住宅用太陽光発電システムによる発火などのトラブルが、2017年11月までの約10年間で127件発生し、少なくとも7件が住宅側に延焼していたことがわかった。7件の太陽電池パネル(モジュール)はいずれも、住宅側との間に不燃材料のない屋根と一体型だった。消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)が28日、調査結果をまとめた報告書を公表した。

 事故調が調べたのは、太陽光発電システムから発生した火災や発火、発煙、過熱など。消費者庁の事故情報データバンクには、2008年3月~17年11月に127件の事故が登録されており、そのうち、他機関で調査をしている事案以外の72件を対象とした。

 その結果、モジュールやケーブルから発生したのは13件で、うち7件で住宅側への延焼が確認された。モジュールの設置は、架台で屋根から浮いた状態になっているもののほか、屋根と一体となっているタイプがある。7件はいずれも一体型のうち、下地とモジュールの間に鋼板といった不燃材料が設けられていないタイプだった。

 ほかの6件のモジュールは、架台に置かれたものや、屋根と一体型でも不燃材料が施されたもので、住宅側への延焼リスクが低いものだった。また、13件以外の59件は、発電した電気を家庭用に変換するためのパワーコンディショナーや接続箱からだった。これらの事故について、報告書は「素材に安全対策が施されているため、住宅火災に至る可能性は低いと考えられる」とした上で、再発防止策として、水分の侵入防止などを指摘した。

 報告書によると、住宅用太陽光発電システムは昨年10月時点で、全国約240万棟が設置されている。そのうち、モジュールとの間に不燃材料が取り付けられていないタイプは、約11万棟あるという。

 事故調は経済産業大臣に対し、こうしたタイプのモジュールを製造したメーカーに対応を求めるよう要請。住宅火災に関するリスク算定や評価などを実施させ、結果に基づき早急な対応をとらせるほか、該当する住人に応急点検の実施を促すよう指摘した。(長谷文)