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Lay Down Your Arms

今日は、ちょっとマイナーな洋楽の曲について、記事を書いてみたい。
記事のタイトルを見て、トンプソン・ツインズ(Thompson Twins)あるいはボン・ジョヴィ(Bon Jovi)の「Lay Your Hands On Me」のことかと一瞬思った人もいるかもしれないが、かの有名な「Lay Your Hands On Me」について語るのは、他のみなさんに任せたい。

あまり知られていない、誰も書かないような一曲に、スポットを当てる。
80年代洋楽をこよなく愛する人間の一人として、天台宗の言葉「一隅を照らす」の精神に則り、マイナー路線をも自分は突き進んでいきたい。



但し、今日紹介する曲「Lay Down Your Arms」は、
マイナーはマイナーだが、天涯孤独の完全マイナーというわけではない。

1987年、アメリカで女性3人組のバンドが、鳴り物入りで結成された。
バンドの名は、グレイセズ(The Graces)。
3人のメンバーの中には、The Go-Go's のギタリストだったシャーロット(Charlotte Caffey)が、リードボーカルとして名を連ねた。

元 Go-Go's のギタリストが結成した、新しいバンド。
これが原因で、The Graces は結成当初から注目され、マイナーではありえなかった。

時期的には、Go-Go's が(当時としての)ラストアルバムとなる「Talk Show」を発表後、翌1985年に解散し、中心メンバーだったベリンダ(Belinda Carlisle)とジェーン(Jane Wiedlin)がソロ活動を始めた、ちょうどその頃だった。
ベリンダは、ソロ・シンガーとしても瞬く間に開花し、成功を収めた。
Go-Go's のインテリジェンスだったジェーンも、らしさが溢れるユニークなソロ・アルバムで、存在感を示した。

ところが、Go-Go's にはもう一人、インテリジェンス要員がいる。
それが、シャーロットだ。
「We Got the Beat」を始め、Go-Go's のヒット曲の多くを手掛けた人材だ。
ベリンダ、ジェーンに負けてはいられない、そう言わんばかりに、シャーロットが The Graces を結成、シーンに復帰したのだ。



と、いうことなので、The Graces は当然、注目された。
しかし、結成から2年後、1989年に発表されたアルバム「Perfect View」は、US チャート No.147 が最高位と、いまひとつ振るわなかった。

1989年 「Perfect View」

「Perfect View」は、当時、自分がまだ大学生だった頃、フルで聞いたことがある。
注目されただけあって、レンタルCDショップで借りることができたのだ。
しかし、Go‒Go's、The Bangles、Wendy & Lisa、など、自分が知っているどのガールズバンドの音よりも物足りない、それが率直な感想だった。

唯一、アルバムのオープニング曲で、Billboard No.56 に食い込んだシングル「Lay Down Your Arms」が、聞きどころだった。

1989年 「Lay Down Your Arms」

The Graces は、セカンドアルバムを発表することなく、1992年に解散。
シャーロットの才能は、新しいバンドで生かされることはなかった。
だが、シングル「Lay Down Your Arms」で、The Graces は洋楽シーンに足跡を刻んだ。
ソングライターの筆頭にシャーロットの名があるのは、言うまでもない。

your words are quick, and they cut so deep
the walls go up, waiting here, wishing here, wishing here, waiting
you forget i know your tender spots, i can hurt you too
but i'm the one loving you, so come on and love me


あなたの せっかちな言葉で
心を 深く傷つけられ
また 冷戦状態
わたしは ここで 願い 待つ
あなたの弱点は 分かっている
その気になれば あなたを 泣かすこともできる
でも あなたを 愛している
だから さあ こっちに来て

so close then the moment's shattered, like nothing mattered
pushing me, pulling you, pulling me, pushing
don't want to tear our love apart, i want give my heart
can't we start living here, can't we start giving


寄り添えば
何事もなかったかのように 仲直り
互いが 互いを 求め合う
この愛を 引き裂かないで
わたしは 心を 捧げたい
ここで一緒に 暮らすのは 無理?

so we are in love, so we are in war
but we can be on the same side


結局 こうして 愛し合い 喧嘩もする
わたしたちは 味方同士のはず

lay down your arms
lay down, down, down, down
why'd you want to go
and shoot love to the ground
lay down your arms
lay down, down, down, down
lay with me


さあ その武器を 捨てて
冷静に なって
なぜ あなたは すぐに背を向けて
愛を 捨て去ろうとするの?
さあ 武器を 捨てて
正気に 戻って
わたしの 傍に 来て

この記事を書くにあたって、「Lay Down Your Arms」を YouTube で検索し、およそ30年近く振りくらいの久々に聞いた。
ベースが刻む低音リズムが脳に心地よく、何度聞いても飽きない。
せっかくなので、amazon で音源をゲットしようと思ったら、残念ながら米国の amazon でしか MP3 ダウンロード出来なかったので、やむなく中古のシングル CD を購入した次第である。

シャーロットはその後、ベリンダのソロアルバムを始めとして、さまざまなアーティストに楽曲を提供するソングライターとして大いに活躍した。
ちなみに、ベリンダは 1993年のアルバム「Real」の中で、「Lay Down Your Arms」のカバーを歌い、シングルもリリースされた。
こうした友情、絆によって、1990年代に再結成を果たした Go-Go's は、途中で訴訟沙汰などいろいろあったようだがw、5人の結成メンバーの誰一人欠けることなく現在も活動中である。

楽曲の良さだけでなく、「Lay Down Your Arms」には、
Go-Go's の絆の象徴が投影されている、自分はそんな風にも感じる。



The Graces - Lay Down Your Arms (Music Video) (featuring Charlotte Caffey of the Go-Go's)
https://www.youtube.com/watch?v=rgmAgWsP600
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