6月は「蚊の発生防止強化月間」!安心&安全に蚊よけする方法とは?【前編】
これから暑くなると同時に増えてくるものといえば…そう、蚊です! 特に昨年、デング熱のことが報道されましたから、ついつい敏感になってしまいますよね。東京都は、昨年感染が相次いだデング熱への対策を強化するため、今年6月1日から「蚊の発生防止強化月間」と位置づけて、地域や家庭に対策を呼びかけるキャンペーンを始めました。自分たちでも出来る蚊よけ対策にもいろいろ種類がありますが、市販の殺虫剤や蚊よけ剤って本当に身体に害はないの…?と思っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回から2回にわけて、「殺虫剤やよくある市販の蚊よけ剤に頼らない、安全な蚊よけ方法」を検証していきましょう。
一般的な「蚊よけスプレー」に含まれているのは化合物
その前に、なぜ一般的な殺虫剤や市販の蚊よけスプレーの安全性を疑問視する意見があるのか、そのあたりの事情を改めてお話ししましょう。市販されている蚊よけスプレー、つまり忌避剤によく使われているのは「ディート」という成分。実はこれ、自然界に存在する物質ではなく、ジャングル戦のときの装備品開発を目的にアメリカ軍が開発した化合物なのです。ディートは、忌避効果が優れていることに間違いはないのですが、健康への影響があるのではないかと専門家の意見が分かれています。実際にカナダでは、ディートが配合された製品の使用に対して年齢に応じて使用回数が制限されています。びっくり! 日本でも実は使用回数が制限されている
日本でも、忌避剤に対しては平成17年に構成労働省がガイドラインを制定しました。私たちの身近でよく売られている忌避剤にも、よく見ると「6か月未満の乳児には使用しない」「6か月以上2歳未満は1日1回までの使用」などという文言が書いてあります。いっぽうで殺虫剤によく使われている成分は、「合成ピレスロイド」という成分。その正体は簡単にいうと神経毒の一種です。哺乳類に対しての安全性は高いといわれていますが、環境ホルモンのような作用があるという意見もあって、なるべく使うのを避けたいという人も少なくないようです。…と、こういう情報を知ってしまうと、本当に安心して使っていいのかどうか不安になりますよね。特に妊婦さんや小さい子供のいるお母さんは心配になってしまいます。殺虫剤や忌避剤に頼らず、何とか上手に蚊よけしたいものです。「吊るすタイプの蚊よけ」は効果がない!?
まずは「実は効果がないのではないか」といわれている方法から検証していきましょう。その代表的なものといえば、「吊るす虫よけ」です。一時期は夏の風物詩ともいえるほど流行したこの手の商品ですが、2015年2月に消費者庁が措置命令を出しました。というのも、そもそもこの手のタイプに含まれている薬剤には、「吸血するタイプの蚊」には効果がなかったからです。しかも屋外に置いていると薬剤が滞留しないので、忌避効果が疑問視されることがわかりました。今年も「吊るす虫よけ」はたくさん売られていますが、吊るしたからといって絶対に蚊が入ってこないとは限らない、と思っていたほうがいいかもしれません。フィリピンで大流行した「蚊よけペットボトル」
フィリピンでデング熱を減少させた!として昨年話題になった、「蚊よけペットボトル」のことを覚えている人もいるのではないでしょうか。蚊よけペットボトルって何?と思った人のために説明しましょう。フィリピンではデング熱の流行が大きな社会問題になっていましたが、「二酸化炭素を発するペットボトルを手造りしてあちこちに置く」ようにしたら、デング熱が激減したそうなのです。…そのペットボトルの作り方はいたってカンタン。(1)1.5リットルもしくは2リットルのペットボトルは上から3分の1のところで切る。 (2)40度のぬるま湯200ミリリットル、ブラウンシュガー50グラム、ドライイースト1gをよく混ぜ、ペットボトルの下部のほうに入れる。 (3)きり落した上部を上下逆さまにして、下部にフタをするようにセットする。 (4)ペットボトルの周りを黒い紙か布で覆い、玄関や寝室など気になる箇所に置いておく。イーストは発酵すると二酸化炭素を発するようになります。それに引き寄せられて蚊がペットボトルに入ってしまうという仕組み。身近にあるものでできるので、フィリピンでも大流行し、しかも絶大な効果があったわけですね。ただこの蚊よけペットボトル、日本で実際に作った人の経験談を調べてみると、どういうわけか効かなかったという声が圧倒的。日本の蚊には効果がないのかもしれません。ですからこれも、試すなら過信するのではなく「いくつか行う対策のうちのひとつ」と考えたほうがいいかもしれませんね。<参考資料>