祖父宅を拠点に迅速かつ確実に全員の安否情報を入手できますし(事前にお子さんの携帯に祖父宅の電話番号の登録が必要)、祖父側も回線が混雑する被災地に何度も電話をかけずにすみます。
● 想定02 家族バラバラの状態が何日も続く
さらに地震、津波、洪水、火災、土砂災害などの発生時は、自宅に近づけない事態も発生し得るため、自宅以外の待ち合わせ場所も事前に取り決めておきましょう。
それは例えば「自宅に近い公園のブランコ付近」「長男が通う学校の正門や鉄棒」といった具合に、「付近に高層ビルがない」「敷地が広い」といった観点で、場所をピンポイントに設定しておく。仮にバラバラに避難することになっても、電話がつながらない状況でも、そこに安否を知らせるメモを残すことができるからです。
過去に起きた災害では、被災者が家族の安否を確かめるために、いくつもの避難所、病院、学校、自宅を何日にもわたって何度も行き来したという実例も多く報告されています。こうした際は車での移動が便利に思われますが、ガソリンの給油もままならない状況下では、それも現実的ではありません。
何より、長時間にわたる精神疲弊は体にも甚大な悪影響を及ぼしますので、命を守る次の一手にとりかかるべく、安否にかかわる不安材料を優先的に払拭することが大切となります。
● 想定03 危険性の高い避難経路で、二次被害に巻き込まれる
ただし、地図をもとにした情報は時間が経つと忘れてしまいがちなので、天気のいい日に家族全員で実際に避難経路を散歩しながら、狭い道、川べり、橋、ブロック塀、ガラスの多い建物等がないかを確認しておくと、いざという時に二次被害に巻き込まれる危険を回避できるので安心です。
地球温暖化、ヒートアイランド現象といった要因から、想定外の災害が次々に起きていますが、もしかしたら、最も恐ろしいのは「自分はだいじょうぶ」「防災なんてカッコ悪い」と思う“慢心”なのかもしれません。
いざという時に災害の二次被害を拡大させないためにも、大切な人と防災会議を開き、「連絡方法」「集合場所」「避難経路」のルールを取り決めておきましょう。