思うところあって、学生時代に読んだ本を再読。我が国を代表する保守の論客であった故・江藤淳氏がいろいろな雑誌の求めに応じて行った談話や対談を集めたもので、タイトルの「保守とはなにか」も実のところ1/11でしかない。それにしても、普段余り考えることのない「保守」の定義というのはなかなか興味深いもので、曰く、保守の源流は英国にあり、その英国では「保守」」とはイデオロギーや主義ではなく、エスタブリッシュメント(既得権益)の感覚であるという。そして英国では貴族だけでなく工場労働者にも保守の感覚が息づいているとのエピソードが印象的だった。翻って、我が国において「保守」と言えば明治維新から戦前にかけての「古きよき」とされる時代を志向したイメージ。しかしながら、個人的な認識を言わせてもらえば、ひとくちに「保守」と言ったところでどこを起点にするのかによって何を志向するのか異なる。例えば明治時代は性に対して極めて慎重であったことから、いわゆる極右勢力は純潔教育や性教育反対を唱えたりするが、これが江戸時代まで遡ればかなり性には開放的だったという説もあったりするわけで(笑)ま、んなこと言いながらも自分はどっちかというと右寄り、保守的なわけですが。
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