日本女子初の快挙!村上が個人総合で銀 ラスト床で逆転「つかみ取った」/体操
体操・世界選手権第8日(1日、ドーハ)女子個人総合決勝が行われ、昨年4位の村上茉愛(まい、22)=日体大=が4種目合計55・798点をマークし、同種目の日本勢で過去最高の銀メダルを獲得した。日本女子の表彰台は2009年の鶴見虹子の3位以来となった。寺本明日香(22)=ミキハウス=は54・299点で10位。16年リオデジャネイロ五輪女王のシモーン・バイルス(21)=米国=が57・491点で4度目の優勝を飾った。
安堵(あんど)の涙は、次第に歓喜の涙へと変わった。日本勢9年ぶりの表彰台を決めると、村上はフロアを駆け出し、客席の最前列から身を乗り出した母の英子さんと熱い抱擁を交わした。
「悔いのない状態で終わりたかった。自分でつかみ取った銀メダル。本当に良かった。(演技後の涙は)緊張がほぐれて出た」
第3種目までを終えて5位につけ、得意とする最終種目の床運動を迎えた。冒頭のターンでバランスを崩したが、H難度の大技シリバスは決めた。全体2位の14・000点をマークし、日本勢初の銀メダルを手繰り寄せた。
夏場に右足首の靱帯(じんたい)を部分断裂。全治3カ月と診断された。「(個人総合で)1回も優勝していない」と出場を渇望した8月の全日本学生選手権はスタンドで見守った。経験のない足首の故障で調整は遅れ、持参したテープの量はこれまでの「5倍」。この日も患部にはがっちりとテープを巻き、満身創痍(そうい)だった。
2016年リオデジャネイロ五輪女王のバイルス(米国)らが欠場した前回大会は予選で首位も、決勝は4位。平均台での落下が表彰台を逃す決定打となった。極度の緊張で食事もまともに取れず、悔し涙をこぼした1年前の経験が糧になった。
昨年は種目別床運動で日本勢初の世界一。力強いバネのある演技で「ゴムまり娘」の愛称を持つエースは、全4種目で争う個人総合でも世界屈指の選手に成長した。
瀬尾京子コーチ(日体大女子監督)「(村上は)しっかりとDスコア(演技価値点)が取れていた。十分な結果。去年と今年は出ているメンバーが違うので(去年の)個人総合の4位、床運動の1位より価値がある」
10位の寺本明日香「やりきった感はある。でも、本当はこの演技を団体総合決勝でやりたかった。悔しさが残る世界選手権になった」
データBOX ◎…村上が世界選手権の個人総合で日本勢初の銀メダルに輝いた。これまでは1966年大会の池田(旧姓田中)敬子と2009年大会の鶴見虹子の3位が最高だった。
村上 茉愛(むらかみ・まい) 1996(平成8)年8月5日生まれ、22歳。東京都出身。母・英子さんに勧められ、3歳のときに池谷幸雄氏が主宰する体操クラブで体操を始める。得意の床運動で14歳のときに種目別で初の日本一。2016年リオデジャネイロ五輪は団体総合で日本の48年ぶりの4位に貢献し、種目別床運動で7位。17年の世界選手権は床運動で日本勢初の世界一に輝き、個人総合と平均台で4位。東京・明星高出、日体大4年。1メートル48、48キロ。