あと一ヵ月で四月になろうという今日このごろのはなはなひろばは、これから幼稚園に行く子、保育園に行く子などが、残り少ない日々を、ひろばで楽しんでいます。
その上、もっと大きな子も加わって、このところひろばは活気づいています。
そうなると、時々あちこちで小さな諍いも起こります。その多くは、誰かが持っているものを取ってしまう、貸してあげない、追い越して先にやってしまうなどなど。
度が過ぎてコントロールできなくなってしまい、喧嘩も起こります。
そうなった時、見ている大人はどうしますか。
今日(2月Ⅰ7日の赤ちゃんタイムが終わった後の午後)はMちゃんとAちゃんのやり取りを書いてみましょう。
Mちゃんが持って遊んでいたものをAちゃんが黙って取ってしまいました。Mちゃんは突然取られてしまったので泣き出してしまいました。周囲に何人もの大人たちがいたのですが私を含めてじーっと見ていました。
たくさんの大人たちの目に見つめられてしまってばつの悪そうなAちゃんでしたが、返してあげることができません。その時、Mちゃんのママがちょっと離れた所からMちゃんに"自分でちゃんとどうしてほしいのか言いなさい。泣いているだけでは分からないよ。"と言ってあげました。Mちゃんはしばらく躊躇していましたが、頑張って返してほしいことを自分の口で何回かAちゃんに言えました。でもその場の状況に変化は起きません。
Aちゃんは頑として返してあげようとしません。そのあと、Mちゃんのママがそばに寄っていって”Mちゃんが終わったらAちゃんに渡すからって言ってごらん"と知恵を貸してあげました。
こんなやり取りがしばらく続いた後、AちゃんがやっとMちゃんに手渡すことができ、一件落着となりました。
そのあとは何事もなかったかのように、遊べましたが、私は、Mちゃんのママと話をしてみました。
Mチャンのママはとても冷静にMちゃんに向き合っているなあと思いました。常日頃、Mちゃんに言っていることは、ちゃんと相手に自分の気持ちを言葉で伝えられるようにすることだということでした。それを小さいうちからやっておけば、思春期の反抗期にも冷静に話し合える関係がだれとでも作れ、すぐ切れてしまうような子にはならないのではないかと思っていると言われました。
言葉がある程度しゃべれるようになったら、このことはとても大事なことですね。日本人は、大人になっても意思表示がはっきりできないとよく言われます。以心伝心では本当の意思疎通はできません。
小さいうちから自分の思いが人の前でしっかり言葉にして伝えられるようにするには、子どもたちを頭ごなしに押さえつけてしまうことのないようにすることではないでしょうか。
子どもたちとよく話し合い、拙い言葉でも伝えようとしていることを時間をかけてよく聞いてあげる、大人の尺度でものごとを決めつけていかないなどを根気よくしていくことが大切なのではないかと思っています。きっと子どもたちにも言いたいことがいっぱいあるはずですが、大人のように上手に喋れないもどかしさがあることでしょう。
”だめなものはだめ”ではなく、どうしてだめなのかを話し合っていくことで子どもたちの心の中に、消化不良や萎縮を起こさない状態が作れるはずです。
子どもたちが成長していくステップで、ひとつ一つ納得のいくような状況を作っていってあげると、いちばん身近にいる家族ととても良い関係が作られていくのではないでしょうか。
この日、何人もの大人がAちゃんとMちゃんのやり取りの中にすぐに割り込まず、じっと見つめてくれていましたが、それぞれの人たちがどのような思いだったのか、聞いてみたい気がしました。
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