昨日の続き。
昨日は「ケトン体」自分で検索してください、と不親切に書いちゃったんだけど、やっぱ少し触れておこうかと。
さて、25日放送の「世界一受けたい授業」において、京都大学の森谷先生が「炭水化物摂取」した方が痩せられるとの説を披露していましたが、この解説聞いていて、自分が「おやっ?」っと思った部分は・・・
「脳の唯一の栄養分は、糖分。従って炭水化物(糖質)摂取を制限すると、脳が栄養不足になりぼーっとする」
この脳の唯一の栄養分は糖分って部分が、医学には全くシロートの小生でも「アレ?」なんですな。
・・・・てのは、多少「脳」とか本で勉強すると、糖分が仮に不足した場合「ケトン体」という物質が栄養分として供給される(だから、ぼーっとしません)と、どの本読んでも解説されています。
で、この「ケトン体」って何かって言えば、なんでも脂肪を分解した時に出る脂肪酸を肝臓で作り変えたエネルギーで、体内の糖分が不足した時(糖質制限)に、脳はこの「ケトン体」を栄養として働くわけですな。
なので、ケトン体を脳が使えば使うほど体内の脂肪分解されます。お解りでしょ、だから痩せるんです。
糖質制限 → 体内脂肪 → ケトン体変換 → 痩せる
この森谷先生がおっしゃる「体の水分が抜けて痩せるのであって、脂肪はそのまま変わらない」って説は、もう明らかにおかしいっす。
事実、自分も病院で自分の内臓のエコー検査で見たんですけど、内脂肪はホント減ってます(主治医が言ってるんですから、脂肪が減ったと)。
あのぽっこりお腹が凹んだのは、「お腹の水分が抜けて、脂肪はそのまま」って、ウソですよ。・・・ってかフツーに考えてあり得ないでしょ、お腹に大量に水が詰まっていたなんて。
・・・・・てーことは、この森谷先生は「ケトン体」のことを、ご存じないのかもしれないという疑惑が出てきますよね。
事実、糖質制限の提唱者である京都・高雄病院の江部先生は、この番組放送後、ご自身のブログの中でこのようにコメントしています。
↓↓↓
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脳はケトン体という脂肪酸の分解物をいくらでもエネルギー源として
利用します。
これは、論争の余地のない生理学的事実です。
京都大学の森谷敏夫先生がケトン体のことをご存じないとしたら、
お気の毒としかいいようがありませんね。
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・・・・・・我が国最高学府京都大学の先生が「ケトン体」の存在を知らないとはにわかには信じられませんが、この二人過去にも論争があって、そちらもちなみに紹介しておきます。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-808.html
2009年のことです。
森谷先生の言い分(雑誌「クロワッサン」インタビューから)
『炭水化物抜きのダイエットも流行しているようですが、これもまったくお勧めできません(中略)炭水化物を抜くと大変なことになる。脳はパニックになる、筋肉は減る、体脂肪は増える、朝から爆睡する、リバウンドもしやすくなってしまう。(中略)脳のエネルギー源は糖質からできているブドウ糖だけです。だから、炭水化物を減らすと、エネルギーを大量に消費する脳はエネルギー不足になり、体を省エネモードにしてしまう。簡単な話、寝かせてしまうんです。それでも栄養が不足すると、脳は筋肉のたんぱく質をアミノ酸に分解して、肝臓でブドウ糖に変えて摂取する。その結果、筋肉は痩せて基礎代謝が落ち、食欲の調整もできなくなる』
ここでも、森谷先生は「脳のエネルギー源は糖質からできているブドウ糖だけ」と断言しています。
うーん不思議だ!! じゃあ今現在、これを書いている小生の「脳」はいかなるエネルギーで稼働しているのでしょうか? 森谷先生の説だとこの数カ月間、小生の脳は仮死状態だったということになります。米国で下手くそな英語で必至こいて赤毛人と会話してる時は小生自身脳みそフル稼働していた思うのですが、気のせいだったのでしょうか?
で、これに対する江部先生の反論。
森谷先生、まず余りにも基本的な知識不足です。脳はブドウ糖も利用しますが、脂肪酸の代謝産物のケトン体もなんぼでも利用します。
このことは生理学的な事実で、例えば、医学の教科書の「ガイトン臨床生理学」や「ハーパー生化学」にも記載してあり、論争の余地など全くありません。この事実を知っているか知らないかだけです。
NHK「ためしてがってん」といい、森谷先生といい、「脳はブドウ糖だけでなくケトン体もエネルギー源として利用する。」という基本的な生理学的事実をご存じないのは、如何なものかと思います。 ε-(-Д-)
次に、糖質制限食を実践すれば高血糖は改善しますが、肝臓でアミノ酸や脂肪酸の代謝産物のグリセロールから糖新生が行われますので低血糖にはなりません。
肝臓の糖新生は、糖質を含む食事摂取後、数時間たつと日常的に行われています。勿論睡眠中にも糖新生は行われています。糖質制限食実践中は食事中でも糖新生が行われているわけです。
・・・まぁ、どちらが正しいかは、皆さんの判断でしょうが、小生的には圧倒的に江部先生支持ですね。
第一に脳が栄養不足でぼーっするなんて、真っ赤なウソなのは自分自身の体験で、解ってますし、水分が抜けて脂肪がそのままってのも、嘘っぱちです。筋力が衰えるってのもね。
ちなみに、昨日ちょっと触れた「糖質制限すると、早死にする」ってのも、あったでしょ。確かに「炭水化物の替わりにたんぱく質・脂質を20年摂取し続けたらリスクが1.5倍になる」ってあるんですよ。ただ、「炭水化物の替わりに野菜などを中心にすると逆にリスクが減り長生きする」となってるワケ。
糖質制限において、何ぼ何でも肉ばっか食い続けて20年なんてありえないって昨日書いたけど、確かに野菜、海藻、茸、豆腐とか結構種類食べますしね、1日1食ですが。
朝食:ハンバーグ、昼食:焼肉、夕食:ステーキ・・・・ってそりゃないでしょ。そもそもそんな腹減らないし、こんなに食ったら胸やけで具合悪くなるでしょ。
まぁその他、炭水化物いっぱい食べるともう眠くなるでしょ(それこそぼーっとする)。あれだっって、炭水化物摂取による上昇した血糖値をさげるため大量のインスリン(別名:肥満ホルモン)が分泌され血糖値がさがるからだと言われています。
もう一回書きますよ。
糖質制限 → 体内脂肪 → ケトン体変換 → 痩せる
糖質摂取 → 血糖値上昇 →インスリン大量分泌 → 太る
やっぱ、そこいら辺の所も森谷先生ちゃんと説明しないとね・・・説得力ないんですよ。
・・・でも「炭水化物摂取ダイエット」って、誰か挑戦する人はいないかなぁ。 どういう結末になるか凄い楽しみなんですけど。まぁ、うちのHさんでほとんど結果は解ってるんですがね。
・・・しかし、テレビはちゃんとこの「医学的論争」を両面から検証して、放送しなくていいのでしょうか?
あんなにね、「炭水化物食べて痩せます!! 大丈夫です!!」って断言して良いのでしょうか?