今回はメディアの公正中立を保った「客観報道とは何か?」を二つの選挙(自民党総裁選挙・沖縄知事選挙)報道で考えたいと思います。
まずは、9月20日に行われた「自民党総裁選挙」。事実上の日本の総理大臣を決める選挙。
結果はダブルスコア以上で大差をつけた、現役の安倍首相首相が石破さんに圧勝したのですが、メディアは国会議員票じゃなく、一般党員票に注目。
各社大手新聞社の見出しも下記の通りになりました。
「石破氏善戦 地方票の45%」(朝日新聞)
「石破氏善戦 党員票45% 議員票も20上積み」(毎日新聞)
「石破氏健闘『次』狙う」(読売新聞)
「石破氏『ポスト安倍』望み」(産経新聞)
「石破氏 目標超す地方票」(日経新聞)
中には安倍首相が55%しか取れなかったから、「今後の政権運営に暗雲」とか「求心力低下」などという報道もありました。
さて、一方この間、9月30日に行われた「沖縄知事選挙」。4人が立候補しましたが事実上の与野党一騎打ち。最大のテーマは米軍基地の辺野古移転の是非。
結果は、自民党・公明党が推す佐喜真氏が31万票で落選。
で、野党が推す玉城デニー氏が39万票で当選。
当初は地元ラジオ局でDJを務め、国会議員4期務め圧倒的知名度を誇る玉城さんがダブルスコアで圧勝すると報道されていましたが・・結果は・・
佐喜真さんが44%と追い上げ、
玉城さんが56%と失速したのでありました。
このパーセンテージを見る限り、ほとんど自民党の総裁選挙と同じであります。
このことを踏まえ、新聞社はどう見出しをつけたかご覧ください。
「辺野古反対 玉城氏当選 全面支援の政権に打撃」(朝日新聞)
「沖縄知事に辺野古反対派 安倍政権に痛手」(毎日新聞)
「沖縄知事に玉城氏 辺野古反対を継承」(読売新聞)
「沖縄知事に辺野古反対派 翁長氏後継・玉城氏が当選」(産経新聞)
「沖縄知事に玉城氏 政権支援の佐喜真氏破る」(日経新聞)
・・・とこんな具合であります。
普通に考えて、45対55の試合で、第一試合の報道で「敗者善戦」「勝者辛勝」と報道したなら、同じスコアの第二試合も同じ報道内容でなければ辻褄が合わないはず。
ところが、同様の結果になったにもかかわらず、投票率は巧妙に報道しないで、ただ、サラッと結果を伝え、勝っても負けても「安倍政権に暗雲」と報道するこの姿勢は何なんでしょう?
一番不思議なのは、地元沖縄の「沖縄タイムス」。
自民党総裁選挙時の社説報道は、
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/318609
[安倍総裁3選]批判票の声に耳を傾けよ
と、題して負けた石破さんも45%も票を集めたんだから、そちらの意見も聞け! と論陣を張ってるにもかかわらず、本沖縄知事選の社説では
[沖縄知事選 玉城氏圧勝]沖縄から新しい政治を
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/322858
と、題して(圧勝?)、安倍首相に沖縄の声を聞け! と迫る。
こちらは、44%取った票は、無視しろとおっしゃる・・・ってか、報道しないで隠す。
この前後矛盾した社説を読んだ読者の方々は不思議に思わないのかしら・・・・
これは、インターネットを使わない情報弱者とかの問題じゃなく、完全に文章の読解力の問題です。
ここまで書いたら、くどくど書く気にもならないですが、改めて「ダブルスタンダード」とは何か?を考えさせられる事象と言えましょう。
今日、テレビ・新聞で垂れ流される報道内容を、視聴者読者諸兄が自分の頭で本当に吟味しながら判断しなければならない時代ということでしょう。