は~ふたいむ

仕事帰りにカフェに寄り道して、一緒にコーヒーなど飲みながら、
他愛のない話をして過ごしたい。そんな時間。

宮城STAY・3日目 〜気仙沼から陸前高田へ

2024年03月14日 | 旅行

4日目の朝は、夜中に3度もトイレで起きてしまい、5時半に起床。
寝る前にお茶を飲んだのがいけなかったのかな?
でも、そのおかげで夜明け前の気仙沼湾の景色を見ることができました。
漁船や車の音、海鳥の鳴き声。
6時になると館内放送で音楽が流れ、外でも何か別の音楽が流れていました。

朝日が昇るのを眺めながら朝風呂。
未明に雪が降ったらしく、周囲の家や車の屋根が白くなっていました。
寒いのは全然かまわないので、今日こそは安定したお天気に恵まれますように。

朝食はビュッフェ形式だったので、地元名物をチョイス。
メカジキ入りのカレーとクラムチャウダー、めかぶとわかめ。
その場で調理して出される厚焼き卵も、私好みの甘さでとても美味しかったです。

8時半にチェックアウト。
震災遺構めぐりの最終日は、岩手県の陸前高田市へ。
「奇跡の一本松」がある高田松原は、気仙沼から三陸道で20分ほどの所にあります。
気仙沼まで来たら、ここへ立ち寄らないという選択はありません。

「高田松原津波復興祈念公園」は、東日本大震災の復興の象徴として整備された国営追悼・記念施設。
地方公共団体が整備する復興祈念公園の中に、国が中核的施設となる丘や広場などを設置するものです。
宮城県と福島県にも同様の公園が整備されています。

復興記念公園は「追悼と鎮魂」、伝承施設には「伝承と発信」という機能的な役割があります。
国営の施設では、特に復興を国内外へ発信することとに重点が置かれているのではないでしょうか。
伝承館の水鏡とその先に続く風景はとても美しく、強く印象に残りました。

今日もやっぱり天気が崩れ、到着時には強い風と小雨も。
雲が晴れることを期待しつつ、先に伝承館を見学することにしました。

東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」は、2019年9月に開館。
津波災害の歴史と東日本大震災の事実を知り、教訓を学ぶ3つのゾーンで構成されています。
激しく変形した消防車両は、直前まで住民の避難誘導にあたっていたもの。
津波の恐ろしさと、消防団員の強い使命感を感じさせました。

津波により流失した気仙大橋の一部。
巨大な展示物であればあるほど、その威力が感じられます。

教訓を学ぶゾーンでは「くしの歯作戦」というものがあったことを知りました。
内陸部を南北に走る道路から沿岸部につながる国道を切り開き、救命・救援ルートを確保するというもの。
余震が続く中、被災して通行不可となった道路のがれきを撤去し、通行可能にする作業が進められました。
私が千葉から必死で東京へ戻っていた夜、東北でそんなことが行われていたとは。

悲しくつらいばかりの証言の中で、唯一の胸が熱くなるエピソードでした。

伝承館を見終えた後は、復興祈念公園を散策。
ありがたいことに、この時には雨が止んで風も弱まってくれました。

伝承館からまっすぐ続く道を進み、長い階段を上った先には美しい景色が広がっていました。
また、眼下には再生中の「高田松原」が見えました。
松の植樹は2019年に始まり2021年に完了、順調に育っているようです。

巨大防潮堤なんだけど、傾斜があるせいか高さを感じません。
階段があったので下りてみました。

松原の間も通り抜けることができ、波打ち際まで近づくことができました。
波が太陽にキラキラと輝く様子が美しく、とても尊く感じました。
この旅で初めて、波の音を聞いたような気がします。

公園に戻って歩道を進むと、破壊された建物と高い松の木が見えました。
「震災遺構・陸前高田ユースホステル」と、あまりに有名な「奇跡の一本松」です。
高田松原にあった7万本の松の中でただ一つ流されずに残った松で、震災遺構の1つに数えられます。
すでに枯死しており、一旦切り倒されて保存処理が施された後にモニュメントとして復元されました。

高さ27mもあるこの木は、9階建ての建物に相当するのだとか。
ヒョロヒョロとして弱々しい印象のあった松の幹は、想像していたよりも太くて力強さがありました。
レプリカとは言え、その時の姿や人々の想いを宿す復興のシンボル。
この場所に立って感じることができて良かったです。

「震災遺構・タピック45」
震災当時は道の駅で、元々が津波避難施設としての機能を持つ堅牢な建物でした。
海側が観客席と階段になっていて、ここに避難した3名が津波の被害を逃れました。

建物の高さは19mで、津波は14.5mの所まで到達。
この辺りは、津波避難ビルとなるような高い建物がほとんどない地域。
町は三角州性の平野の上にあり、海から離れた内陸部にある4階建ての建物でも浸水しました。

伝承館はたぶん水没するし、避難場所となる高台は徒歩だと30分もかかる距離。
今、大きな地震が来て津波警報が出たら、逃げ切れるんだろうか?と不安になりました。

日本海溝付近で地震が発生した場合の津波は、およそ20分で海岸に到達すると言われます。
その時、巨大防潮堤や途方もなく広い公園は、避難までの時間稼ぎになってくれるのでしょうか・・・

再び天気が崩れ、また雨が降り始めました。
時計は11時半を回っていたので、現在の「道の駅高田松原」で少し早めのお昼ご飯。
めかぶそば付きの海鮮丼をいただきました。

食後は「すなば珈琲」で。
鳥取限定で展開するコーヒー店ですが、震災時の災害ボランティアの縁で唯一ここに出店したそうです。
中国地方に住む私でもまだ行ったことがないお店だったので、ここで飲むことができて嬉しかったです。

そして、コーヒーを飲んでいる間に雨が上がり、今度はすっきりとした青空に。
今日は本当に天気が目まぐるしく変わります。

復興記念公園には5つの震災遺構がありますが、そのうち2つは伝承館から離れています。
時間がないので気仙中学校は断念し、「震災遺構・下宿定住促進住宅」だけ見学しました。
この建物の津波到達地点は、たぴっく45と同じ14.5m。
4階から下はベランダも窓も壊れ、水没したのがひと目で分かる状態でした。
よく見かけるタイプの集合住宅だけに、いっそう怖さを感じました。

震災遺構めぐりはここで折り返し。
12時半、仙台へ戻りつつ、再び気仙沼へ。

遺構めぐりの最後は、気仙沼市の「東日本大震災遺構・伝承館」です。
2019年に開館し、被災した気仙沼向洋高校の校舎が震災遺構として保存・公開されています。

最初に伝承館のシアターで震災の映像を見た後、破壊された校舎へ。
教室の瓦礫は手付かずのまま残され、津波被害の惨状を伝えていました。

見学コースにはフェンスがあるだけで、ガラスなどの仕切りはありません。
本当に瓦礫の中を歩いているような感覚です。

3階の教室には、津波で流されてきた車がひっくり返っていました。
この高さでも津波に飲まれてしまうのです。

震災当時、高校では入試の準備や校舎の改修工事などを行なっていて、生徒は高台へ避難。
残った教員と工事関係者は屋上へ避難しましたが、津波は校舎の4階まで到達。
一時は死を覚悟したそうです。
しかし、校舎の手前にあった冷凍工場にぶつかって威力が弱まり、屋上には達しませんでした。

校舎の壁には、その後に流れてきた冷凍工場が衝突した跡が残っていました。
もしこれが校舎を直撃していたら、いよいよ命を落としていたかも知れないそうです。
様々な奇跡が重なったんですね。

と、ここで再び天候が急変。
突然、強烈な雨と風が吹き始めて傘も差せない状況だったので、屋外の見学は断念。
校舎見学の後は、映像展示、被災者のインタビューや記録映像などを視聴。
この映像がまたつらくなるものばかりで、しばらく涙が止まりませんでした。

ここは、これまで見てきた震災遺構の中で、最も被害の生々しさが伝わってくる場所でした。

14時半に気仙沼を出発し、約2時間ノンストップで走って仙台へ。
当初は16時だったレンタカーの返却時間を、店頭で17時に変更しておいて正解でした。
ジャスティちゃんがあまりに非力で、踏んでも踏んでも加速しなくて焦りました。
コンパクトカーだから排気量1300ccくらいだと思っていたのに、996ccしかないなんて(汗)
慣れない車と長距離の移動で疲れましたが、事故もなく無事に戻って来れて良かったです。

仙台駅近くのホテルにチェックインし、駅の飲食街で晩御飯。
ホッキ貝のパスタとテールスープ、美味でした^^

食後のデザートは、松島で食べられなかったずんだ餅とずんだシェーク。
ずんだ餅はたまに広島でも売っているのですが、それとは味が全然違います。
餅が柔らかいし、ずんだ餡も枝豆の粒感が残っていて、病みつきになりそうな美味しさでした^^

(つづく)

 

<今日の旅程>

07:00 朝食
08:30 チェックアウト・移動開始(気仙沼鹿折IC~陸前高田長部IC)
08:56 高田松原震災復興記念公園
09:00 いわてTUNAMIメモリアル(伝承館)
10:30 高田松原震災復興記念公園
(震災遺構 ④奇跡の一本松,⑤陸前高田ユースホステル,⑥たぴっく45)
11:30 道の駅高田松原で昼食
12:20 震災遺構 ⑦下宿定住促進住宅
12:30 移動開始(陸前高田長部IC~気仙沼中央IC)
13:00 気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館
13:30 震災遺構 ⑧気仙沼向洋高校旧校舎
14:30 移動開始(大谷海岸IC~仙台空港IC)
16:30 レンタカー返却
17:00 空港アクセス線で仙台駅へ
17:30 チェックイン・ホテル泊

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