この季節、少し油断すると何だかイヤーな匂いがキッチンから……ということもありますよね。
夏に向かってさらに暑くなるにつれ、どんどん食中毒の菌が増えていきます。
5月から7月にかけて、特に注意したいのが「カンピロバクター」による食中毒。
今年の3月には、焼肉店でカンピロバクターによる集団食中毒が発生しました。
では、カンピロバクターとはどんな菌なのか。予防対策まで徹底検証!
※明日夜は、家庭でできる食中毒対策を紹介。2夜連続でご覧くださいね。
カンピロバクターは少量の菌でも猛威をふるいます。日ごろから“清潔”を心がけましょう
増加傾向にあるカンピロバクター 。肉類、とくに鶏肉が注意
しかし最近、増加傾向にある菌で、年間2000人から3000人もの患者が出ています。これは、ノロウィルスに次いで2番目に多い数字なので、決して侮れません。
カンピロバクターは鶏、牛、豚の腸管内に棲息する菌なので、肉類が感染源と考えてよいでしょう(汚染された飲料水や動物からの感染もあります)。
やっかいなことに、少量の菌でも体内に入れば腸炎を発症し、発熱、頭痛、吐き気、腹痛、下痢などの食中毒の症状だけでなく、まれにギラン・バレー症候群を発症することもあります。
また、冷凍しても長期間生き続けるため、凍れば死滅するというわけではありません。低温に強い菌なので、冷蔵庫を過信するのは禁物。菌の増殖は抑制されても死滅することはないので、早めに食べきってしまうことが大事です。
「加熱」と「消毒」の二本柱で、菌を死滅させる
カンピロバクターの最大の弱点は、熱です。
肉の色が変わるまできちんと加熱することで菌は死にます。目安は、65度以上の熱で数分間(中心の温度が75度以上で1分間)しっかり火を通すこと。
骨付き肉など中まで火が通りにくいものは、生焼けの部分がないか確認してから食べるようにするといいですね。
とくに菌が多いとされる鶏肉は注意が必要です。ササミの湯通し程度では死滅しないと考えてください。
また前述したように、この菌はわずかな数であっても感染する恐れがあるので、二感染に注意することがとても大事です。
肉を触った手でサラダを作ったり、肉を切った包丁やまな板でカマボコなど生食を切ったりすると、その菌は簡単にほかの食材に広がります。肉を扱った手や調理器具はしっかり洗い、またアルコール消毒、漂白剤、塩素消毒などこまめに行いましょう。
予防対策のおさらい
●他の食材(野菜、果物)と肉とが触れ合わないようにする。
●カンピロバクターは、熱に弱いのが特徴。
65度以上で数分間加熱(中心の温度が度以上で1分間加熱)し、ムラなく火を通す。
●肉を触ったら必ず石けんで手洗いを。
調理器具も洗浄・殺菌をこまめに、また70度以上の熱湯をかけると効果的。
7月から食品衛生法で、牛レバーを生食用として販売・提供することが禁止になります。
また、豚レバーを生で食べると、カンピロバクターやサルモネラ菌等の食中毒のリスクがあると発表されました。レバー刺等を生で食べることはやめましょう。
最大の予防は「しっかり加熱」と「殺菌・清潔」です。
誰だって食中毒になるのはいやですよね。でも、恐がり過ぎも禁物。正しい食材の扱い方を知ることで、未然に事故を防ぎ、美味しい食卓へとつなげていきましょう。