<国産ロケット>H2A27号機、29日打ち上げ
1
2015年01月27日 20:01 毎日新聞
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は29日午前10時21分、政府の情報収集衛星を搭載した国産ロケットH2A27号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げる。H2Aは2001年度の打ち上げ開始から、初めて同一年度内に4機目の打ち上げとなる。27日に現地で会見した三菱重工業の平嶋秀俊・射場チーム長は「26号機の打ち上げ(昨年12月3日)から2カ月弱。実績を積み上げて次につなげたい」と話した。
種子島周辺には気圧の谷が接近しつつあり、29日昼過ぎには一部で雨も予想されるが、打ち上げには支障がない見込みという。今回の打ち上げが成功すれば、同じエンジンを使うH2Bと合わせた成功回数が30回に達し、成功率は96.8%となる。【津島史人】
◇レーダー衛星の予備機搭載
情報収集衛星は、北朝鮮の軍事関連施設などの監視を主目的とした事実上の偵察衛星。超望遠デジタルカメラを搭載した「光学衛星」と夜間や曇りでも地表の様子が分かる「レーダー衛星」の2種類があり、ともに北極と南極を通る軌道を回る。現在は2009年以降に打ち上げられた2組4基が稼働しており、地上のあらゆる地点を24時間以内に撮影できるとされる。
今回H2Aに搭載されるのはレーダー衛星の予備機だ。性能は稼働中の衛星と同程度という。さらに政府は今年度中に、大きさ40センチ程度の地上の物体を識別できる世界最高水準の「光学5号機」を打ち上げる予定だ。ただし解像度の高いカメラは、東日本大震災のような広範囲の災害では、情報を短時間で集めるには不向きという面もある。
ロケットの打ち上げでは通常、飛行経路や衛星の仕様を明示した計画書が公表されるが、情報収集衛星を搭載する場合はすべて非公表。所管する内閣情報調査室によると、衛星関連の情報は、昨年12月施行の特定秘密保護法に基づき「外交に関する特定秘密」に指定されたという。衛星が撮影した画像も同様の扱いで、年間約600億円の予算を投じる衛星の運用の効果は国民の目に見えにくくなっている。